公開日の1/17に観てきました。
翌日に新年会を企画しており、参加者で語れそうな気配があったので、チャンスと思い意を決して鑑賞しました。以下、ネタバレを含んで感想を述べますのでご注意ください。
前半パート。
関連会社の各種ロゴサウンドが流れたのちの「Beginning」の文字と共に機動戦士ガンダム初代のサブタイトルバックのジングルが流れた瞬間に「あ、これはやる気だぞ」と思い、そこから「ジーンが待機する」という流れで宇宙世紀のifをやるんだ！ というところからはとにかく楽しく観ていました。
たびたび流れる機動戦士ガンダム初代の音楽（といっても自分にとってはスパロボやGジェネでの印象が強いのですが）、初代をオマージュしたシーン、シャアの活躍の後ろでちょくちょくセリフで流れていく本来の要人たち、最後に思わせぶりに名前だけ出るアルテイシア、駆け足ながらも楽しいifの時間でした。
特に赤く塗られたガンダムが活躍しながら、初代のサントラが流れるのは「これはもうGジェネレーションじゃないか」と思いながら観ていました。人によってはギレンの野望だと思いながら観ていたみたいですね。夢のような構図。
観ていた時にはとても楽しく流れに乗っていたのですが、終わってから落ち着いて反芻したときに、GQuuuuuuXの世界のシャアに対する何とも言えない寂しさを自覚しました。あの世界の彼にはアムロもララァも（少なくともスクリーン上の流れには）現れず、ただただ優秀な戦士であり続けている。
それは華やかだけど、しかしGQuuuuuuXではないシャアを知っていればいるほど、なんだか彼を取り巻くものがとても物足りないような印象を受けました。いや、GQuuuuuuXの世界でも、シナリオがフォーカスしたシーンの外側には、シャアのライバルや恋人の姿があったのかもしれません。
でも、自分にとってシャアは、赤い彗星ではあるけれど、同時にアムロに翻弄され、のちの歴史では共闘したりとっくみあいの喧嘩をしたり、同じ強度のニュータイプとして反応しあったり、ララァを取り合ったり、その後も（ある種しょうもない）男女関係に興じてみたり、最後にララァは母になってくれたかもしれない女性とか言って全員を（えぇ……）って思わせたりするのが大部分の存在だったんです。
そういうものがなくなってしまって、更には急に舞台からも去ってしまったシャアに、とても寂しさみたいなものを感じていたのでした。身もふたもない言い方をするともっとしょうもないシャアが人間くさくて好きなんです。
また、原作を彩っていたセリフも、それに似せた脚本の文章と声色にはなっていたけれど、GQuuuuuuXと、機動戦士ガンダム初代とでは違うものだなという印象がありました。これは長く聴いた池田秀一さんの声と「富野節」と言われる脚本の噛みあいがあまりに強かったことのギャップから来たのかもしれません。
もしくは「逆襲のシャア友の会」誌の中で山賀氏が話していたような富野氏が「その世界にスペースコロニーがあると思っている」ような、思い込みの強さに差があるのかもしれません。GQuuuuuuXのように「その世界の違う歴史」を描くとき、どうやったって「初代のガンダム」を参照しないといけなくなる。そのときに、参照し引用して作る作品にどれだけ「この世界が本当にある」と思い込むことができるか。そのうえでシャアの脚本をどれだけ作ることができるのか、というのは、難しいと思います。
前半は情報のジェットコースターみたいでとても面白いけれど、観た部分だけで「シャア」という人物を考えたとき、むしろ機動戦士ガンダム初代の世界のシャアの恵まれ方、GQuuuuuuXの世界のシャアの寂しさを感じてしまったのでした。この後、機動戦士ガンダム初代の世界のキャラクターが絡むのかどうか、気になるところです。
後半パート。
思った以上に前半パートとの絵の変化に違和感がなくて驚きました。キャラクターデザインの竹さんは戯言シリーズの時から印象に残っているので、ポケモンのキャラを担当された時もそうでしたが、出世ぷりに驚くばかりです。色遣いが印象的なんですよね。
GQuuuuuuXの世界での歴史に気をとられがちになってしまいますが、しかし現実に新しい社会がそこにあるわけで、その社会、政治関係をもう少し深く観たいなという印象が残っています。クランバトルの事はわかったけど、それを取り巻く様々なものをもっと観たい。
後半パートになってから自覚的に気を付けたのは前半に引っ張られないようにすることで、最後まで見てからは特に「前段は面白かったけど、この先はもう出てこない要素というくらいに考えよう」と思っていました。それが正しいのかはわからないけれど、GQuuuuuuXはあくまで別世界の新作ということで、原典の重力に引っ張られないようにしたいと思います。TV放送では前半パートは放送されなくてもおかしくないですしね。
沢山登場した新しい用語、重要な位置にいる原典との共通キャラであるシャリア＝ブル、いかにもガンダムらしいキャラクターの配置、いろいろ気になるところはありますが、まずは続きを座して待ちたいと思います。感想戦はいつでもやりたいです。
