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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

ゲーム「CrossCode」プレイ感想

Steamでリリースされている「CrossCode」というゲームのメインストーリーまでクリアしました。

 

dangenentertainment.co.jp

 

2DアクションRPGで、説明に書かれているようにスーパーファミコンのようなグラフィックで遊ぶゲームです。「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」のようなプレイ感。自分が未プレイなのですが「天地創造」に近いという話もありました。

 

ゲーム中の世界はMMOとして描かれているので、ゲーム中ではモブ敵キャラを倒して素材を集め、その素材をもとに武器と交換したり、クエストがあったりと、アクションパズルのみではない作りになっています。

 

基本の流れは、ストーリークエスト、クエストによって解放されたダンジョンのパズル攻略、ダンジョンのボス撃破、新エリアのオープン、の順で進んでいき、この合間に任意にサブクエストを受注、攻略できます。

 

このダンジョンのパズルがなかなかに手ごわいです。頭を使うというのもそうですが、CrossCodeでは通常Steam等に使うコントローラーのボタン全てを使用します。つまり十字キーとスティック、ABXY、L,Rが二つずつにスタートとセレクト。パズル部分の失敗にペナルティはつかないとはいえ、細かい操作をリアルタイムで要求されるため、かなり神経をすり減らします。小さなお子さんにはちょっと難しいゲームでしょう。

 

また、ボスもごり押し、いわゆる脳筋プレイでは難しく、各ボスの弱点を突くために戦闘中にパズルを解きながら戦います。敵の攻撃を避けながら、リアルタイムでパズルを解く、これは「ゆけゆけ!トラブルメーカーズ」のプレイ感覚に近いです。

 

自分はぼちぼちとサブクエストをクリアしながらプレイしていたため、ストーリーが終わるまでで48時間ほど。これでトロフィーとしては半分程度です。非常にやりごたえのあるゲームでした。……とはいえ、自分はフィールドマップ中にある宝箱が欲しくて右往左往している時間がかなり長かったので、そのあたりをサクサクと進めばもっと短い時間でストーリーはクリアできると思います。

 

これだけの時間プレイしても、世界観やキャラクターがしっかりしているので退屈というストレスはなく、とにかく謎解きが難しいけれど、キャラクターたちのお話を観たいのでプレイしてしまう、という意味で、良いゲームだと思います。

 

Nintendo Switchに配信されたらきっと人気になるだろう! ……と思っていたら正式版のSteam配信から一年経ってしまっていました。今だSteamでしか配信されていないのは、おそらく「クリア後コンテンツ」が未実装で、かつクリア後コンテンツがどうも本編と呼んで差し支えないものとなっているからだろうと思われます。Switchに配信されるときにはクリア後コンテンツも実装済みの状態で、となるのではないでしょうか。

 

様々なところに日本の名作ゲームに対するオマージュがあって、ちょっとニヤッとしてしまいます。Steamでの販売価格は1980円、正直安すぎる、というくらいにボリュームたっぷりのゲームです。Steamの環境のある方はSteamで、そうではない方はSwitchでの配信(きっとあるはず……)で是非。曲もよかったです。追加コンテンツを待ってます。

【ネタバレ】ドラゴンクエスト YOUR STORY 感想と憶測

追記あり(追記箇所は記事最終箇所に詳記)

 

映画「ドラゴンクエスト YOUR STORY」を観てきました。(STORYのRは正確にはЯと反転して表記)

 

dq-movie.com

 

以降はドラゴンクエスト各ナンバリングシリーズと区別してDQYSと表記します。

また各ナンバリングタイトルはDQ1、というように数字で表記。

この記事ではDQYSとDQ5、およびDQナンバリングタイトルのネタバレを含みます。特にDQ11についても言及しますので、先を読む場合はご留意ください。

 

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【ネタバレ】「天気の子」感想

「天気の子」を観ました。

 

tenkinoko.com

 

好きな映画だったか。好きでした。一方で、好きになる要素が映画とはちょっと離れた所にあって、落ち着いてから考えて、果たしてこれは映画への感想だろうか、それとも自分が読んで観てきたメディアへの感想だろうか、なんてことを考えていました。

以下ネタバレもあり。

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im@s PBで指揮のパントマイムしてきた話

アイドルマスタープロデューサーズ楽団というところで自分で編曲した曲を指揮してきました。

 

twitter.com

 

