この前の冬コミで小説同人誌をオフセットで作ったので、やり方を記録しておきます。今後作ろうかなと思ってる人の参考になれば。
作ったものは新書版同人誌、238ページ、カバー巻です。
■基本的なこと
あんまり入稿を回数重ねたわけではないですが、一般的には、
1ページ→表紙
2ページ→表紙の裏側、基本的に白紙
3ページ→本文の一ページ目
最終マイナス2ページ→本文の最終ページ、だいたい奥付が乗ってる
最終マイナス1ページ→裏表紙の裏側、基本的に白紙
最終ページ→裏表紙
だと思います。24ページの本なら4ページ分が表紙+裏表紙、20ページ分が本文。
内表紙や奥付を外すと、内容的には18ページ分。
あとはここ参照。
■本文部分の作製
内容はできてる前提。割り付けとかの話。
こだわるならばAdobe illustratorやindesignを使用するべきだと思うんですが、あまり習熟していないのと、そもそもindesignをもってなかったのでwordで作りました。
イチから作るのは大変なのでテンプレートファイルを使うとよいと思います。自分のを作るときは楽描堂さんの新書テンプレートを使用させていただきました。
ここから、紙のサイズは印刷所の指定のサイズに設定します。はじめてだと「塗り足しってなに……?」ってなると思います。「塗り足し」は、紙面の端っこまで印刷すべきものがある場合に、はしっこが切れてしまわないように、あらかじめ広めに用意しておく部分です。よって小説の本文ではほぼ使うことはないと思います。紙のサイズだけ気にしておきましょう。
塗り足しが3mmとかって書かれると、画面上の見た目よりも周囲が3mmずつ減るってことですので、視覚的な差異に注意してください。画面で見えてるよりも余白が小さくなるよってことです。
同様に、トンボとかも今は無視しておきます。
行数と文字数を定めます。読みやすい数になるように……といったところですが、素直に普段読んでいる本の数を真似たらいいと思います。ついでに紙に定規を当てまくってどこがどのくらいのサイズになっているか計ったらいいと思います。
禁則処理もします。禁則処理がわからない人は検索していただいて、実際にwordで禁則処理を入れるときはお持ちのバージョンと禁則処理で検索していきましょう。
ついでに、文字によってはダッシュ(――)が繋がらない場合がよくよくあります。これは文字の倍角処理で回避しましょう。結構面倒ですが綺麗になると気持ちいいです。
小説は紙になると、割り付けで読みやすさが劇的に変わりますので、これはこれ以上ないというくらいこだわってよいポイントです。作業的には最後の工程になると思いますが、だからこそ本文は余裕をもって仕上げましょう。レイアウトの読みやすさは読み終えてもらえるかどうかにかかわります。
フォント選びですが、まよったらMS明朝でもよいと思います。明朝体も多くのフリーフォントが公開されていますが、長時間読んで疲れないものは多くありません。自分の作った本ではIPAex明朝を使用しました。フリー使用できて読みやすいです。
なお、フォントによってダッシュがつながる、つながらないなどがありますので、根気よく設定をしてください。wordは意外と融通が利きます。
最終的にはpdfで出力します。pdfで作ればだいたい、印刷所さんで受け入れてくれるはずです。ただし、トンボが出ないので、紙面が塗り足しありなのかなしなのかはファイル名や発注の際に明記したほうがいいと思います。
■カバーの作製
表紙はPhotoshopで作りました。イラストは描いてもらったんですが、ロゴと割付は自分でやってます。これは「小説同人誌」とは別の領域なんで、大部分割愛しますが、これも「手近な小説本をお手本にする」ことにかわりはありません。
デザインっていうと普段やらない人はちょっとしり込みするかと思いますけど、自分が素人なりに気を付けてることは下記のようなものです。
・「並べる」というよりも「重ねる」で考える
文字書きから一番遠い思考だと思います。イラストでも写真でも、平面状に二次元的に並べるのではなくて、三次元的に重ねて配置していくと、奥行き感が出ます。wordしかない! っていう場合でも、素材の回り込み設定をうまくすればできる、はず。長く続けるならばphotoshopやillustrator、もしくはそれらに準ずる画像編集ソフトの勉強をして損はないと思います。
・ごちゃついたら減らす
いちばん見せたいものをかっこよく見えるようにするための作業なので、それを害するようなものは積極的に減らします。
・実際の大きさにして確かめる
画面のサイズを実際の本のサイズにして見栄えを確認します。サイズ感が違うとずいぶん見え方が変わります。理想は印刷して確かめることです。
・描けなくても気にしない
絵とかかけなくても世の中に山ほどあるフリー素材で表紙はどうにでも作れます。
・お手本をなぞる
自分の作りたい表紙と雰囲気が近い、かっこいいと思う本の要素を分析して配置を真似ていきます。読みやすい配置、映える配置はだいたいパターンがあるものですので、それを真似ていくことはとても大事です。
ロゴを作るときには、むしろフリーフォントがとても役に立ちます。大いに活用させていただきましょう。
■表紙(カバーではない)
表紙はとくにこだわらず、シンプルにしました。これはいろんな新書・小説本のカバーをめくってみたところ、ほとんどがシンプルな表紙だったためです。しっかり調べてないんですけど、カバーを外して並べたときのレーベルごとの美しさが優先されたのかもしれません。
■入稿する
はじめてだと怖いと思うんですよね。RGBとかCYMKとか言われてもよくわかんないし。塗り足しとか埋め込みとかこれで合ってるのかわかんないし。専門用語が多すぎるんだ、ここの部分はとくに。
なのでまずは
・やったことある人にデータ一式と予定している印刷所を渡して、チェックしてもらう
がよいと思います。そんな人がいない場合は
・データチェックまでしてくれる(オプションに入ってる)印刷所に余裕をもって申し込む
ってな感じだと思います。慣れると難しいことはないんですが、何事も最初は不安ですよね。
だいたいこんな感じでしょうか。判らないところがあればコメントででもお尋ねください。
出来上がったものを手に取るとテンションがあがりますよ!
c93で作ったものは下記です。お願いしたのはstarbooks様。