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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

映画「PIXELS」を観た話

PIXELS(ピクセル)観てきました。

 

とりあえず手放しに「面白かった!」です。コメディなわけですが、コメディってめっちゃ難しいですよね。特に国民性(っていう言葉はあんまり好きじゃないけど)とか文化とかが違うとなおさら。面白いはずのものが面白くなかったり。でも、この映画は楽しかったです。

 

ネタバレはできるだけしないようにしたいなとは思いつつ、でもなんにも触れずに書くのは無理だーと思いますんで、ご容赦ください。

 

どこが面白かったのか? というところよりも「自分から観てスベってるところがなかった」っていうほうが大きいかもしれないです。テンションだけで持っていこうとしているなー、とか、あまりにインモラルでちょっと引くなぁ……とかそういうところがなかった。バランスがとても良かった。そのバランスで最初から最後まで突き抜けているんです。

 

その一方で映像としてはかなり「オタク論」的にきわっきわを攻めてて、こりゃあ日本じゃ絶対に作れないなぁ、洋画として観るからコンプレックスも何も感じずにみられるんだよなぁ、と思ってしまいました。

こういうことを例えば日本でやって成立させようとすると「ソードアートオンライン」とか「シュタインズゲート」とかになっちゃうのかもしれないなって思うんですよ。どうしても卑屈になってしまう気がする。

それを「個性の国だから」と片付けてしまうことはできないとは思うんですけど、いわゆる「オタク」という題材をここまで突き抜けてオタクなまま肯定的に描いているのってすごいです。海外の「オタク」な人はこれをみてどういう感情を抱くのかがシンプルに気になる。

 

いくら資力の差があるとはいえ「ビデオゲーム」が題材の3D映像をふんだんに使った実写映画を先に洋画でやられてしまう、というのはなんだか「パシフィック・リム」を観たときのような「んあー持っていかれたー!」感がありまして、そこもなんというかポジティブに悔しい、といったお話です。

さらにそれぞれのゲームに関する映像がめっちゃ長い。前置きのお話のテンポが恐ろしくよいです。そのかわりに一つ一つのゲームをかなりしっかりと映像で描写する。配分がとてもよいのです。優れた脚本だし、観る人がみたいものを捕えている感じがする。

 

映像での最初のカタルシスは「わかっていない」軍のマッチョな黒人部隊が銃を乱射しながら戦績を挙げられないところ「わかっている」主人公たちオタク軍は最小の弾で最大の成果を挙げるという対称性。「俺TUEEEEE!」の極みですよね。

静かに面白いのは最新技術を否定するでも肯定するでもなくただ主人公が「ついていけない(いかない)」だけをそっと表しているシーンと、その回収の仕方。ふしぎと禍根を残さない。

 

「オタク」について。日本語字幕で観たのですが、おそらく「ギーク」と「ナード」が使い分けられていたと思うんですが、字幕ではどちらも「オタク」だったと思います。ここの微妙なニュアンスの違いはもうちょい確認しておきたかったです。聞き取れないのが悪いんですけども。

 

ということで、面白かったです。観ておきましょ。僕と同じか、それより上の年代の人は特に。