paper-view

ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

【超ネタバレ】十三機兵防衛圏 ネタバレ感想

十三機兵防衛圏をクリアしました。

 

13sar.jp

 

十三機兵防衛圏 - PS4

十三機兵防衛圏 - PS4

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: アトラス
  • 発売日: 2019/11/28
  • メディア: Video Game
 

 

 

以下、ネタバレつき感想。終わってない人は絶対に読んではいけません。

 

 

総合優勝。

かなりクセが強い作品で、情報量が濃すぎるので、気楽にやって理解に至ることは難しく、ストーリー面でのリーダビリティーは逸しています。何故先を読んでいるかと言えば、謎の答えにたどり着きたいからです。それだけにお話に魅力はあるけれど、しかし読んでもマジでわからない。ひとつわかってもその前と後は全然わからない。

 

のに。

 

演出が強すぎる。これだけで全て持って行かれたと言って過言ではないし、演出がなかったらたぶんここまで面白みを感じるゲームにはなれていないと思います。

 

項目ごとに考えていきましょう。

ゲーム性の面:かなり低い。崩壊編は多少進化したタワーディフェンスという感覚で、少なくともゲームを進めるにあたって頭を使うシーンはない。追想編はとにかく読み進めるだけで、こちらも詰まるようなところは殆どない。

 

ストーリー性の面:時系列で考えてもすっ飛ばされているシーンが多い。特に各キャラの崩壊編に至る「動機」の部分は群像劇であればかなり重要な部分だと思うのだけれど、一番把握できなかったように思う。今でも読み飛ばしたんじゃないかって不安に思っている。冬坂、鞍部ですらプレーヤーの観れる外側で機兵搭乗を納得してない?

 

トリックの面:「実はタイムトラベルものじゃないです」「実は同じ人でした/違う人でした」「実は時系列順じゃないです」「ほんで実は仮想世界でした」と重層が過ぎる。それらのエピソードを更にシャッフルしてプレイすることになるので、正しい順番が全然組み立てられない。これはちょっと声を大きくしたい。「そんなに折りたたまなくてもトリックの部分たぶんほとんどの人にバレないですって!」って。

 

演出の面:機兵起動シークエンスが強すぎる。ただでさえキャラクターの2Dアニメーションが綺麗に動いてるのに、そのうえであんなにカッコイイ起動見せられたらブルってしまう。なんていうかこれだけで1優勝である。

さらに最終面の最終局面で歌が流れるあのエモすぎ演出、3優勝くらいある。圧倒的に数で劣る物量戦でテンションをブチ挙げるあの瞬間、脳の汁がドバドバになってなんか高い声が吐き出された。

 

畳み方の面:後日談には弱いおじさんは後日談にはめっぽう弱いのだ。優勝。

 

そういうわけで、冷静に見ればかなり凸凹したゲームだと思うんですけれど、良いところが良すぎて冷静になれませんので総合優勝です。

 

 

ストーリーについて。この話は非常に「きれいに」見せたな、という感覚があります。SF世界をゴリゴリに盛って盛って、結果何を覆い隠したかというと自我の連続がどうなのかをわやくちゃにしている。

ミウラ=BJだけ観ても、自分をドローンから消去した前後のBJは同じ存在なのか、というのは当然考えられるわけですが、そこのシリアスさは全てすっとばされている。ので、そこら辺が気になってしまうとプレーヤーとしては非常に落ち着かないのではないでしょうか。犠牲になった「自我」はめちゃくちゃに多い。それを環境データのロールバックと、それに受肉を行い実体化するというのは、新しい種類の生命体の創造で。それをしれっとOKということにしているのは、物語の進行としてはポジティブだけど、あの世界の中で一番大きな要素なんじゃないでしょうか。人類自体が存続危機ならどうでもいいか、という感じだけれども。とにかく本当はめちゃくちゃヘヴィーな結末をキャラクターたちによってポジティブに見せている。

 

トリックと情報量の多さについて。演出の気持ちよさが突き抜けて勝っていたので気にはしませんでしたが、本当に最後まで終わっても判らないことが多すぎたので、究明編で改めて時系列を理解して、攻略wiki、考察サイトを読んでいってようやく細かい単語まで追えて来ていますが、それでも特に機兵周りのパイロットやナノマシンあたりはもやっとしています。開発のお話なんかを見るとかなりギリギリまで詰めてたらしいですし、メインでスクリプトを作っていたのは社長一人だったみたいなので(マジかよ)複雑なのも仕方ないかなとは思うのです。結局のところトリックを考えている人は答えが見えているので、いい感じにわかっていない第三者がたくさんいないと箇所箇所での情報開示レベルが適切かどうかのバランスが取れない。これはもっといい形はあるのだろう、と思います。(実現が不可能であったのだろうということも思いつつ)

ので、なんか資料集か解説書かなんか出してほしい。

 

各キャラクターが何周目で時間軸が何周目なのか、というのを擦り合わせなきゃいけないうえ、外見と名前までオーバーラップするので、把握が無理です。ゲームが終わると「〇周目」と補記されるのはありがたいけれど、こう、フローチャートになってほしい。名前の面では特に「森村博士」と「森村千尋」での使い分けはさすがに無理があるでしょう。ネタばらしがあった後も混乱していた。他に良い表し方なかったんか。

 

しれっと出た重要な要素について。エンディング後に究明編に追加されている映像にもありますが、遺伝子情報は自己増殖して宇宙に散らばっていく=宇宙のいたるところでテラフォーミングと生命ポッドでの培養、内部仮想空間でのDの侵攻が行われる、ということで、ものすごく「ファンサブ」が作りやすい。続編を、とは決して言いませんが、キャラクターたちのあれやこれやをシュタインズゲートで言う「あったかもしれない世界線」として観れる土壌がある。

ので、なんか関連書籍とか関連商品とか出してほしい。

ついでに言うと、ゲーム中の一周前や二周前、セクター1~3あたりの悲喜こもごもをもっとシナリオにして読ませてほしい。よろしくおねがいできないものか。

 

 

と、いったところです。

実はプロローグが発売されたときから注目はしていたのですが、購入に至ったのは話題になった先々週くらいまで遅くなってしまいました。不覚です。忘れてた……

 

最後にもういっぺん言っておきます。色々ありましたが演出が超強かったので総合優勝です。

 

ありがとうございます。ここまで読んだ人はもちろん十三機兵防衛圏が最後まで終わった人だと思います。

面白かったね!!

 

あー最高だったー……サントラ欲しいサントラ……