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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

【ネタバレ】映画「竜とそばかすの姫」感想

細田守監督の「竜とそばかすの姫」を観ました。

 

ryu-to-sobakasu-no-hime.jp

 

以下、感想ネタバレあり。

 

総評としては「良かった」と言えると思うんですが、そこには一つ前提があって、自分は「時をかける少女」(正確にはぼくらのウォーゲームもだけど)以来ずっと同監督作品を見続け「未来のミライ」で細田監督が脚本向きではないと考えていたので、最初から「脚本がよろしくなくてもショックは受けない」という前提がありまして、本作も「まぁ脚本は散らかっていたな」という印象なのです。

 

脚本についてのあれやこれやはあとあと述べるとしても、じゃあ何が良かったのかっていうと映像と演出が良かったなと言うところです。気持ちとしては「ラブライブ!」の映画を観たときに近いです。そういう意味で、観たことへのネガティブな感想は全然ないです。面白かった。

 

ということで先に脚本についての印象を述べていきます。

お話上不要なキャラクターが多くて、それが散らかった印象をもたらしています。コーラスのおばちゃん五人が寄与するものはなかったし、しのぶくんはただただかっこいいだけだったし、カミシンとルカちゃんはそこで関係が独立して終わってたし。最終的にみんなベル=すずとわかっていたというのはもう少し面白くできたネタだと思うんですが……

ベルと竜の結びつきもそんなに強くなるだろうかというものだったし、意味深だったクリオネのアカウントについても結局明言はされず。

ジャスティンと、恵/知の父の関係も、同一人物をにおわせるような映像表現をしつつ、作品中の「アバターの中と外は同じ声」の一貫性とずれているし、なんというか、悪い意味でお話然としてない感じです。

 

「お話にあまり必要のない人がいる」のは今回に限った話ではないので、究極無視はできてしまいますが、もう少しお話に絡ませてほしかったという印象が強いです。

 

そのような脚本にもかかわらず全体として「良かったな」と思えたのは、歌とそれにまつわっての映像の演出が良かったからで、MVとして見て単純に良いものを観たと思えました。歌は良いんですよ。仮想空間の描写も、現実の夏の風景も良い。

また、カミシンとルカちゃんの初々しいやり取りは最高で、細田監督作品はこういう描写は本当に最高なのでこれだけで一作やってくんないかなと思ってます。こういうベタ甘が観たいんです。宮崎監督も庵野監督も新海監督もこのベタ甘をやらないと思いますし、これだけで勝てると思うんですよね。何に勝つんだか知らんけど。

また、女子高生が一生懸命走るというのはそれだけでとても良いです。一生懸命は強い。

 

多少趣味の部分が強くなりましたが、音楽・映像の力でどんどん押してくれるので、それが物語を補強してくれたという印象で、全体としては観れてよかったなと思いました。

これはそういう映画なのだと思います。