上田慎一郎監督の映画「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」を観ました。
上田慎一郎監督は「カメラを止めるな!」が有名になり、以降自分にとって気になる監督で活躍を追っています。「イソップの思うツボ」「スペシャルアクターズ」「100日間生きたワニ」も観ています。
映画のあらすじは、真面目に仕事をしている主人公、税務署員・熊沢が、部下の行動から巨悪に相対し、沸き立つ「怒り」を権力で封ぜられます。そんな時に泣きっ面に蜂、詐欺にあいます。しかしこの詐欺がきっかけで、熊沢は詐欺師・氷室と出会い、そこからこの「怒り」のために新たな行動を開始します。
という内容で、類似のストーリー映画としては同監督の「スペシャルアクターズ」またクライムものとして「オーシャンズ11」が挙げられます。オーシャンズ11については監督自身も題材として挙げていたはず。
原作となる韓国の小説があるようで、あらすじをざっと見るとキャラクターの配置や人間関係をそこから引っ張ってきているようですね。
「気弱な税務署員」熊沢さん役である内野さんの演技が好きで、この「すごく大事な時に何かをやらかしてしまいそうな人」感が素晴らしいです。ちゃんとハラハラさせてくれる。
また、感情面で、たとえば「カメ止め」「スペシャルアクターズ」だと、全体的に演劇的な、やや過剰な演技、舞台に合いそうなコメディ感があり、特に「怒り」のようなものの演技はあまり現れてこなかったのですが「アングリー」と表題にあるとおり「怒り」の表現、内に滾らせるもの、外に出るものそれぞれの怒りの表情が良かったです。
「オーシャンズ11」でも感じたことですが、二時間という枠はそれぞれの特殊能力者のポテンシャルの一端を観るくらいがせいぜいになってしまうので、それがちょっと残念なところですね。もっと贅沢に観たいキャストです。
しかし序盤から説明されたひとつひとつのことが丁寧に回収され「上田監督脚本らしい」全体の流れになっていて、やはり非常に気持ちが良かったです。「怒り」がメインでも、監督の人の良さが出てしまう脚本でした。
他の映画に押されてシネコンでは放映が縮小されてきているのが寂しいですが、手放しで楽しめる映画なので、お勧めです。