アイドルマスタープロデューサーズ楽団は、上記リンクに書かれているように「アイドルマスターの楽曲を演奏するオフ会」です。基本的には吹奏楽編成で書かれていますが、どんな楽器でも受け入れてくれる懐の広い活動です。

 

さて、ここからは「im@sPBに参加する人」もしくは「7/21のオフに参加した人」向けの話となります。

 

・自己紹介

・オフ会について思うこと

・少ない参加回数だけどim@sPBを観察する

・im@sPBでのムーブ

・感想と反省と展望

 

こんな感じの目次で進めます。

 

・自己紹介

まず自己紹介(PB向け)から。

シンデレラでは志希/フレデリカ/比奈のPを主にしており、最近は凪や大沼のくるみちゃんにもご執心です。

ミリでは歌織さん、最近では諸事情で風花さんもどんどん気になってきて、バリボーの水着衣装を「ン”ッ!!」って言いながら手に入れました。

シャニでは千雪さんに人生をおかしくされたいと思っています。

 

主に文章方面で活動しておりまして、シンデレラは結構な量のSSを書きました。

www.paper-view.net

https://www.pixiv.net/member.php?id=549581

 

音楽関係ではGAMEバンドというところで10年ちょい活動をしていまして、編曲はここで数作やっておりました。とはいえ音楽についてはそんなにしっかりした経歴を持ってないので、編曲も演奏も小手先で趣味として納得の行く範囲でやっております。

 

 

という人間がここから先を書きます。

 

今回は編曲で持っていくついでに「im@sPBで自分が出来そうなアクション」を詰めてみたので、それが今後参加される、かつキーマンになりそうな人に何か資すればと思いまとめていくことにします。

 

なぜそれをするかを正直に言うと、im@sPBには確か今回で3回目くらいの参加だったと思いますが、二回目までで「本来こういう活動がしたかった、もしくはこれまでできてたというものがあるはずだけど、今はそれが必ずしもベストな形で成立してない感じがする」と思ったからです。

 

 

・オフ会について思うこと

そんなに何度も「オフ会」の類に参加するわけではないんですけど「オフ会」に類するものはとにもかくにも「ホスピタリティ」によって全体の満足度が決定されると思います。

となると「誰がホスピタリティを発揮するのか」ですが、その話に入る前に、多くの「新しい」活動はその活動をすること自体に喜びがあります。ので、実はイノベーター/アーリーアダプターくらいまではそんなに意識しなくても、そもそもすべてが新しい、新鮮な事なので自動的に満足感が出ます。

が、その新鮮さが幾分か薄れてくると、そういうことを意識していったほうが経験的にはよいのではないかと思います。

っていうとちょっと説教臭くなっちゃうんですが、つまり「楽しい余暇時間を過ごすためにやってる」ので「楽しい」を追求するためにはどうするのがベストか、ということをちょっと俯瞰して考えてみようということです。

 

・少ない参加回数だけどim@sPBを観察する

3回しか参加してないわけですが、自分が観てきた各種の「合奏」なんかと併せて見ていくと、im@sPB(関東)は80回以上の開催。おそらくこの開催の中で培われたスタンダードな「流れ」(※これは誇るべきものです)が出来ている。

毎曲の合奏はこの流れをトレースすることで成立している。

流れは「音源を聴く」→「全体を通す」→「合奏をする」→「全体を通す」が1セットで、指揮者が前に出てその流れを実行する。

だいたいこんな感じで、通常の楽団における合奏とほぼほぼ同じですが、最終的な発表の場がセッティングされているわけではないのでもっと緩い。おそらく目標は「楽曲を通す」これ自体と見ていてよいと思われます。

なので「楽曲を通す」ということ自体が強い目的であれば問題がないけれど「アイマスの曲が演奏できる」「初めての楽譜を演奏できる」あたりの動機の新奇性が時間やその曲の合奏回数と共に弱まっていく。

これがどのくらい弱まるかは個々人の状況によって異なっていくことと思います。初めて参加する人はまだまだ新鮮に思うかもしれないし、PBの中に友人知人が多い人はそれもまた楽しさを補強しているはず。

 

ちなみに自分はというと、それこそ10年近く手製の楽譜を演奏するということをやり続けていて、アイマスについても演奏だけでなく765プロ全員俺の声をやった(その節はPBから観覧のPさんありがとうございました)こともあるくらいなので、実はやや新奇性については失っていると自覚しております。

