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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

漫画の話 150830 というか、pupa(全五巻)の話

お借りして「pupa」を全巻読みました。あ、ネタバレあります。

一言でいうと……「近親相姦(メタ)」と「モンスター」とが両方すごくいける! って人にはそこそこお薦めできる漫画なのではないかと思うんですが、この二つに滅茶苦茶惹かれる人ってあんまりいないというか、この説明でpupa読みました! って明言できる人はそうそう居ないと思うんですよね。

 

pupa コミック 全5巻完結セット (アース・スターコミックス)

pupa コミック 全5巻完結セット (アース・スターコミックス)

 

読む際に前提として持っておくと面白いかもしれない知識。

・食事の風景は性交渉のメタファーとして使われることがあること

・説話「胡蝶の夢

 

どうあらわしたもんかなと思いますけども、自分としては兄妹を中心にした近親相姦ものというイメージが強いです。イメージが強い、というのは作品を読んでいくとこの言葉に色々と語弊があるということがお分かりいただけるだろうと思います。その代わりそんなに遠い言葉でもないと思うんですよ。メディア展開を観ているとアニメの方がよりその表現色が強そうな感じでしょうか。

 

お話の評価として。時系列と場所の移動がちょっとわかりにくいのが難点で、登場人物の立ち位置と、誰と誰がどういう関係にあるのか、をときどき立ち止まって整理しながら読んでいました。五冊という短いページ数の中で複数の勢力が入り乱れるので、ちょっとごちゃっとしています。お話はとりあえずはとりあえず、閉鎖された中でのハッピーエンドといったところで考えてよいんじゃないかと思います。

 

全編通して痛みの描写を気に掛ける必要がありまして。そういう意味では最初で受け入れなかった人はずっとだめだろうと思います。このお話では基本的に痛みは、それが先天的・後天的いずれで獲得されたかに関わらず愛情の一形式として描かれるので、それを受け入れなきゃお話を読む行為自体が変わってくる。面白いのは、名前のあるキャラが何らかの形でマゾかサドだったりするのに、お話の外側にいる人間、無名なモブキャラは痛みの描写の結果で大体死んで退場してしまうのと、時折まったく普通の世界を挟んでいることで、これがこの痛みが偏愛なんだよっていうことを強めているところ。

 

主人公の兄妹はとにかくかなりの回数、作中で裸体で食べ合っているのですが、この何度も何度も出る濡れ場が思ったよりエロくないなと思うのは、画によるものなのか、文脈によるものなのか。血が多いからかもしれないなぁ。

ラストは最初に挙げた胡蝶の夢を思わせるところが少しニヤっとしたところで、逆にちょっと残念だったのは第三巻だったかで、バケモノ状態がデフォルメされて描かれてしまったところ。ここだけちょっとアンバランスだったなと感じました。

あと、pupaそのものの性質のこととかが結構あやふやな感じだと思うんですけど、自分はそれ以外のことを気にしてしまっていたので、スルーしながら読んでしまいました。ここはもうちょい丁寧に説明があってもよかったかもしれないね。