paper-view

ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

観たもの読んだものの話 190414

最近新たに観たもの読んだものについての話。

 

グリーンブック(映画)

https://gaga.ne.jp/greenbook/

映画の公式サイトは勝手に動画を流し始めるのやめてほしい。

1962年にジャマイカアメリカ人(黒人)ピアニスト、シャーリーとのライブツアーの運転手をイタリア系アメリカ人(白人)ヴァレロンガが務めるというお話。つまりはヴァレロンガの黒人に対する意識が変容していく、というもの。

非常に「バランスがいい」映画で、過度に不快感を催すようなところもなく、メリハリはしっかりしていて、観た後に残る感情もとてもすっきりしている、さらっとした映画。

直後に挙げる「ブラック・クランズマン」とは「映画」の立ち位置がまるで違っていて面白い。あまり作品と関係ない文脈を交えて作品を見るべきじゃないとは思うけれど、扱っている題材から考えていけば、作品単品としての観賞と、同時期に映画としてブラッククランズマンとグリーンブックが現れ、それぞれが得た評価、というのも一つの物語として考えてみるのが面白いと思う。

 

ブラック・クランズマン

https://bkm-movie.jp/

映画の公式サイトは勝手に動画を流し始めるのやめてほしい。

アフリカ系アメリカ人(黒人)の巡査となったロンがKKKの潜入捜査をする、というお話。とはいえ、実際に現場に行くのは白人なので、無理なことをもしやったら、というコメディの映画ではない。

最後に一撃ぶんなぐってくるので、こちらの「映画」と上述している「グリーンブック」における「映画」というのは、同じ種類の題材で、同じ劇場で放映されるけれども、だいぶ持っているものが違う。何かの役割を果たそうとしているかどうかはともかくとして、結果として観客に何かを与える、その機能は全く違うところが面白い。

これも「せっかく同時代に出てきたのだから」グリーンブックと一緒に観てみるのをお薦め。

 

スパイダーマン:スパイダーバース

http://www.spider-verse.jp/site/

最高にクールなアニメ映画。

自分はマーヴルヒーローものについては格ゲーのマブカプと、映画でデッドプールを1と2観た程度の知識しかないのだけれども、そういうことは一切問題とならずとにかくこの単品だけで観て最高なので是非観ていただきたい映画。

この映画について話すために(日本の)アニメ映画を批判するというのはうまくないような気がするけど、アニメ映画の表現方法として出来上がっているもの、CG映画との表現方法として出来上がっているものがあって、その文脈を踏まえつつ「コミック」的な表現を加えてかっこよく仕上げてあるというのが素晴らしい。映像が楽しすぎてテンションが上がりまくる。

かつ、日本で話題になっている「ペニーパーカー」ちゃんの描写が、メインではないけれども、アメリカ的でありながら同時に「日本人にちゃんとウケる」キャラになっているのが凄い。これ、このまま進化していったら日本のギャルゲーとかアイドルゲーの文脈をどんどん持っていかれてしまいそうである。

あー、放射性のクモに噛まれて最初から説明したい!

 

1984年(ジョージ・オーウェル

 

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

 

 1949年に発表されたSF小説。全体主義、完全な管理社会のディストピアを描いた作品。とにもかくにも「管理」に関する着眼点が素晴らしく、国内を流通する「言語」をコントロールすることで思想をコントロールしていく(反社会的思想を語るための言葉を奪うことで反社会的思想を封じ込める)という発想が素晴らしい。

この作品の中で、最高指導者である「ビッグ・ブラザー」のポスターが街中に貼られ、どの角度からでも自分を見ているように思えるという描写や、テレスクリーンを通して監視されている、という描写を通じて自分たちの世代なら当然思い出すのが「ドラえもんのび太の小宇宙戦争(リトルスターウォーズ)」であり、リトルスターウォーズの発表年が1984年。藤子先生……!

メタルギアソリッドV」とも関連が深くて面白い。

 

 

ひとりぼっちで恋してみた (田川とまた)

ひとりぼっちで恋をしてみた(1) (ヤンマガKCスペシャル)

ひとりぼっちで恋をしてみた(1) (ヤンマガKCスペシャル)

 

 表紙観て買うかもしれないなと思って結局買った漫画。

ドジな女子高生が恋をする漫画なんだけれども、これはどうやらメイン題材は恋ではないなというところで一巻が終わった。胸キュン床ゴロゴロする漫画かなと思っていたけれど、突き付けられたそれはそれで最後まで見届けないと……という感覚になってしまった。ヤングマガジン系なので最後の最後まで不安な思いで楽しめそう。

 

 

君のくれるまずい飴(冬虫カイコ)

君のくれるまずい飴 冬虫カイコ作品集 (ビームコミックス)

君のくれるまずい飴 冬虫カイコ作品集 (ビームコミックス)

 

 少女たちが主人公の陰鬱な短編。感情が爆発するでもなく、胸糞悪い、というのともちょっと違って、テンションが低い位置で不快な音を立ててるような作品が並ぶ。最後にひょっとして何か明るい情報が……と思ったところでそんなことは一切ない。