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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

個別が先か? 全体が先か? の話

先日、アンケートを実施してみました。多くの方に拡散していただきまして、291票に達したのでとりあえず、回答者の偏りは減らすことができたのではないかと思ってます。ご協力いただきありがとうございました。

 

 

一般的なケースにするために「貸し借り」というシチュエーションを選んだんですが、これを書いたことによって複数の人から「ごめんあれ返してないや」とご連絡をいただきまして、自分はとくに悲しんでいるわけではないということはお伝えしておきます(笑)

 

なんでこのアンケートを思いついたのか? ですが、仕事中の一幕でして。後輩が先輩に、ある案件についての対応を尋ねていました。自分がそれを横で聞いている。先輩は方針を伝えていたのですが、後輩はあんまり納得していない様子。

 

自分はというと「後輩は納得しないだろうなぁ」となんとなく思いながらそれを眺めていました。

ここにはややっこしい問題がありまして。

先輩の考える対策は、通常自分たちが依拠しているルールの中で「できる」対策なんですね。それをすることができる。

ただ、通常依拠しているルールの中で「できる」対策を「すべての案件に平等に適用することができるか?」となると、それはあやしい。

恐らく後輩がひっかかったのはそこなのだと思うのです。後輩は最初に「そのケースを全件に適用できるか?」を瞬間的に考えている。

 

考えかたの広さの違いです。

ある対策Aがルールに合致しているからOKだと考えるか。

ルール上できてもやや特殊な取り扱いをしていると考えると、その対策を全員にすることが問題あると判断できるなら対策Aを取りうるべきでないと考えるか。

個で観るか、全体で観るか。

 

後輩はそういう意味では視点が広い。

ただ、全体を見て動きが鈍くなると、個別ケースの対応が遅れる。もしくは、対策をしきれない。この間のバランスが難しいと思うわけです。

 

というわけで、質問のシチュエーションに戻りまして。

この案件についてはAは本を返せよ、Bはいっぺんくらい催促しろよ、で現実的な対策は出るのですが、いくつか質問に際してワーディングを配慮しました。

Aが3年借りているというのは、一冊の本に対しては明らかに借りている時間が長すぎます。つまりAには明確な落ち度がある。

Bは悲しんでいるということだけを書きました。つまり、Bは貸したものが自主的に返ってこないと、催促をする前にマイナスな感情を抱く。

 

「この件については」Aに返してね、と言えば終わる話だとしても、Bは今後もいろんな人と貸し借りをして、それがかえってこないたびに悲しいと思うかもしれないわけです。

そこで、Bが期日を設定して貸し出すことで、この悲しみをある程度の割合で軽減することができるわけです。何日までに返してね、と言えば、良識ある人はまぁ返してくれますから。

じゃあ、日常的に期日を設定したほうがケースを重ねるなら悲しみの軽減に実際的じゃん。と考える――みたいなことを瞬時にやるくせのついている人は「Bが期日を設定していないことが気になる」んじゃないかな、と思うわけです。

 

その狙いに合致した答えをいただいたかどうかはわからないですが、アンケート結果は概ね4:1で分かれまして、やっぱり圧倒的に個別ケース対応が先に考えられるわけですが、一方で「そんなの期日設定しときなさいよ」という考え方も一定の支持があり。面白いなと言ったところです。

 

どちらがいいか? というのは評価の仕方によって変わってくると思いますが、瞬間的な判断の違いが現れてくることは、意識してみると面白いです。