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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

マイナーゲーム音楽とかは、そのまま忘れられてもいいんじゃないのかな

私見ですよ、私見。

メキシカン・フライヤーという楽曲をご存知でしょうか。
ゲーム音楽畑の方はもちろんご存じだと思われます。
超メジャーゲーム「スペースチャンネル5」のメインテーマです。
ではメキシカンフライヤーはゲーム音楽でしょうか。
と申し上げますのはメキシカンフライヤーはそもそもが60年代のイギリスロックバンドの楽曲です。


これってゲーム音楽ではなくロックバンド曲ではないでしょうか。
なお、日本でおそらく耳にする機会で最も多かったであろうものはご存じ映画「スウィング・ガールズ」劇中曲です。
この影響でブラス雑誌にシングシングシングだったかとのメドレーバージョンで楽譜が掲載されてました。
ってことはこれってゲーム音楽ではなく映画音楽ではないでしょうか。

 

ほんでは「ゲーム音楽」ってなんでしょうか。
メキシカンフライヤーはゲーム音楽カテゴリに入れていいんでしょうか。

つまりはここで重要なのはその音楽を耳にする体験と、それが根付く「物語」が重要なのだということです。
物語は広く取っていただきます。単純にストーリー性ではなくもっと広義に、その音楽に触れる人の「体験」とか「文脈」とかそういうレベルです。
メジャーゲームとかマイナーゲームとか、言い方はともかくとしてその二つを分類していくのは単純にこの「物語」による共通体験の多寡、と考えていいと思います。
つまるところいっぱい遊んでいる人がいるゲームがメジャーゲームで、身も蓋もないことになります。

 

では「良い音楽」ってなんでしょうか。
「良い」音楽ってことは、評価者がいるということです。
評価者はとりあえず人間です。ロボには今のところそこまでの力はないと思います。
つまりこの「良い音楽」という評価はその人のたどった「物語」とは絶対に切り離せないということです。

 

ドマイナーなゲーム音楽って何なのかというと、物語を語れる人が少ないということになります。
物語の話者がゼロになってしまったときに、その音楽は良いとか悪いとか、そういう範疇の中にあるんでしょうか。

 

やや哲学っぽくなってきましたのでここらへんでストップします。
何が言いたいかっていうと、僕は「知られてないけどいいゲーム音楽」という評価が、絶対的な評価みたいに語られるのは変だ、ということです。
「僕が好きなゲーム音楽」ならわかる。けど「このゲーム音楽は知られてないけど音楽がとてもいいんだ」というのは前者の錯覚だと思う。


よってオケ選曲なんかは、基本的に有名どころ、メガヒットしたゲームの曲で固めればいいと思います。
商業ではそれがベストだし最強です。
というか、商業は市場の鏡みたいなもんで、そこで選曲されているものは必然的に聴かれるものに収束していくのです。

 

それ以外の方法で音楽を聞かせるとしたら、それは物語の中心をゲームから他にずらすしかありません。
つまりその舞台に人を集めるのがゲーム音楽でなく、たとえば奏者とか、たとえば指揮者とか、もしくは場所だとか、仕掛けだとか、そういう別の「物語」の中で人を集めて 、その人にとってのゲーム音楽体験を「物語」の中にブチ込んでしまうしかない。

 

逆に、そういう以外の聞かせかたってあるでしょうか。
FFで釣っといて、FFのプレイ体験という「物語」の中に海腹川背とかつっこむとか。
知らないゲームだけの演奏会に行けるか。
「まぁダチが出ているし、観に行ってやるか」っつって延々超魔界村(ステージ3)聞かせるとか。
全然知らない人たちが延々行う超魔界村(ステージ3)演奏会聴きにいくか。
いや行くって言う人もいると思うんですよ。でもそれって「それでも行く私」っていう物語で、ゲーム音楽は副次でないか。
そしてそれはメジャーな視聴方法になれると思うか。

 

以前ツタヤで「アニメは文化だ」というポップがありまして、あたりめーだろきもちわりーなと思ったんですが、そんなポップが無くてもアニメを好きな人はアニメを見るし 「なるほど文化になっちゃうんだな、ちょっとハイソなワイが観たろかい」って人は手を新たに伸ばすようになるんだと思います。ツタヤが気持ち悪いというだけでアニメが 傷つかずに新規客は獲得するんですから上手な煽りですよね。
結果としてアニメの物語は拡がっていったわけです。

 

じゃあマイナーゲーム音楽とかどうしますかね、っつったらとにかく物語を獲得するしかないのです。
ひょっとしたらメキシカンフライヤーのように、ゲームとは別の物語から花開くかもしれない。
そういう物語だというとこから離れて、ゲーム音楽絶対評価みたいなことに頼っていくと、結局のところ母数の多いメガヒットゲーム音楽以外は忘れられていくと思います 。