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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

【ネタバレなし】映画「サイダーのように言葉が湧き上がる」感想

映画「サイダーのように言葉が湧き上がる」が最高だったので感想を書きます。

 

cider-kotoba.jp

 

劇場の予告で映像を観たときに「これは最近ありがちな夏休み向けの、アイドルとかが出る漫画原作あたりの恋愛映画をアニメにしたやつかなぁ」なんて思っていたのですが、ちょこちょこと良い評価を目にするようになり、気になったので観に行きました。

 

この夏(2021)ではこの映画を一押しにしたいと思います。

映画大好きポンポさんと悩むところですが、ポンポさんは押してくれる人が多そう。

 

以下、紹介はストーリーのネタバレをしないようにしますが、せっかくでしたらこれを読む前に観に行って欲しいです。

 

 

あらすじとしては、画像のトップの二人の恋模様を描くわけですが、すれ違ったりしっとりしすぎたり、と言うことはなくて、むしろ話の中心は物語の舞台であるショッピングモール、その中に位置するデイサービス、さらにそこを利用する「フジヤマ」さん。

この老人フジヤマさんと、主人公であり俳句を嗜む「チェリー」、そして人気ライバーであり矯正中の出っ歯を気にするヒロイン「スマイル」、そのほかの登場人物がひと夏のドラマを作り、最終的にはチェリーとスマイルのわけなんですが、脚本にまったく無駄がありません。登場人物に等しく好感を持つことができ、ポップな画は情景を巧みに映しつつ物語の誘導も鮮やか。二分割された画面のテンポのよさと、それぞれの表情や顔の向きで進む場面の軽快さはもう一度観たいです。

 

なにより感動したのは、どこまでもポジティブなSNSの描き方。鬱屈とした世相の中で、SNSによって人と人とがつながることができ、何かが前に進むということを描いてくれています。こういうSNSの使い方が望ましいよね、という心地よさ。自然に成立する二人をずっと応援したくなります。

 

「ポンポさん」もクリエーター賛歌で良かったですが、いわゆる夏の、ポップな恋愛を描いたアニメらしいアニメとして、90分でここまでまとまっていて好感が持てるものはなかなか出会ったことがありません。

たぶんディスク買っちゃいます。ぜひご覧ください。