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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

2023/7/20の雑記 7Days to End with Youの感想

7Days to End with Youを「いっせいトライアル」で遊びました。

 

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総合的に面白かったです。きちんと「もっと知りたい!」と思わせてくれたので、造りが素敵なゲームだと言えると思います。

ゲームのざっくりとした紹介としては、主人公は目を覚ますと、目の前に「ヒロイン(?)」がいて、このヒロインが「何を言っているのかわからない」。この状況からあたりを調べつつ、言語を理解して、ヒロインとのコミュニケーションをはかる、というものです。期限は7日間。

必然的に繰り返してプレイすることになるわけですが、そのあたりの仕掛けもしっかり作られていてよいですね。

 

以下はさらにネタバレして感想。

 

面白かった一方、面白さとかちあってしまう難しい点もありました。

解いていくべき言語が、状況と、実在の英単語から一種の暗号であると気づきやすく、またそれを解くのが簡単であること。これはもったいなくて、結局のところこれでは「コミュニケーションを基に自分でその言葉のニュアンスを掴む」ではなくなってしまうのです。暗号を解くゲームかというとそうではなくて、むしろ「コミュニケーションできている感じ」を怪しみながら楽しむ方が主眼だと思うので、ここは難点だったと思います。しかし、ゲームのボリューム感から考えると仕方のないところだったのかもしれないです。もし、英単語からの類推ができなければ、今度はコミュニケーションのパターンの少なさがネックになっていたはず。

「正解」を自分でつかんでいくのだとすれば、一つ一つの単語の意味を探ることはとても楽しくて、数字が分かった時やヒロインが何をしているのかの予測が立った時なんかは視界が開けていく楽しみがありました。いっぽうで「これはひょっとすると大間違いかもしれないぞ」といったような足元のおぼつかない感じもあって、もしもヒロインが巨悪だったとしたら、みたいなことも考えながら、でもヒロインの献身を信じて……という、でも本来コミュニケーションにおいて他者が自分に好意的なのはあくまで自分がそう感じているだけだから……という根源的なことを考える楽しみもありました。

最初にシステム側から注意があるように、プレーヤーは観測者でしかなくて、だからこそこの「自分=主人公にだけ好意的なヒロイン」の在り方をどう評価するかというのは面白いところだと思いました。非常に献身的ではあるし、どうやら主人公とヒロインは愛し合っていたというけれど、これもまたヒロインの主観でしかない。主人公はヒロインの望んだ主人公の自我、魂なんて引き継いでなくて、毎回そう作られただけというスワンプマン問題も生じるし、主人公を作るために多くの人を殺害しているという倫理面の問題もある。この中でプレーヤー自身がどこにフォーカスするかによって、この物語を純愛と感じるか、それともとてもおぞましいものと感じるか、面白いところです。

ただ、それも真エンド(その後があるやつ)で少し方向性が示されるように思えるのは、よいところでもあり、なんとも言えないところでもあり。

 

色々書きましたが、こういう強いワンパンチを最小構成で与えてくれるのは「面白いインディーゲーム」だと思いますので、自分としてはめっちゃ楽しかった、と感じました。

注として:「ヒロイン(?)」と最初に書いたのは、主人公やヒロインの性別が明らかにされているわけではないためです。