 

ということで「このフォーマットならもうちょい立ち回りを工夫することもできそうだなぁ」なんて考えることがありました。

 

・im@sPBでのムーブ

そんなことを考えたのと、たまたま「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」を聴いてブチ上がったことからノリと勢いで楽譜を作ってちょうどよかったので「指揮振ってみたいです」とお願いさせてもらいました。

ちなみに指揮の経験は全くないです。合奏はこれまでそこそこの数の指揮者に乗ったし、人を動かす言葉とかについては日々考えて様々な分野で実践をしているので、自分の持っている色んなものを組み合わせて当日に、指揮経験ゼロのパントマイム指揮者として臨むことにしました。

 

余談ですが知っている人は何度も伝えて知っていると思いますが、自分の音楽人生に大きく影響を与えたものに「ダニー・ケイとニューヨークフィルの夕べ」があり、指揮はパントマイムでも、演奏というエンタテイメントは高い水準に達することができる! と信じております。

 

自分が目指したものについて。

■前に立った瞬間から参加された奏者の皆様は自分のする話の観客扱い

「合奏をする」のは当日までに専門知識を十分に蓄積することができませんが、上述のように自分はストーリーテラーとして一次創作・二次創作しておりますので、檀上でのプレゼンはある程度の準備の上で臨むことができます。

なので、自分が担当した30分の自分の満足の設定は、目の前の人達に総体として面白いと思ってもらうこと。

 

自分が読み取ったim@sPBでのスタンダードな「流れ」では、合奏中は指揮台に立つ人が支配者であり、この指揮台に立つ人は自分の最大の満足を得るために考えうる最大のムーブをしていいが、それは流れを破壊せず、かつ参加者が満足するものにすべきであると思いました。

 

なので話した言葉も、楽譜の(例のバズった)指示も、その場に参加している人達を楽しませ、それを見て自分が楽しむための装置です。楽しんでいただけていれば幸い。やりすぎてたら見誤り、ごめんなさい。

 

■合奏時間の配分を考える

自分の場合には30分の合奏時間を貰ったわけですが、このうち音源を聴くのと通しが2回あることを考えると、その動きの前後と、自己紹介や曲の説明も併せて残っている時間は20分程度。この間に出来ることは相当に限られます。

ということでこの時に自分が決めていたことは「言葉に悩まないこと」でした。悩む時間を持って「時間が途切れてしまう」ことを忌避しました。プレゼンだったとしたならば、必要のない空白はダレを生じてしまう。

そもそも合奏自体には狙う完成形はないので、最初の通しで受け取ったことをどのくらいリプライできるか、最後の通しがどのくらい気持ちよくなるか。

これは自分の技術水準でも、音についてもっときちんと考えて臨むこともできたんだと思いますが、後悔するほどひどくはなかったのでいいことにします。立ちどまらなかっただけで自分よく頑張ったと思う。

言葉は自分が今まで聞いてきて印象に残っている指揮者さんたちの言葉を大量に借りました。

 

・感想と反省と展望

いやー指揮者って大変ですね。実感した。テンポキープするの大変だし、左手で感情つけるみたいなの全然できる気しないし、合奏見ながらスコアめくれないし。

でも陶酔感はすごい。なんで棒振ってるだけなのにみんな一斉に楽器演奏しだすの……? すごい……みんなついてきてくれてるけど、目の前に居るそいつ15時間前まで記憶なくすほど泥酔してたクズだからね……? ありがとう……大感謝だ……と思いながらやってました。

たったの30分なのに腕もスゲーだるいし。

 

反省として。出来ればもっと全パート褒めちぎっていくべきだった。特にベースやテナーサックス、ギター辺りはあまりおいしいフレーズを配置できなかったので、苦労をねぎらうべきでした。皆さんありがとう。こんな15時間前まで便器抱いてた酒クズに付き合ってくれて……

またもう一点、合奏上での小目標は明言すべきだったなと思いました。合奏の共同作業でいくら時間や完成形に確たる目標がないとはいえ「今回はこれを目指してみましょう」「目指したことはこのくらいできたね!」は判りやすい楽しみとなるはずなので、何か一つでも設定してみればよかった。

 

