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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

マッドマックス怒りのデス・ロードを観てきたんだけどもっていう話

あまりにもtwitterで火を噴くギターが話題になっているので、こりゃ観に行くしかあるまい! と思って募りましたらなぜか平日のレイトショーで8人も集まってしまい、困惑しつつも観に行きました、マッドマックス怒りのデス・ロード。

以下ネタバレしまくりますのでよろしくお願いします。

 

結論としましては。

「観方を失敗したッ!!」

というのが大きなところです。普段の映画の観方としてはとりあえずあまり情報を入れ過ぎずに、せいぜいがサイトのあらすじとか予告動画だけ入れて観に行くわけですが、これが完全に失敗だった。

それでも四作目ということで、一作目から三作目までの情報は仕入れたんですよ。その後、四作目のwikipediaはあんまり見なかった。

けどそれがよくなかった。もっとカンペキに読み込んでから行くべきだった。

じゃないと、それぞれのキャラが「どうマッドなのか?」が判らないわけで、すべてを映像効果に頼った観方になってしまうわけです。

そしてこの映像効果は、ちょっと期待しすぎてしまうと、さすがにハードルが上がりすぎる。火を噴くギターはカッコイイが、うーん、もっと観たかったなとか思ってしまう。

 

以下、流れに沿ってですが。

まず最初に現れるマックスと、そのフラッシュバックなんですけども、映画情報とか過去作の情報を観ると「愛する家族を失い」とか書いてあるので、ははーんなるほどこれは娘がフラッシュバックしてんだな、とか思ってしまったわけです。

ぜんぜん違った。

あの娘は、マッドマックス怒りのデス・ロードの前日譚漫画に登場し、マックスが救うことのできなかった女の子であって、特段血縁でもなんでもなかった。あっれー。

そんで、イモータン・ジョー様の過去が結構しっかりした軍人だっていうことも設定読んでへええって思ったし、最初にフュリオサが出かけて行った表向きの目的も、取引じゃなくて侵略なのかなって勘違いしてたし、全体的に人間関係が判ってなかった。

 

ちゃんと調べると、イモータン・ジョー様たちのなんとしっかりした組織であることか。

ジョー様って、そもそもきちんとあの地域を理知的に支配してる。荒廃した絶望的状況の世界を宗教観で統一して、ヒエラルキーちゃんとしてる。量や方法はともかく水を供給して、緑を育て、母乳と言う食料も供給してる。

そしてジョー様の子供たちはみんな何らかの障害を抱えてる。だからジョー様は五体満足な子供が欲しい。妻たちも汚染されてない区域に住まわされてた。息子のリクタスもそれが判ってるのか、死んだ女性の宿してた子が亡くなってたことにめっちゃ怒ってた。「完璧だった(弟を亡くした)」って。そのくらい、ジョー様(たち)健康な子が欲しかったわけだ。それは個人としての欲求かもしれないし、未来のためにそうしたのかもしれない。

それで女性たちを囲って性奴隷にしてるのはイカンことだとしても、子を為すのだという目的はしっかりしてる。

で、それをフュリオサに攫われたら自ら出張る。これが偉い。この間あの拠点の潤沢な資源をそのまま子供たちに預ける器量もある。他の地域のボスたちも出張る。人徳があるのだ。

 

言うたら、フュリオサも女性たちも確かに被害者なので、謀反の選択は間違ってはいないんだが、どちらかというと望みの薄い逃げ方してる。状況ともかくせっかく特権階級だったのに。ばあさんが生かされてるってことは、出産後もそこそこの暮らしできそうなもんだ。

 

ジョー様の子供たちの中ではやっぱり火を噴くギターの人が画的にすごいわけだが、彼の設定がまたすごい。

コーマドーフ・ウォーリアー Coma-Doof Warriorイオタ)イモータン・ジョーの養子の息子の1人で、ジョーの武装集団「ウォーボーイズ」の1人。火炎放射器付きのギターを操る彼は盲目で、奇妙なマスクを被り、赤い服を着ている。ドーフ・ワゴン(Doof Wagon)と呼ばれる、スピーカーのトラックの前のステージでバンジー状態で紐で吊るされた状態で火炎放射器型のギターを操る。幼少期に音楽家の母親の下で盲目ながら音楽家としての才能を持つ天才児として幸せな環境で育ったが、何者かに攻撃され母親を殺され、切り取られた母親の頭を彼の膝に落とした。そして母親の頭にしがみ付いていた彼をジョーに発見され、ジョーの養子として迎え入れられ、闘いのミュージシャンとして育てられる。彼が被る奇妙なマスクは殺された母親の顔の皮膚の皮から作られている。

マッドマックス 怒りのデス・ロード - Wikipedia より

ですよ。映画の映像だけだとほんとにギターの人で終わってしまうのよ、この設定が。

 

そんでは一番マッドだったのは一体何だったのかっていったらそれはマックスだったわけで、マックスは基本的にどんな時でも生きることしか考えてない。あれだけ官能的に美女並べても、欲情する場面一切見せないくらい隙見せない。ニュークスやばそうだなって思ったらさっと交代して車にガソリン口で供給してる。迷いなく。

彼で一番笑ったのは、夜中の間に敵ぶっ潰して弾薬とハンドル奪って帰ってきたシーンなんだけど「ひょっとして彼岸島かな?」って思うくらい淡々としてて本当に面白かった。

その狂気の最たるところが、希望を求めて旅立とうとするフェリオサたちに、戻って砦を奪うことを提案するシーンで、あそこのマックスの判断はかなりキている。

まず、マックスはフェリオサについて旅に行っても生存は不確実だと思っている。

よって生存に確実なのは砦に戻るということだが、フェリオサたちにとってあそこに戻るのは相当ヤバいことで、戻ったところで裏切り者なんだから殺されるかもしれない。

当然マックスも一人で戻ったらヤバいわけで、だからチームで戻るしかない。しかも大騒ぎして。ものすごい犠牲も出るだろうし、それでもそもそも多勢に無勢だし。

でも戻ってやったわけだ。たくさん犠牲出しながら。それ以外にマックスが生き延びる方法自体が無いわけだから、マックスはそう促すわけだ。

そんで大団円で、それまでの指導者を失った砦からすっと離れる。なるほど流石マックス聡い。ここが俺の場所じゃないみたいにしてるように見えるけど、マックスたぶんこの砦ヤバいなって思ってる。それまでの基盤を失った共同体が混乱するだろうというところを確実につかんでる感じする。そのくらい引き際が鮮やか。補給だけしてすっと離れたこれ。マッドだぜマックス。下手すりゃフェリオサに輸血したのも、フェリオサ生かしてあの砦の頂点に立たせるのが目的なんじゃないのかマックス。

そりゃ、資源が豊富なところで、指導者倒れたら、相当混乱するよね。たぶん奪い合いだよね。

結局、件の前日譚漫画一作目の中でこの砦は後々も残ったということが描かれてるようなので、砦はうまくいったようなのだが。

 

ということで冷静にみていくと、マックスさんたしかにマッドでしたわ。

 

なわけで、wikiみたら全体の話もよくわかって面白かった。映像だけ観るよりも設定きちんと読み込んでいくのがよいと思いますわ。わたくしは。