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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

【超ネタバレ】漫画「ドロップフレーム」深読みと考察 その3

今回も超ネタバレです。

前回からすこし時間が経っておりますが、さすがに新発見は殆どありません。

よって、次号発売に備えて、自説をまとめておきたいと思います。

ここから先は3巻まで読んだ人だけよ。

 

材料なんかはここまでの深読み考察記事をご参照くださいませ。

 

【超ネタバレ】漫画「ドロップフレーム」深読みと考察 - paper-view

【超ネタバレ】漫画「ドロップフレーム」深読みと考察 その2 - paper-view

 

判らない謎は三つに分類しています。

「ミステリー」:誰が、なぜ、ルウを殺害したのか?

「オカルト」:なんで時計がぐちゃぐちゃになったり、落葉が起こったりするのか?

「トリック」:ルウの死とそれに関連する悲劇はどうやって回避され、大団円に続くのか?

 

一つ目の「ミステリー」について。

超常現象についてすべて無視していき、人知を超えた存在や未知の存在でなく、既に登場した人物で一番犯人と思しき人物は……

 

土屋刑事だと、考えています。

 

理由は、土屋刑事なら動機を整えることができるからです。

その場合、ターゲットはルウではなく、閏之介自身であることが予測されます。ルウは閏之介が刺された場面を目撃していますが、これが「ルウの事件に付随して起こったこと」ではなく「閏之介自身がターゲットであった」事件だと読みかえてみます。

その犯人が土屋刑事だったとします。なぜ土屋刑事は閏之介を排除しようと考えたのか。

その場合に予想できるのは、閏子殺害事件の犯人が土屋刑事であったから、という理由です。

二年前の回想シーンで、佐藤刑事が「前もって犯人を特定することもできるでしょうね」と呟いているのに対して、土屋刑事は何かに気づいたようなリアクションをしています。作中ではこのシーンは「閏之介を調べれば、真相がわかるかもしれない」という意味を持って伝えられていますが、閏子殺害の犯人が土屋刑事であったとすると、意味合いは変わってきます。

「閏之介をなんとかしないと、自分が犯人だと知られる可能性がある」

です。

土屋刑事は、2014年のあともずっと閏之介を見てきたらしいですね。

今回の閏之介に対する行動は、土屋刑事の独断で、基本的に一人でのみ閏之介と立ち会っていますね。

ちょっと怪しいと考えられやしないでしょうか。

 

そうすると、20日に本来ターゲットになっていたのは閏之介ということになります。ルウはそれに付随して、その場から排除させられた。使用されたのは薬剤。高校生にはすこし手に入れづらい代物です。

 

ということで「ミステリー」の謎については「土屋刑事が犯人じゃないの」というところで仮設定をしておきます。

正直、ここについては土屋刑事だったらきれいに通るな、というところですが「世界そのもの」だったり、これまでに述べたような「フレームの外側にいる人物」でも作ることはできると思います。登場人物とここまでの謎の流れから言って、土屋刑事が犯人だと、フェアだな、というお話。

 

 

二つ目の「オカルト」について考える前に三つ目の「トリック」について考えたいと思います。「オカルト」だけ考えても答えにたどり着けないからです。「トリック」の結果として「オカルト」が画的に表現されているのだと考えたほうがよい。

 

というわけで「トリック」ですが、この話どうやって解決するのよ!

と悩むのは、結局のところ、通しで読んでいても「確定済みの未来が改変できた描写」がひとつもないからです。

それなのに閏之介の夏休みは半分以上過ぎている。大丈夫なの? と。

 

そもそもシャッフルリープとはどういうことなのか考えてみます。

思考実験として。

「シャッフルリープ時間(A)と、実時間(事実の時間)(B)の優先順位は?」

を考えてみます。

もしも、AとBが同時並行で動いていたとすると、閏之介がリープ中に、Bの時間よりも前の時間に訪れたとき、すでに事実として固定されているBの時間には一切干渉ができないことになります。すでに固定されているからです。この場合は、閏之介がA世界でなにをしてもB世界に影響を与えられません。お話が成立しない。