展望として。少なくとも自分は、合奏に乗っているときは引っ張ってくれる指揮者の方が気持ちよく乗れます。ので、これは希望なんですけれども

★指揮者はその時間を強く支配して、自分の希望やエゴをどんどん明言してほしい。

★支配することに奏者として付き合うので、指揮者が考える奏者としての愉しみを与えて欲しい

★「流れ」の中で「楽しい」なら色んな遊びをしていいと思う

 

ということがうまく回れば、単回単回がより楽しそうだなと思いました。

勿論他にも「オフ会」を楽しくする手段はいくらでもあると思います。ひとまずここではその一つの手段として「その時間を支配している指揮者のエゴと、それに付き合う奏者の関係」を追求してもよいのではと思い、明文化させていただきます。

 

長々書きましたが「アイマス曲をやる!」の愉しみを「いま」最大化するためには「前に出た人は微塵も遠慮しない方が全体的にプラスだと思う」ということを「意識してやる」ことが「歴史を重ねている」からこそ必要で、意識していったほうがより楽しくできると思うということを言いたかったわけです。

 

なかなかPBにコンスタントな参加は難しいので、ここに記しておきます。

7/21関東はありがとうございました。お疲れ様でした。

【感想】戦場のヴァルキュリア3

2011年のゲームなのでネタバレしてどうというものでもないと思いますがネタバレです。

 

 

戦場のヴァルキュリア3 EXTRA EDITION - PSP

戦場のヴァルキュリア3 EXTRA EDITION - PSP

 

 

シリーズ作品はプレイしておらず3だけをやりました。3だけやって大丈夫とご紹介いただいたためです。

ツタヤ等で様々なゲームのサントラをレンタルしまくっていたころにこの作品のサントラも借りたのですが、タクティクスオウガ等でおなじみの崎元氏がコンポーザーをされており、耳なじみのある音楽だったので印象に残っていました。

ゲームとしても素晴らしいとのことだったのでプレイしてみました。

 

素晴らしかったです。

 

ゲームシステムとしてはものすごくのめり込む! というようなものではないですが、ストレスは少なく、しっかり考えられた面白いシステムでした。やや常識外れな画面だったけど、ゲームとしてだからよいでしょう。

基本はマスゲーのシミュレーションRPGのようで、自軍をコスト分だけ動かし、フェイズ終了して相手のターン、全滅または敵地占領でクリア。

コストを使用して自軍を動かしているときは半リアルタイムで、敵の射程範囲内に入ると敵が迎撃をしてくるため、迎撃されっぱなしだとこちらの行動ターンであるにも関わらず、HPが尽きて撤退となります。

ので、死角から進軍、もしくはダメージを覚悟で走り抜けるなどするか、または遠距離からの狙撃で先に進軍ルートを確保するか、などの対策をとる必要があります。

兵種ごとの移動可能距離も大きく違うため、うまく組み合わせて進軍するための絵をかくのが面白いシステムです。

 

素晴らしかったのはキャラとストーリーでした。

戦争状態にある2国のうち”ガリア公国”側に属するのが主人公たちですが、エリートだったはずの主人公は、上司が「主人公に見られてはいけないところを見られたかもしれない疑念」によって無実の罪で懲罰部隊「ネームレス」に送られます。

ネームレスには様々な人物が様々な理由で送られ、または集まっており、彼らの戦果は決して記録に残らず、また時に汚れ仕事までも命令される過酷な部隊。日々、厳しい指令が下り、拒否すれば銃殺という毎日です。

 

ネームレスに居る人達はお互いを名前ではなくナンバーで呼び合っており、信頼した相手にしか名前を告げません。

主人公はストーリーとともに戦果を挙げることで徐々にネームレスの面々から認められていきます。

ネームレス「内」は多様なキャラクターが居て、みんな極端ですが基本「いい人達」なので、このチーム内のやりとりはとても面白い。

たとえば主人公クルトは、完璧キャラですが、理解できないことに対してのメンタルが弱く、理解に苦しむことがあるとキャンディをバリバリ齧るという極端な一面を最序盤に見せてくれます。これがまず楽しい。最強の俺じゃなく、すごく偏った変な天才なわけです。

ヒロインは二名、素直でぐいぐい来るキャラ・リエラと、ツンツンでなかなか心を開いてくれないキャラ・イムカ。この二人と超絶朴念仁のクルトが見せる水着回はラブコメの教科書みたいな素晴らしい回で、溜息が出ました。本当に戦争が背景なのかこれは。

