「ひきだしにテラリウム」に魅せられ購入しました。九井諒子さんの短編集です。ショートショートである「ひきだしにテラリウム」より一話あたりのページ数が多く、その分世界観が掘り下げられています。
一番好きなお話は「魔王城問題」です。よくよく目にする剣と魔法の世界観からヒーローが不要になった時に、そこにはどんな生活があるのか、という発想にははっとさせられます。
そして、それらをしっかりと詰めたうえで、一つのコマで見せる世界の深さとおおらかさ。読者の側が見せられる視点の高さが巧みにコントロールされています。
一方で、設定をたたまないままにふっと終わってしまうようなお話もあり、それはそれで不安を残したままの現実感があります。
「ひきだしにテラリウム」が持つ凝縮された起承転結の妙技とはまったく別の手法で構成されているため、好みは分かれるかもしれません。
- 作者: 九井諒子
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2011/03/30
- メディア: コミック
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