かねてよりソフトは買っていたけれど積みっぱなしだったファイナルファンタジー15をプレイしました。
シリーズについては説明不要と思いますので省きます。
以下、ストーリー面でのネタバレもしていきますのでご注意ください。また、概ね全体としては褒める記事ではありません。
どこまでプレイしたかについてですが、DLC等については一切触れず、通常のチャプターをスタッフロールが出るまでプレイしました。
クエスト等については40程度をクリアし、最終的なレベルは47くらい、プレイ時間は35時間程度だったと思います。
感想を一言で表すと「まとまってない」といったところです。
もうすこし詳しく言うと「このゲームにおけるプレーヤーってのはいったい何なんだ、という段階で『どう伝えるか』が吟味されていない」というところです。
この「まとまっていない」ですが、プレイ後に感想をいくつかサーチしてみたところでは、ストーリーの不親切さやキャラクターに関するものが目立っています。
自分としてはストーリーやキャラクターよりも、システム面の方がずっと気になりました。単純に「このゲームはオープンワールドを適用する必要がない」というのが感想です。
これまで自分がプレイしたオープンワールドのゲームというと、MGS5とゼルダの伝説BOW、それからニーアオートマタ(は微妙なところか)が該当します。
オープンワールドにすることのシステム面での大きな点として、プレーヤーの裁量が拡がるという点があるかと思います。クエストの目的場所までの移動方法、、クエストの達成順、達成方法等がプレーヤーの好きにできるというところ。ということは当然、プレーヤーと操作している主人公の視点は近くなっていきます。
ですが当然、オープンワールドのゲームでも主人公は主人公自身が抱いているバックグラウンドがあって、それはプレーヤー本人のものとは異なるわけですから、プレーヤーと主人公は状況に応じてその役割と感情とをくっつけたり切り離したりしながら進行するのが常です。オープンワールドでなくても基本的な事項です。
ファイナルファンタジーというシリーズは、どちらかといえば主人公とプレーヤーの視点が遠い、遊ぶ映画のような感覚で進化を進めたシリーズです。これはまずもってオープンワールドとはあまり相性が良くないと言えるのではないでしょうか。
が、それ自体が問題になるわけではありません。要は「ここはプレーヤーの領分」「ここはキャラクターの領分」というところがちゃんと分かれていれば全く問題がなく、それらが「システム上で」ちゃんとわかるようになっていればいいわけです。主人公とプレーヤーの視点が遠くなりがちなFFシリーズでは特にそれをきっちりやる必要がある。
そして、これまでのFFシリーズでその点は問題なくクリアされていたはずなのです。簡単なことで、プレーヤーが前に出るところは操作をする。キャラクターが前に出るところは操作不能のカットシーンにする。それだけで済みます。
FF15はそれがまずできていませんでした。
例えば夜になるとキャラクターが眠さを訴えます。眠くても操作可能です。が、眠いというのはプレーヤーの領分ではありません。せいぜい数十分プレイしていれば夜が訪れますから、プレーヤーは眠くない。でもキャラは眠いという。では眠いと何か起こるか。パラメーター的には何も起こりません。
例えば、ここで眠気があることによりデバフがかかる、連日起きているとよくないことがある、そういうことであればプレーヤーの領分としてはキャラクターのバフ、デバフを管理しなくてはいけない「ゲーム」になりますからそれで構わない。
が「眠い」だけ言われてもプレーヤーは眠くないので困ります。ゲーム中のデメリットがないのであれば、キャラクターの眠いという感情はプレーヤーの情緒で受けるしかない。しかも、それを途中休憩ができないダンジョンの中でも訴えてくる。アイテムを探してマップを歩いてる時も訴えてくる。
一番「まとまっていない」と思ったのは中盤、イグニスが視力を失った辺りでした。グラディオラスとの関係が悪くなり、王族になるための指輪を嵌めないノクティスに対してグラディオラスはイライラ、イグニスは視力悪いのについてくるから早く動けない。この「キャラクター間の問題」をそのままプレーヤーが背負わされます。具体的には早く走りすぎるとグラディオラスから注意されます。
ノクティスとグラディオラスの負の感情をこっちに持ち込まないで欲しいわけです。いや、それがゲームとしての「課題」で与えられるなら構いません。イグニスをサポートする必要がある。だからイグニスと距離をとりすぎるとゲーム中のマイナス評価ね。これならそういうクエストなんだな、でいいんですが、そういうものは一切ない。だから、グラディオラスの非難はプレーヤーがその「感情」で受け止めるしかない。
プレーヤーとしての自分は「いえ私すぐにでも王族の覚悟キメて指輪嵌めたいんですけど」というところでした。
と。いうところに端を発して、ありとあらゆる面で「プレーヤーがどう感じることになるか」について配慮がない、まとまっていない、というのが感想です。シナリオや世界設定バックグラウンドの伝え方、プレイアブルな箇所とそうでない箇所の切り替え、そういうものがちぐはぐ。これは一か所直せばいい、テキストを追加すればいいとかっていうものよりももっと深いところでなにか決定的にねじれていて、きちんと素材同士が噛み合っていない。
シーン一つ一つは、映像で見ていて「こういうことがやりたかったのだな」というのは伝わりますし、美しいし、シナリオの見せ場としてはよいのですが「どうつなげるか」をきちんと考えられてなかったのではないでしょうか。
・近代+剣と魔法の世界
・主な移動手段は車、世界はオープンワールド
・料理は素晴らしいグラフィック
・主人公は若い王様、同年代の王様の護衛との友情物語
・ヒロインは遠距離恋愛の巫女、ただし想いが実を結ぶ前に去る悲劇のヒロイン
・軽いノリの若い主人公に課せられた過酷な運命
・ひょうひょうとした悪役が生きてきた過酷な人生
・旅を共にしてきた車との別れ
・長い時間を経ての再会、積もる話と育んできた友情
こんな感じで、シーンを列挙していけば「面白そう」なんですが、つなぎがちゃんとできていない。それこそ「プレーヤーは主人公とどのくらい視点を共有するのか」レベルで「どう伝えるか」の方針がふわふわしてしまっているから、一つ一つの具材がバラバラです。具材が米の中に埋没している海鮮丼みたいだ。素材が良くても結果が死んでいる。
だから、プレイした感想が、ストーリーやキャラクターへの悪評になる。と、言ったところではないでしょうか。
そこそこキャラクター達には愛着を持てるくらいまでプレイしたのですが、残念ながら「この世界をもっと知りたい!」とは思えなかったです。
DLCは少し調べて、プレイしなくてもいいか、と思ってしまいましたが、小説は少し気になるので機会があれば読んでみたいと思っています。