よって、Aのリープ世界でそれぞれの日付の行動がなされたのち、Bの世界が閏之介のたどった行動をある程度引き継ぎながら確定していく、という考えのほうがよいように思います。

つまり、Aのリープ世界は、リープ者自身の主観的な世界として、起こる予定の事象をシミュレートして見せている。大筋として世界はこのイベントを起こすよ、ということが網羅されている。

ここで起こる疑問は、たとえば閏之介が20日→4日……とリープしたとき、閏之介が20日が完全に起こりえない状況を作り上げたらどうなるのか、というものです。

 

たとえば、閏之介が20日を見た後、4日で自殺したらどうなるのか。

 

もし「リープ中は死んでも確定事象じゃなければノーカン」だと、ルウが死亡するというお話自体が成立しなくなってしまいます。

4日に自殺するなどで意識が途絶えたまま20日を超えるとするならば、それにまつわる予定事項そのものが書き換わらなければいけないはずです。現実があとからついてくる世界のお話なら、これは可能です。

 

と、やや大き目な話をしましたが、つまるところ、母から伝えられて閏之介が気づく、抜け落ちたと思っている記憶がある、の説明は「リープ中と事象が変わった時間のこと」であると考えることができるようになります。

1:閏之介はリープ中、先の日付で起こった事象によって過去の行動を変えることが当然にありうる

2:過去の行動を変えた結果、閏之介がすでに通った日付に、閏之介が観てきたことが起こらなくなる、起こせなくなる可能性がある

3:そのままリープ終了となった場合、閏之介が観てきたものと、現実に起こったことが一致しなくなる可能性がある

 

という感じです。これが結果的に「記憶が抜け落ちている」と説明できるような気がします。

 

さて、そうするとなにがどうなるか。「リープ者がひとり」だとこれはこれで、特段の問題はありません。閏之介が通ってきた事象と、確定した現実の事象に多少の差があって、閏之介が変人扱いされる程度の話です。

 

じゃあ「リープ者がふたり」だとどうなるでしょうか。これだと意味が分からなくなっていきます。

 

いわゆる「リープもの」は、主観が一つであることによって混乱を防ぐことが基本です。でも、この作品にはリープ者が二人います。

さて……

閏之介と、ルウそれぞれの主観世界はどちらが「優先度が高い」のでしょうか?

閏之介がリープ中に起こした行動は、当然にルウのリープ主観世界や行動内容に変化を与えるはずです。

ルウはあまり目立った行動をしないようにしているようですが、ルウの行動も当然、閏之介のリープ主観世界や行動内容に変化を与えることができるはずです。

 

たとえば、閏之介が1~5日くらいの未到達日付に行き、ルウにすべてを伝えたらどうなるのでしょうか?

逆に、ルウがそれをしたら?

閏之介が影響したことをしったルウが、影響したことを閏之介に伝えなおしたら?

閏之介とルウのリープ世界は、書き換わりながら改変しつづけることができるかもしれない。

 

と、いうところにしか、このルールでは事象の改変ができないのではないでしょうか。

 

じゃあどうやって解決するのか、ですけれども。

いまのところは「閏之介がルウ、映画メンバーにも起こっていることを伝えて、協力し、事象を改変し続けていく」というのがいまのところの案です。

 

燈里は後半日付(暫定)で、日付が入れ替わっていることを前提に閏之介に協力しようとします。これは「なにが起こっているかを伝えた」後でなくては起こりえません。

 

改変すべき内容として、

「かならず起こるイベントは、概ねその通りに進行しなくてはならない」

「イベントが起これば、日付は多少ずれても構わない。むしろ、主観が誤認をすれば別の日でも処理ができる」

「ルウが死亡したように見せかけなくてはならない」

と、いったところでしょうか。

 

