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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

2023/8/20の雑記 RTAを実際にするようになったらRiJはRTAとは少し違うと感じた

RTA in Japanを今年も楽しませてもらいました。

rtain.jp

コロナ禍に入ったころ、たぶん2018年くらいから楽しませてもらっていると思うのですが、どんどん規模が大きくなっていますね。見始めたときはpeercastでよく見た語彙が展開されていて嬉しくなったのですが、今はその色は少し薄くなったような気がします。

 

今年の視聴と以前の視聴のあいだに、自分自身がRTAに少し触れるようになりました。具体的には「Dr.Mario」のレベル0-10のカテゴリを遊んでいます。

www.speedrun.com

1プレイが20分弱で、ぐっと集中できるところが楽しいところです。ランダム要素が大きくて同じ腕前でも初期配置の引きでタイムが変わるのも好き嫌いはありそうだけど自分は好み。

 

もともとRTAはちょっとだけかじったことがあって、peercast配信者時代にロックマン2とICOについてはタイムを計測して遊んだことがありました。ただ、当時はspeedrun.comそのものを知らなかった(なかった?)し、個々のゲームのタイムを詰める、というよりは、並走会に参加してみたり、友達に合わせて自分もプレイしてみたり、というくらいで、プレイ回数を重ねなかった。

でも、Dr.Marioについてはきちんとlivesplitでタイムを計測しつつ、試行回数を重ね、他の人のプレイを眺めながらタイムを詰めようという努力をしているところです。

 

自身のRTAを経たことでRTA in Japanの各「走り」って自分のやってるRTAとはちょっと違うものだな、と考えるようになりました。

具体的にはRTAでは試行可能回数が無限、RiJは一回というところです。これだけで「タイムを競う」という遊びをする時に取れる最適解は全く変わってきます。

特に試行時間が短いゲームであれば、その中でタイムを最適化するのは、自身は沈黙して多数の試行回数の中、瞬間瞬間の最適解を導き続ける、というストイックな作業なので、RiJみたいに「個人のPBが出ることもあるけど、基本的には平和にプレイする」「今何をしているのかを解説する」「一度しか遊ばない」というプレイスタイルとは真逆になります。Raceルールの時はその瞬間で安全なベストというのはわかりやすいけれど、一人での走りはそれをする必要は通常にはないわけで。

それがいいとか悪いとかではなくて、単にRiJというのは「そういう舞台芸」であってRTAそのものの競技性とはイコールではない、ということです。

この性質は人々の注目を集めた「走り」ほど顕著なのではないでしょうか。たくさんの視聴者にとってその「走り」は「ものすごく早い走り」だけど、個々の走者としては「失敗ではないタイム」である。

 

「そういう舞台芸」であるし、RiJ自体はずっと「コミュニティイベント」=先にそのイベントを支えるコミュニティが存在し、そのコミュニティ内で交流するためのイベントであるという宣言がなされているわけです。

イメージとしてはRTA走者がRTA走者とお互いの遊び=RTAを紹介し合うイベントということになるのだと思うのだけれど、その遊びに対してオーディエンスが巨大規模なので「舞台芸」の部分がウケやすい。

 

ここら辺は二年前くらいにブログでちょっと心配になって書いていました。

paperview.hateblo.jp

 

その後、自分の観測範囲としては一定の落ち着きになっていて、変にスレてしまわなくてよかったなと思っているところです。

 

話題を元に戻して、このRTAとRiJが違うものだよというのは傍目には気づきづらいかもしれない、と思いました。RTAって、完璧を目指さなくてもちょっとやってみることで「プレイ」の順位を可視化して、それを自分の順位からちょっとずつ上昇していくことが楽しめるし、単純にゲームの遊びとしての寿命を延ばしてくれるものだと感じてます。(マリオ64なんて顕著ですよね)

でも話術の部分が注目されやすくて、そして今後もより注目される比重が高まってくるだろうし「ダメと決められていないこと」はやっていいというブラックリスト方式の人物は「オーディエンスに対する最適解」を目指して「RiJの舞台」に対するハックで臨んでいくようになっていくのではないでしょうか。

多くの走者さんが「このゲームをプレイしてほしい」「ぜひ走ってみてほしい」とコメントされますが、話芸から実際のプレイに結び付けるのは、現状の最適解なのだろうか……ということを考えたのでした。

SpeedRun.comへの登録自体が「ゲームとタイムを記録する」というゲーム以上の機材が必要なものなので、まだまだハードルの高さはあるのですが、それでも過去に比べればそのハードルが下がった今、RiJのイベントとしてのインパクトを眺めつつ、RTAの面白さを伝える方法について考えたのでした。