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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

2023/9/8の雑記 読書記録「これからの時代を生き抜くための文化人類学入門」

辰巳出版の「これからの時代を生き抜くための文化人類学入門」を読みました。

内容としてはタイトルの通りで「これからの時代を生き抜くための」というのはこの入門シリーズ共通の枕詞のようです。これはあまり気にしなくてよさそう。

 

入門、となっていますが、なかなか一朝一夕で理解することが難しい「文化人類学」のマインドの部分に割かれている文章量は少なく、実際の文化紹介が多かったように思います。自分が所属する集団の規範をどれだけ相対化し、参与する文化のありのままに触れるか――というところを文化人類学のマインドだと思っているのですが、なかなかこれは難しい。

「自文化を絶対的なものとして、異文化を奇異な目で観る」というのは明らかに違うし「興味を持って臨む」というのも少し違う。観光ではなく参与、自文化もまたなんらかの異文化から観察される対象であるというのをどのくらいリアルに考えることができるか、の深度によって、先の章の感じ方は大きく異なりそうです。

記述のされ方は当然ながら非常にフラットで、淡々とその文化について学ぶことができます。知識量も豊富。

序盤の章が性・婚姻について書かれており、非常に一般的なテーマなので、ここを試金石にして、ここで嫌悪感や違和感を覚えるようなら、相対化が足りてない、みたいなことが考えられるかなぁ、と思いながら読んでいました。現代の日本文化ではスタンダードではない性の在り方、家族についての考え方が多数紹介されているので、興味深いです。

文章は非常に読みやすく、入門とはいえ専門書ですが非常にスムーズに読むことができました。おすすめです。