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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

2023/11/25の雑記 映画 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎を観た 

話題になっていた映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」を観ました。

 

www.kitaro-tanjo.com

 

ネタバレもありの感想をします。

ゲゲゲの鬼太郎についてはあまり詳しくなく、大昔のテレビアニメ版の再放送の記憶がわずかにあるのと、漫画の原作をどこかで少し見たような記憶がある、と言ったところです。

とはいえ、ゲゲゲの鬼太郎といえば超有名キャラクターですので、さすがに基本的な知識は一般教養レベルであります。といったところです。

 

映画の感想としては「非常に上手な映画だった」ということを感じています。

まず導入部なんですが、テンポがものすごく早いのに何が起こって何が目的なのかがよくわかる。現代パートが終わったのち、五分もかからず水木は電車に乗り込んでいるのではと思いますが、そこまでで「何か閉ざされた村で後継者争いが起こる」「何か重要なアイテムの情報を得にいく」ということがわかる。直後に怪異が起こり、以降に続いていく。

中盤までは伝奇物の文脈で進んでいっています。水木という人物の周りから水木を監視するような、どこか不安を感じさせるような描き方は「これからここで何か怪しげなことが起こりますよ」ということを丁寧に伝えていく……

……のですが、これが鬼太郎の父との出会いの瞬間から一気に通常のエンタメに変わっていってます。ここのスイッチが自然。さっきまで怪しげな村の話のはずだったのに。以降はテンポの良い人死に、ネームド全整理と進んでエンディングまで走り抜けていく。このさなか、ゲゲゲの鬼太郎が使っているアイテムを鬼太郎の父が使い、そして揃えていく過程が「ゲゲゲの鬼太郎」というキャラクターの基礎知識だけで成立する面白いポイントでした。気が付いたらかなりのバトルものも見せられている。

この「既に基礎知識として知られている」だけで持っていけている一番大きなものがキャラクター「水木」で、もちろん水木しげる氏をイメージするのですが、これだけで「このキャラクターは生き残る」とか「戦争で何を観てきたか」とかがイメージできるようになっている。さらには最終的に「鬼太郎の(キャラクター創作上の)父」というところを墓場鬼太郎誕生のシーンと繋げるというメタなこともやっていて、いや上手だな! と思いました。人によってはややあざとく思うかもしれない。

 

古くからの因習がある村と言えば閉鎖ゆえのエグめの性事情、ということで龍賀沙代がその役を担わされていたわけですが、過去に似たような物語を読んで耐性がついたのか、表現がマイルドだったからか、思ったより心が動きませんでした。どちらかというと時弥くんの死と死後の方が背筋がのびた。これは自分が子を持つ親になったからかもしれない。嫌な奴が全員生き残らなかったので死人は多いけどなんともすっきりした終わり方でしたね。

殺傷の表現は全体的に目を狙ったものが多いような気がしたのですが、これも目玉のおやじに絡んでそうしているのでしょうか? 皆さん左目ばっかりやられてた気がする。

 

全体としては一時間44分の中でものすごくテンポの良い物語だったと思います。