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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

【ネタバレ】ガールズ&パンツァー最終章第二話を観た

これからネタバレの話をするので、未見の方は注意してください。

 

 

 

 

 

 

リンク踏んだ人用にちょっと改行を入れておきます。

 

 

 

 

 

 

 

ガルパン最終章の第二話を観てきました。

最高だった。歌うの最高ですね。これからも歌うんでしょ。ありがとうございます。ガンガン歌って欲しい。玉葱の歌の明るい曲調のバックであの激戦、心臓掻きむしられてるような感覚でした。

 

 

さて、この記事はどうしても一か所喋りたくて書いていて、最高だったのが西隊長が撤退を宣言した瞬間である。

 

ガルパンTV本編は大洗女子の成長を描いた作品だったとして、最終章は何を描くのか。そのうちのひとつ大きなものがこの知波単の戦車道の変化・成長だということがはっきりと示された。

 

よってここからは知波単と西隊長の話をする。戦車前進!

 

戦車道について、登場する各高校の立ち位置は違うんだろうと思う(部活だったり、授業だったり)けど、たぶん文脈は「部活」だ。

 

部活にはいろんなスタンスがあって、楽しむものだったり、上を目指すものだったりする。(記憶で書いているけど)『響け!ユーフォニアム』は上を目指すということに入った時の部活内の軋轢を描いていて、それはよくよく、現実の集団種目でも起こることである。

 

知波単はたぶんそれが「楽しい」の側に(極端に)振れている。そのハッピートリガーが彼女たちが愛してやまない「突撃」である。

で、当然突撃は勝てない。それでもいいのである、彼女らはそれで楽しいのだから。

 

が、転機がそこに訪れる。それが大洗&知波単のエキシビジョンマッチ(劇場版前半)である。知波単の突撃イズムを大洗は明確に止める。このとき止められ、その後も最後まで大洗の戦車道と共にいたのが知波単の福田車だった。

 

その後も福田は少しずつ「突撃イズム」への疑問を抱いていく。今までは突撃して散ればそれで楽しい戦車道だったのだけど、そうではない戦車道を得てしまったからだ。きっと福田は突撃ではない戦車道の楽しさに触れてしまった。

 

こうなると当然内部分裂が起こるわけである。「突撃楽しい」と「突撃だけじゃ勝てないんだよ!」の対立だ。福田は精神的にガッツがあり、どんどん反突撃を具申していく。ふつう、こういうのは内部対立して分裂して崩壊する。

 

これをきちっと吸収して方向付けをしてくれるのが西隊長である。彼女は非常に器が大きく、おそらくガルパンに登場する各校の中でも(スピンオフの描写も含めて)最も器が大きい。

ダージリンやまほ(と後継のエリカ)は、学校全体で持っているイズムの中にいる。カチューシャは強い統率力で引っ張る。アンチョビやケイはそのキャラクターでみんなから愛されている。ミカは孤高だ。

 

西隊長にはこれと言って特殊なキャラクターがない。隊長ではあるが強い統率力は持っていない(から部隊が勝手に突撃を始める)。実直で、悪い言い方をすれば面白みのない人間である。

 

西隊長も突撃の時には非常に嬉しそうな表情をしていて、だから西隊長は今の楽しい突撃イズムでもよかったはずなのである。

 

しかし彼女は福田という変化要因をよく受け入れて、重用して、反突撃イズムに憤る仲間たちに「まあまあ」と言える。そういう人間だった。だからそういうふうにした。自分の責任下で、福田という新しい風を受け入れる選択をした。

 

多分、このときに西隊長は知波単の戦車道が変わりつつあるかもしれないことを感じていたのかもしれない。変わるのは怖いことだ。でも西隊長はそれも快く受け入れた。

 

劇場版ではその姿はあくまで全体の一部としてしか描かれておらず、未だ知波単には突撃イズムは根強く残っている。

 

最終章第二話ではここに明らかなる変化が産まれた。福田が大洗アヒルさんチームからヒントを得た。これは更なる反突撃イズムだった。

 

そして知波単は、西隊長と福田は実に狡猾に方向性をスライドさせた。突撃イズムを活かしたまま戦法を変えるという荒業に出たのである。作中ではこれはギャグのように表現されてしまうけれど、大事なことだ。言葉が持つ印象はとても大きい。西隊長と福田は政治をやっている。部内政治だ。

 

西隊長にとっても突撃はすごく楽しいことのはず。目の前に突撃に走る幸せもあったはず。でも西隊長は、突撃を好きな仲間と、突撃ではない戦車道を模索し始めた仲間と両方受け入れた。西隊長は西住みほから激励されるまで本当に勝利を意識していないように見える。本当にただ一途に、どうやったら仲間と楽しく戦車道をできるかを考えたんだと思う。それを我慢強く続けていた。

 

BC自由学園はひとつになるために歌を歌った。知波単も一緒だった。突撃と反突撃は歌でひとつになった。

 

そして契機は訪れた。部内政治から仲間たちとやる戦車道に戻していいという確信を得た西隊長は、窮地でついに言葉でのコントロールを捨て撤退の宣言をした。突撃のつかない撤退。それを受け入れた、突撃が大好きなはずの知波単の仲間たち。福田が輸入してきた反突撃イズム、知波単の成長のきっかけが、突撃イズムに受け入れられる土壌ができるまで辛抱強く待ち続けた西隊長。なんて我慢強い戦いだったんだろう。

 

知波単の面々の戦車道はこれからもっと面白くなるだろう。知波単は手ごわくなるだろう。そして最終章三話では大洗との激戦を踏まえて満を持して、必要な場面で発揮される「突撃」がきっと行われるのだ。

 

そのときの西隊長の表情を観に第三話を観に行きたい。たぶん最高にいい顔をしてるんだと思う。最高のリーダーだと思う。

知波単の戦車道が楽しくなるのはこれからなのだ。