とくに「ルウの死亡について」ですが、作中のどのシーンを見ても「ルウがばらばらになった」ということが明言されるシーンはありません。「死亡」「殺害」などの表現です。

つまり、訪れる日付や改変状況によっては、ルウの遺体は「バラバラではない」可能性があります。むしろ、その可能性は高いです。

なぜなら、閏之介が作中最初に観たメモには「ひっくり返す」としか書かれておらず、テーブルをひっくり返すという表現ではないからです。

 

「ドロップフレーム」の作中では「とくに過去の表現でもないのに」ページ枠が黒く塗りつぶされている箇所があります。ここを拾っていくと「もしこれが無ければ、物語の意味が変わってくる場所」であることがわかります。閏之介の言葉を借りて「はみだして落とす」ならばこの箇所です。

世界の大筋を変えず、予定されたことは予定されたこととして再現をして体裁を整えながら「不要なシーン」になった箇所は落とす。

 

 では、そのために、ことを知った全員で何をするか。「映画作り」ではないでしょうか。「モキュメンタリー」の言葉にあるように、ある個所は事実として、ある個所はお芝居として「起こりうる」場面を演じていく。事実であるか、お芝居であるかは世界にとっては「起こればいい」ことなのかもしれません。

 こうすると、一番最初の「閏之介がヒロインを殺害する芝居」が活きてきます。画的にも美味しい展開です。きっと、最後の仕上げに必要なはずです。

 

 ここまでを整理しますと。

・土屋刑事、閏子殺害を暴かれるのを危惧

・土屋刑事、閏之介排除を試みる(OL11日)→閏之介が消え、失敗

・土屋刑事、閏之介排除を試みる(OL20日)→閏之介OL中につき失敗

・土屋刑事、閏之介排除の瞬間を目撃したルウを始末(これにより閏之介主観世界ではルウが死亡するようになる)

・閏之介、シャッフルリープの末、ルウおよび映画チームと作戦を練る

・イベントごとは網羅しながら、ルウも閏之介も健在の世界へ

 

ってな感じです。

 

最後に「オカルト」です。

これについては「閏之介たちのあいだの符丁である」という案を出しておきます。

もし閏之介リープ世界とルウリープ世界が混在するとしたら、少なくとも2つ以上の世界がそこに存在することになります。

かつ「お芝居」をするとなると、仮想も含めて更にその世界数は増えていきます。

そんな中でリープまでしていたとき、閏之介とルウ(と、読者)はそれぞれ自分がどの事象の世界の段階に居るのかが判らなくなってしまうはずです。

誰が、どこまで、何を知っているのか。

いま、この作戦は、どの段階なのか。

これを示すのが「オカルト現象」なのではないでしょうか。

たとえば、カレンダーを置き換えておく。

たとえば、庭の樹の葉を落としておく。

たとえば、部屋の様子を変えておく。

閏之介がどのリープ段階にいるかを理解できるように、そうしておく。

読者はそのときそのときで世界の見た目が変化していることが気持ち悪く感じますが、これは複数の改変段階を、閏之介のシャッフルリープ時系列でのみ観ていることから起こるのかもしれません。

 

これは、見た目だけのお話ではなくて、ルウの言葉でもそれが感じられる場面があります。第一巻の最初、閏之介とルウの出会いのシーンです。

このシーン、ルウはどうも「既にこれから起こること」を知っているような落ち着きで閏之介らと撮影に臨んでいます。

また、3巻との状況の微妙な差異(ルウが空に向かって叫んでいる)、ルウの手帳にある1日と2日の混同についても意識しておきたいところです。これも改変の段階のひとつかもしれません。

このシーン、ルウは一度だけ閏之介のことを「ひまわりさん」と呼びます。

これに閏之介が反応できるかどうかが「いま、改変がどの段階に来ているか」を確かめるための符丁だったとしたらどうでしょうか。

 

それぞれの登場人物の段階にもよることとは思いますが、最終的には「理想の八月」を撮りなおし、不要な場面(黒枠コマ)をはみ出して落とす。

大道具や小道具を用いて、犯人をだましながら。

と、いう展開予想をかいておいて、長くなりましたが自分の予想を終えておきます。

あー続きたのしみだなぁ!