TLで編曲の話が盛り上がっていたので、自分の記録を。
GAMEバンドとかでゲーム音楽を音とりして吹奏楽編曲をするまでの手順です。
まず、大前提として
・音楽の専門的なことはよくわからない
という自分の現状をしっかりと挙げておきます。
ではそういう素人がなんでこれを書くかっていうと、編曲とかは「挑戦したもの勝ち」だと思ってはいるのだけど、いわゆる楽譜作成ソフトでどういうことが簡単にできるのか? というところの感覚がつかめないと、作業内容がブラックボックスだと思うんですよね。
自分はPCの使用には強い方だと思うので、そこのハードルはとても小さくて、自分の浅い音楽知識をソフトの機能で補強して編曲をとりあえずしています。
そういうわけで自分の編曲の手順を。
1.演奏したい曲を決める、音源を揃える
1曲なら1曲。メドレーならメドレー分の曲手に入れます。万が一midiをお金払って公開してたり、ピアノ譜が販売されていたりするならそれを手に入れてもよい。ニコニコ動画で楽譜を作っている人がいる場合もある。さらに、曲中の一部を使いたい場合は、もとの音源からその部分だけフリーソフトで切り出しておいたりして、繰り返しの再生とかに使いやすいようにしておくといい。同じ音源を気が狂うくらい聞き返すことになるので、こういう細かいことをきちんとやっておくと後が楽。
・wavの波形編集ソフト
・mp3とかの音楽形式をwavに変換するソフト
2.メロディを聞き取る
使用ソフトはfinaleです。自分のバージョンは2007アレグロ。このソフトが高いってのが一番の参入障壁かもしれませんねー。まずはfinale notepadみたいな体験版を導入するのもいいかもしれない。
まずはメロディ聞き取ってます。間奏とかが入るかもしれないけどとにかく一番目立つメロディをとりましょう。裏メロとか合いの手もこの段階で入れてしまって構わない。メロディと同じリズムでハモっているところはいっしょに入れます。なぜなら、フィナーレは音符をクリックしたときに「同パートの和音が同時に鳴る」からです。
3.ベースを聞き取る
つぎにベースを聞き取ります。ベース先に聞きとると地味なので「あれ? これどこだっけ?」ってなりやすいんですが、メロディが先に入っていればそうそう展開を見失うことはありません。
4.ハーモニーを聞き取る
先にメロディとベースを聞き取っているので、この二つとぶつからないように音を配置していけばそうそうおかしなことにはなりません。この辺はコードとかいろいろあるらしいですが……自分はよくわかってません!! 原曲聞いて歌いながら音を置いていきます。歌って原曲とぶつからない音は、鳴ってる音か鳴ってもそんなに問題がない音です。
ここまでで「メロディ」「ベース」「ハーモニー」が聞き取れました。聞き取ったやつはどこに置いてもいいです。とりあえずフルート、トロンボーン、チューバあたりに置いておけばいいと思います。なぜなら移調しないから。
5.コピペする
メロディ、ベース、ハーモニーをそれぞれ担当する楽器パートにどんどんコピペしていきます。finaleは「移調楽器を実音で表記する」機能がありますので、移調楽器の記譜と実音の違いを気にする必要はありません。自分もよくわかってないですがなんとかなってます。
つまり、メロディとベースとハーモニー(とパーカッション)が聞き取れれば、あとは機械の力で編曲はできます。なんて楽なんだ。
6.音域を合わせる
コピペした各パートで「実音表記」と「移調楽器の記譜」の表示を切り替えつつ、現実的な音域になるようにオクターブ調整をします。「音域表」とかで検索すればいくらでも資料が出ますので、現実的な音域をチェックしましょう。移調楽器での記譜モードにしたときに五線譜のなかに納まっていればたいていのことはどうにかなります。それよりもフルートは高め。ホルン、バスクラ、チューバは低め、みたいな。これもfinaleで機能で一発でできます。
7.いらないところを削る
コピペした各パートの要らないところを削ります。たとえばフルートが1と2の2パートあったとしたら、ハーモニーの振り分けのためにそれぞれ要らない音を削っていきます。
このとき、ハーモニーなんかはだいたい3和音(一番下がベース音=ルート音)とかになってると思うんですけど「とりあえず低音楽器はルート音やらせておく」「とりあえず一番上は一番上の音やらせておく」「3パートに分かれてるような楽器(クラとかボーンとかホルンとか)はその番号のまま分けとく」あたりでどうにかなります。なんか記憶では、3和音なら上から8、3、10くらいのバランスとか聞いたような気がしますが、まぁ、なんか言われたら直せばいいと思うし、究極は指揮者が「そこ、1stから2ndに二人くらい移ってくれる?」とか言ってくれればいい話です。気にするな。
楽器の組み合わせも気にしなくて大丈夫です。思った通りに書いてみれば、思った以上にちゃんと鳴ります。歴史ある音楽形式は歴史の裏付け有る楽器の組み合わせですから、たいてい合います。
8.パーカッションを入れる
パーカッションをいれましょう。が、パーカッションってちょっとめんどくさくて、midi規格と記譜のあいだでずれがある場合があります。スネア置いてるつもりなのにホイッスルがピーヒョロ鳴ったりする。「うまく鳴らねー!」ってなったらパソコン強そうな人にきいてください。
9.できた。アーティキュレーションをつける。
できました。ここまでで達成感を得られるはずです。えらいっ。
アーティキュレーションをつけましょう。たいていはツールからダブルクリックすればできます。地味な作業です。曲の構成にもよるけど2~4のあいだにやっちゃってもいいです。
10.パート譜をつくる
finaleはパート譜を一括で出力できます。なんて楽なんだ。このとき設定をていねいに決めておくと、各パート譜をいじる量が減って楽です。
11.パート譜を整える
パート譜を整えます。アーティキュレーションのつぎに面倒な作業です。しかし、これを怠ると、四妖拳を取得していない奏者などは演奏会ギリギリまで楽譜をめくるポイントになると音が途切れるなどの不具合を生じさせ不愉快な気持ちになること請け合いです。逆にこの段階で綺麗に整えておくと、演奏の完成が早くなります。めんどくさいかもしれませんが、それがプロダクトデザインというもの、人間は椅子が堅ければ喫茶店から早く退店する生き物なんですよ。楽譜作成作業は1対全団員です。
12.脱稿する
納期は命より重い。
以上です。そういうわけで、見てのとおり、とりあえず音が聞き取ることができれば、あとはどうにかなります。アンサンブルくらいならかけるけど、って人はフル吹奏楽も書けます。間違いありません。
さいしょは誰でも拙い楽譜です。まずは挑戦してみましょう。なせばなる。なさねばならぬ、なにごとも。レッツエンジョイ、編曲。納期は守れ。