以前に「銭」という鈴木みそ先生のマンガを読んでて、同人誌のお金の計算をしている回でなるほどなーっと思った事があったんです。
- 作者: 鈴木みそ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / エンターブレイン
- 発売日: 2012/09/01
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んでそれはともかくとして、インターネットがこんなに流通して、人と作家は直で繋がれるようになったのに、いまだに作品を人に届ける方法は間に中間業者をいっぱい挟む方式の方が主流なんですよね。
自分たちでもこの夏コミに向けて同人誌を作成したので、その時にお金の話をちょろっとしていたのですが、僕はそれなりにこういうお金の話とか、何が得で何が損かとか、そういうことは考えるので、今回も作るにあたって損益分岐点とか、そこら辺のことは考えてます。それを越えるか越えないかとかっていうよりも、ここにそのラインがある、ということは頭にはある。
で、この損益分岐点ってのは思ったよりも遠くない。なぜなら売値から原価引いたらほぼ利益だからで、人件費とかを考えてないからです。端的に言えば実態に即してない。でもまぁ、ベースが趣味だからよいとしましょう。
けどこれ、たぶん趣味じゃなくて生活になっても、この損益分岐点はそこまで遠くにはいかないはずだと思うんです。
たとえば500円の本を作るとする。ページ数は考えない。同人誌なら24ページとかだろうし、コミックス単行本や小説なら200ページくらいあると思う。
500円の本が100冊売れると5万円。1000冊売れると50万円。3000冊だと150万円。
インターネットの時代だから、実力がそれなりにあれば3000人くらいの購買層を抱えることは、以前よりかは敷居が下がっているはず。
それで年4回作品を出せると年商は600万円に達する。
と、単純計算したけれど、これだと「食える」と思うんですね。
「いやいやそんなに単純じゃないでしょ、そもそもその3000人どっから集めんのよ」と言われると確かにそうなんですけど、でもまさにこのお話のキモってそこでして、いわゆる芸事における中間業者ってここを取り持ってるわけですよね。
けど、ここの規模がデカすぎて、ものすごくデカい中間業者をきっちり支えるためにはメガヒットをしないと成立しない。数千部売れる程度のものでは全然足らない。たくさん間に人が入ってるから、もともとの作者の取り分も小さい。
って、なんていうか今で言うと「非効率」なんじゃないかなって思っています。
けど、この「個人で作ってプロデュースもする体制」と「大々的に大型の業者が入って作者は制作に専念できる体制」の間くらいのって、殆ど見つからない。たとえば、作家さん4、5人くらいのプロデュースとかをして、それぞれ売れる売れないはあるけど数千人から一万人くらいには読まれて、で作家さんとプロデューサーの取り分が8:2くらいで成立するようなモデルとか。
既にあるけど見えてないだけなのか、それとも何らかの状況がそういうのを作るのを阻んでいるのか、自分の情報力の足りなさなのかはわからないのですが。
けども、たくさんの人に売れるようにするにはたくさんの人に売るなりの作品作りをしなきゃいけないわけで、そういう風になると「たくさんには売れない」ような嗜好っていうのは、嗜好そのものを変えないといけなくなる。それは作り手にとっては不幸になる場合もあると思うんですよね。
もうちょいやりようあるんじゃないかなぁ、なんて思っています。そういうのが成立していくと、作り手はもっと楽しい世界が来るんじゃないのかなぁ、と。