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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

マリオメーカーを持っていない僕がコース作りについて語る話

なんか、スーパーマリオメーカーの公式サイトに、コース作り指南としてこんなコースはだめよみたいな記事が載り始めたらしいじゃないですか!

 

www.nintendo.co.jp

 

これはちょっと自分も何か言っておかねばということで思うところを書いておきますよ、いつぞやの好きなコース紹介は余りに雑過ぎたからね。

 

どこかで観た記事なんですが、初見殺しのコースばっかりになっているという評もあり、それはいわゆるニコニコとかに挙がっている、繰り返してミスしながら覚えていく「アイワナ系」なマリオが多いということかなと思っているんですね。

 

そういうコースの存在を否定するわけではないですが、公式のコースを見る限りそういう思想でマリオは設計されていないということはきちんと考えておきたい。

 

ではマリオってどういう思想で作られてるのよ、という読み解きをしてみることになるわけです。

 

簡単に文章化してみますと

「マリオにおけるすべてのオブジェクトは、マリオの行動を制限するために存在している」

と言えると思います。

 

まず、マリオはそもそも2Dアクションとしては相当自由度の高いゲームです。これがどういうことかというと、同時期に発売された他の2Dアクションゲームをプレイすればわかる。マリオほど自由に左右に動き、そして自在にジャンプできるゲームはほぼありません。

特に「ジャンプ中の空中制御」の操作性の秀逸さはマリオが随一です。自分の知る限りではマリオのほかには「ロックマン」くらいしかない。

 

つまり「マリオは自由」なのです。

 

マリオの目的とは何か? というとこれはゴール地点に到達することです。「3」以降はボスキャラという存在が産まれましたが、基本的にマリオは何らかのゴール地点に向かって進んでいるということはどの2Dマリオについても共通しています。

 

まっさらなコースを想定した時、マリオの行動を最初に制限するものはなにか。それは明確で「残り時間」です。基本的にマリオのコースは全て制限時間があります。この時点でマリオは「留まること」を制限されているのです。マリオは「進まないとミスになるゲーム」です。

 

通常のプレイであまり意識することはないですが、それでもたまにこの制限時間が如実にネックとなるステージはあります。代表的かつ直接的にシビアなのがマリオ1のワールド8-1です。このステージ、ほぼ走っていないと時間内に走破できません。

 

前に進むことを強いられたマリオですが、その途中に存在する様々なギミックを考えていきます。ここで地上にクリボーが配置されていたらどうか。この時点でマリオはジャンプすることを強いられます。ジャンプしないとクリボーにやられてミスするからです。クリボーはマリオを倒す歩兵ではなく、マリオにジャンプを強いるオブジェクト。

 

このように、マリオ以外のオブジェクトは基本的にマリオの行動に何らかの制限を増すというために配置されていきます。そして、この制限を、少ないオブジェクトで達成し、ステージが進むにつれて制限数を増やしていく、というのが基本設計と言えるのではないでしょうか。

 

と言うわけで図を描いてみました。なんだかマリオを買ってもらえなくて手元で妄想する子どもみたいになってしまいました。そういう幼少期を過ごしてきました。母曰く、自作のマリオを妄想しすぎてソッコーでおえかき帳を使い切るから金がかかったとのことです。変なこと思い出しちゃったよ。なんだこれ。

 

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まず1、ただのブロックです。これがあるとマリオはジャンプを強いられます。走り続けるということを制限されるわけです。

そして2のドッスン。ブロックとドッスンの組み合わせはよくよく現れます。ドッスンは基本、ダッシュして走り抜ければ全く怖くない相手です。しかし1で配置した高さ2ブロック分があることで、ちょっと面倒になります。先に何があるかわからない初見の状態なら、一度立ち止まっておきたいところです。

立ち止まると、ドッスンのタイミングを計らなくてはなりません。いつでもジャンプしていいというわけにはいかなくなります。

 

さらに3のクッキーが追加されたらどうでしょう。アクション苦手な人はちょっと辛くなってくるはずです。円の軌道を描くクッキーは、タイミングを見極めて通り抜けなければいけません。

 

もちろん2の箇所にドッスンも居ますから、プレーヤーは同時にこの2つのオブジェクトを意識しなくてはならなくなります。

 

さらに4の箇所にテレサを配置するとどうでしょうか。かなりいやな感じになってきました。ここにテレサがいると、マリオはテレサの側を向いて、テレサが寄ってこないようにすることを強いられます。こうすることによって何が起こるか。マリオは先に進むためにジャンプをする前に「振り向く」動作が必要になります。

1~4のオブジェクトがあると、それだけで「一度立ち止まり」→「テレサの側を向いて」→「ドッスンの上昇中に」→「クッキーが飛び込んでこないタイミングで」→「振り向いてから」→「ジャンプする」の処理をしないと先に進めなくなるわけです。

仮に振り向くことにミスをすると、背面ジャンプはマリオの進行速度が遅くなりますから、ドッスンやクッキーにやられる可能性が高くなる。

 

つまり、4のテレサは、直接的にマリオを倒すために置かれていないということです。けれど、マリオの動きをかなりヘビーに制限する。

 

さらに5で囲った点線の位置に、追加のクッキーや、またはもう一体のテレサがいるとどうか。ああーいやだ、つらい。

 

……と、いうのが、マリオのコースで起こっていることだと思うんですね。

 

「どうマリオを倒すか」ではなくて「どう組み合わせてマリオの動きを制限するか」を足し合わせて、絶妙なバランスを獲得するのが美しいコースづくりになるのではないでしょうか。

 

もちろん例外はあります。マリオ3における連続スターで走破するために、地上に全て常設パックンフラワーを敷き詰めているコースなんかは設計思想が逆で「すごく不自由なコースに無敵という自由を限定的に与える」というもの。これはマリオのパワーアップアイテムにおける「マリオの自由度をさらに拡張する」という機能を純化させたコースといえましょう。しかしこれはやはり例外、エッセンス。

 

まとめます。

・マリオというキャラクターは自由に動くことができる

・マリオにおけるオブジェクトはマリオを倒すためでなく、マリオの動きを制限するためのものと考えたほうがいい

・出来るだけ少ないオブジェクトでマリオの動きを制限して、後半のステージほど制限がきつくなるのがマリオシリーズの基本設計

・そうではないステージもあるけど、それはちょっとしたワンポイント

 

こんなあたりを考えていくと、マリオシリーズらしいいいコースができるのではないかなぁ、と机上で考えています。せっかく新しいオブジェクトがたくさん登場しているようだし、それでマリオの動きを綺麗に制限してほしいですね。