 

ドラマはキャラクターたちが置かれた「境遇」によっておこります。なぜクルトは懲罰部隊へ送られたのか。これは戦争状態にあるそれぞれの軍上層部が結託して戦争を長引かせ、結果として情勢不安から宗教への信徒を獲得するためで、戦争は長期化自体が目的。

そして戦争する二国で被差別人種となっているダルクス人、この独立を望む実力者。戦争を背景に様々な思惑が渦巻く中で、主人公たちネームレスの中にも居るダルクス人が置かれる立場によって、戦争に参加していく「ネームレス」というチームに起こる事件はプレーヤー自身の「ネームレス」というチームへの没入を深め、愛着を深めてくれつつ、ドラマが非常にしっかりしている。

 

クリアには80時間かかりましたが、クリアする頃にはネームレス全員が好きになっていて、彼らの物語をもっと先まで見せて欲しい……もう終わってしまうなんて寂しい、と思わせてくれるとてもよいゲームでした。結果的に、同じ時間軸で別の場所を描いているらしいシリーズ他作品への興味も高まっているところです。

 

多くはない関連書籍も手に入れようかなぁ、と迷っているところです。楽しいゲームプレイでした。

【ネタバレ】「きみと、波にのれたら」感想

kimi-nami.com

 

以下、ネタバレを含んで感想しますのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々と映画を観ていたらたびたび予告に現れてきていて、最近多い恋人が死んじゃう系だし、俳優中心に起用されてるアニメ映画だし、主題歌はEXILE系だしこれはnot for me感が高いからスルーかな……と思っていましたが公開後の良い評判が聴こえてきたので観に行ってみることにしました。

 

面白かったです。

 

監督の作品で自分が観ているのは「夜は短し歩けよ乙女」くらいでした。

ということで監督の印象では語れないのだけど、監督のお名前でも話題になっていた気がします。

 

さて、面白かったポイントです。

こういう「恋人が死ぬお話」は、主人公によるパートナーの死の受容と「その先」が定石だと思います。つまり、彼/彼女は死んでしまったけれど、彼/彼女の死を受け入れて、これから頑張っていこうぜ。という構造。

 

この映画ではそれが転倒していて、主人公はパートナーの死に出会うけれど、パートナーは限定条件では主人公とコンタクトがとれる。よって消えない=死を受容できない、する必要がない。

でも、パートナーが死んだという事実は主人公にトラウマを残している。解決すべき課題がある。

 

パートナーの死を受容し、残されたものたちとの中でトラウマを克服するのが定石のところ、パートナーがそのトラウマの克服を手伝おうとする、という妙な関係になっているわけです。

 

が、それが最終的に物語の中の出来事に巻き込まれる形で「パートナーの意に沿う形で」パートナーとの真の別れが訪れ、主人公もトラウマを克服していく。

 

と、引き算で残っているのが「死の受容」ですよね。

この「死の受容」がエンディングシーンです。

主人公がパートナーの死を受け入れ悲しみに暮れむせび泣くところがラスト。

 

死んじゃった、哀しい → 受け入れて前に進もう、幸せだったよね

ではなく

死んじゃった、でも居るわ → 幸せだった、受け入れて前に進もう → 居なくなった、立ち直った → 受け入れる、哀しい

なんです。

 

字面で書くとものすごく悲壮感が漂う話のように感じられると思うんですが、思った以上にポジティブな「解決」のイメージで終わります。それは恐らく主人公とパートナーの関係、周りの人との関係、勧善懲悪、そのほか無数の装置から出来上がっていると思うわけですが、それが成立してる脚本と映像ってすごいな、と思ってしまいました。

 

映像演出、SF(すこしふしぎ)としても面白いと思います。印象としては「ペンギン・ハイウェイ」に近い作品でした。

 

 

さらにもう一つ、パートナーの妹の洋子の位置づけが上手で唸りました。高校生(だと思う)の彼女は出会う度に主人公に対する態度が激しく変わっているのですが、それが奇妙に思う傍ら「あ、こんなに態度が変わるくらい時間が経ってるんだな」と思わせてくれる装置になっていました。

 

特に主人公は前に進もうとしない役どころだし、他のキャラクターは社会人で立場が大きく変動しないので時間の経過が緩く、洋子によって観客に時間を知らせてくれるというのは面白く感じたポイントです。