2011年のゲームなのでネタバレしてどうというものでもないと思いますがネタバレです。
戦場のヴァルキュリア3 EXTRA EDITION - PSP
- 出版社/メーカー: セガ
- 発売日: 2011/11/23
- メディア: Video Game
- 購入: 3人 クリック: 14回
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シリーズ作品はプレイしておらず3だけをやりました。3だけやって大丈夫とご紹介いただいたためです。
ツタヤ等で様々なゲームのサントラをレンタルしまくっていたころにこの作品のサントラも借りたのですが、タクティクスオウガ等でおなじみの崎元氏がコンポーザーをされており、耳なじみのある音楽だったので印象に残っていました。
ゲームとしても素晴らしいとのことだったのでプレイしてみました。
素晴らしかったです。
ゲームシステムとしてはものすごくのめり込む! というようなものではないですが、ストレスは少なく、しっかり考えられた面白いシステムでした。やや常識外れな画面だったけど、ゲームとしてだからよいでしょう。
基本はマスゲーのシミュレーションRPGのようで、自軍をコスト分だけ動かし、フェイズ終了して相手のターン、全滅または敵地占領でクリア。
コストを使用して自軍を動かしているときは半リアルタイムで、敵の射程範囲内に入ると敵が迎撃をしてくるため、迎撃されっぱなしだとこちらの行動ターンであるにも関わらず、HPが尽きて撤退となります。
ので、死角から進軍、もしくはダメージを覚悟で走り抜けるなどするか、または遠距離からの狙撃で先に進軍ルートを確保するか、などの対策をとる必要があります。
兵種ごとの移動可能距離も大きく違うため、うまく組み合わせて進軍するための絵をかくのが面白いシステムです。
素晴らしかったのはキャラとストーリーでした。
戦争状態にある2国のうち”ガリア公国”側に属するのが主人公たちですが、エリートだったはずの主人公は、上司が「主人公に見られてはいけないところを見られたかもしれない疑念」によって無実の罪で懲罰部隊「ネームレス」に送られます。
ネームレスには様々な人物が様々な理由で送られ、または集まっており、彼らの戦果は決して記録に残らず、また時に汚れ仕事までも命令される過酷な部隊。日々、厳しい指令が下り、拒否すれば銃殺という毎日です。
ネームレスに居る人達はお互いを名前ではなくナンバーで呼び合っており、信頼した相手にしか名前を告げません。
主人公はストーリーとともに戦果を挙げることで徐々にネームレスの面々から認められていきます。
ネームレス「内」は多様なキャラクターが居て、みんな極端ですが基本「いい人達」なので、このチーム内のやりとりはとても面白い。
たとえば主人公クルトは、完璧キャラですが、理解できないことに対してのメンタルが弱く、理解に苦しむことがあるとキャンディをバリバリ齧るという極端な一面を最序盤に見せてくれます。これがまず楽しい。最強の俺じゃなく、すごく偏った変な天才なわけです。
ヒロインは二名、素直でぐいぐい来るキャラ・リエラと、ツンツンでなかなか心を開いてくれないキャラ・イムカ。この二人と超絶朴念仁のクルトが見せる水着回はラブコメの教科書みたいな素晴らしい回で、溜息が出ました。本当に戦争が背景なのかこれは。
ドラマはキャラクターたちが置かれた「境遇」によっておこります。なぜクルトは懲罰部隊へ送られたのか。これは戦争状態にあるそれぞれの軍上層部が結託して戦争を長引かせ、結果として情勢不安から宗教への信徒を獲得するためで、戦争は長期化自体が目的。
そして戦争する二国で被差別人種となっているダルクス人、この独立を望む実力者。戦争を背景に様々な思惑が渦巻く中で、主人公たちネームレスの中にも居るダルクス人が置かれる立場によって、戦争に参加していく「ネームレス」というチームに起こる事件はプレーヤー自身の「ネームレス」というチームへの没入を深め、愛着を深めてくれつつ、ドラマが非常にしっかりしている。
クリアには80時間かかりましたが、クリアする頃にはネームレス全員が好きになっていて、彼らの物語をもっと先まで見せて欲しい……もう終わってしまうなんて寂しい、と思わせてくれるとてもよいゲームでした。結果的に、同じ時間軸で別の場所を描いているらしいシリーズ他作品への興味も高まっているところです。
多くはない関連書籍も手に入れようかなぁ、と迷っているところです。楽しいゲームプレイでした。