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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

「アイドルみやびはギャンブルがお好き」感想

booth.pm

西織氏(https://twitter.com/nisiori3)のオリジナル小説作品を2冊読了。素晴らしい作品だったので紹介と感想を述べたいと思います。

現役アイドルは闇カジノ通いを趣味としていて、プライベートで飛び込んだ裏カジノで様々なギャンブルに興じます。 謎の博徒である鯨波、ネットポーカーで活躍するVtuber霧雨ナツ、親世代の様々な麻雀イカサマ師……と、ギャンブルの種類もキャラクターの種類もバラエティに富んでいて、かつフィクションならではのアンダーグラウンドな世界を楽しめます。 キャラクターや筆致はポップなライト文芸のそれで、メディアワークス文庫講談社ノベルスを彷彿とさせますが、題材は「竹書房!」といった様相で、文体が趣味に合えばスポーツドリンクを飲むようにギャンブルの世界をガブガブと楽しめます。

お勧めしたいポイントとしては「そのギャンブルが何をやっているか非常によくわかる」という点を上げたいと思います。そもそも、ギャンブルで基本的なテーブルゲームボードゲームというジャンルは小説という形式と相性が良いのだと思います。身体的な所作の美しさより、思考、ロジックの美しさが勝る場面が多い。 ゆえに、初見の人向けにいかにルールや場面を簡潔に説明し、ロジックの美しさや駆け引きのエキサイティングさを描くかということが重要になります。この作品はそれに成功しています。図などの使用も適切。

読んでいる間に自然と思い出したのは「マルドゥック・スクランブル」のポーカーのシーンで「みやび」ではエピソードあたりにかける文字量は短いですが、ルールを明確にし、数値を明確にし、そのうえで行われる駆け引きには同様のヒリつきが感じられます。

BOOTH等で販売されている冊子版はレイアウトが講談社ノベルスをリスペクトして作られており、非常に読みやすいレイアウトとなっておりますが、本編については小説サイト「カクヨム」で無料で読むことが可能です。

kakuyomu.jp

 

お勧めですので、まずは最初の章から如何でしょうか。