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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

夢と狂気のエンターテイメントビジネスの現在(シンデレラガールズ6thライブ名古屋day2感想)の話

アイドルマスターシンデレラガールズ6thライブ名古屋day2に行ってきました。

4thからライブも参加するようになったデレマスですが、今まではずっとライブビューイングで現地は初めてです。

現地でのライブ自体はもう十年くらい前にJAMProjectのライブに誘ってもらって行ってきた以来。もともとそういう文化圏に属してなかったためで、劇場でなにかを見る、っていうと、劇団四季だったり宝塚だったり、小劇場の演劇だったり寄席の落語だったり、あとはクラシックやゲーム音楽のコンサート系。

 

というわけで、現地でライブを見ていたんですが、ひとまず先に「今回の」ライブの感想を言っていきたいと思います。

 

■~開演

現地についたらもうドームの前は芋洗いだったので、チケットを用意してくれた友人と合流後は早々に中に入ってしまいました。けど、そこからはただ開演を待つばかりになってしまったので、もうすこし表の状態を見ていても良かったのかもしれないです。

名刺交換もしてみたかったのですが、担当アイドルが同じような人を見つけられずそれも断念。予習不足ですね。

中に入って最初にざっとステージを眺めて、今までライブビューイングで観ていたものの実物はこんなに大きかったのか……と溜息。ライブビューイングではこのお城を下から見上げるアングルにはまずならないので、下から見上げることができるというのがとても新鮮で有難かったです。吊りものの照明がいっぱいだった。

 

■イリュージョニスタ! ~

最初がSnow Wingsだったのはちょっとびっくり、もっと後ろでやるのかと思ってました。前半はソロの曲が多かったなという印象なのですが、中でも「追い風Running」は今まで見たより中島さんが可愛く見えました。なんでだろ、角が取れたのか、自分が慣れたのか。逆に「アツアツ♪マカロニグラタン」の種﨑さんは、色んな役の拡がりを知ってるせいか、五十嵐響子と種﨑さんをダブらせて観るのが困難になってきた印象。

で「楽園」の関ちゃん会沢さんは見たら落涙してました。居るじゃんあれ、なに……?

SS3Aでも見たはずなんですけど、SS3Aってキャラよりも曲にフォーカスしたイベントだったと感じていて、6thで観たときは個別衣装だったことも相まってか実在感がすさまじかったです。また寄せてくるんですよね。会沢さん本人は額を出さないほうが綺麗に見えるのに、そこを関ちゃんに寄せてくるわけですから有難い話です。この辺後述。

ここまでで座席からはステージは肉眼で観れないと達観。ゴンドラは見える。浮きたい。

 

■あんきら!?狂騒曲 ~

「きらりんロボのテーマ」は楽しい。「Treasure☆」もこういうコントができるとなると新しい楽しさですね。「おんなの道は星の道」がとても良かったんですが、曲がしっかり聴ける作りになっていたのがハマったんだと思います。

で「ラブレター」です。これ現地で良かった! というのは天井に映るラブレターの封が開く演出が見れたこと。お城にも映ってるんですが、それがドームの天井にもいくつか映っていて、これは面白いなーと思っていました。さらに三人揃ってあのアイドルアイドルしたキュートキュートした曲を演じられると、デレステ初登場したときのインパクトも思い出されて心にびしばし来ましたね。

 

■はにかみdays~

思ったより記憶ない。というのは落ち着いて聴く曲のほうが多かったからだと思う。

 

■Frozen Tears~

「Frozen Tears」は自分の中でやっぱり渕上さんは西住みほのイメージが強いので、これもキャラのイメージから遠いところで聞いていた曲だった。

モーレツ☆世直しギルティはSS3Aで一度聴けていたので、落ち着いて聴けたと思う。これも面白い曲だと思うので「Treasure☆」みたいにコントしてほしいと思うけど、歌詞にセクシーギルティーって入っちゃってるから難しいかなぁ……

 

■Nation Blue~

「Nation Blue」がサイバーグラスの二人だったとき思わず「やったー!」って叫んでた。「楽園」と相まってそれぞれ今回の感情の臨界点二カ所。でもこの時に思ったのは「あっ、春菜も比奈もかっこいい……」ってなことでして、ずっとこの二人のギャグキャラしか観ていなかったため、そこを掘り下げられたっていうのが驚きとともに可能性を感じた所です。後述。

「∀NSWER」もすごかったね。朝井さんの気迫が凄かった。

そこからはどんどこどんどこ情報量の嵐だったけど、alwaysについては語りつくされているので、何を書いても陳腐になってしまうような気がします。

 

■どこだったか忘れたけど

ライブビューイングではできない、現地で「後ろを向く」ができるのがほんとに楽しくて、何を見てるかってレーザー照明を見てるんですが、これが交差したり、会場に当たったり距離が遠くなると拡散していくのが本当にかっこよくて、ああこれいいなぁ使ってみたいなぁって思っていたのでした。

あとはやっぱり「高さ」です。高さのあるステージ。

 

■ということで

凄く楽しんだんですが、しかし全体を見ることはできない席だったので、次はアリーナじゃなくスタンドでみてみたい、と思ったんですが、それはそれで望んで手に入るものでもないので、機会があったら、ということで。

 

ライブの感想ここまで。

ここからはジャンルを超えた話をします。

 

いつだったかライブビューイングでアイドルマスターのライブを観に行って、この時は自分でも年に何回かのめちゃくちゃ機嫌が悪くなっている日だったので、必要以上にライブを冷静に見ていたんですが、ずっと「不気味の谷」を感じていたことを覚えています。

生身の人間がキャラクターを演じる、その声優が歌う、というのはどういう文脈で観ればいいのか? にその当時の自分はうまくフォーカスすることができなかった。ゲームの知識からだけではだめだった、と感じた。

それから何年か経って「ラブライブ!」で再びアイドル、かつ二次元のアイドルのライブを見たわけですが、これが昔見たものよりも数倍進化していて驚いてしまった。不気味の谷がかなり小さくなっている。そしてキャラクターと生身の人間を行ったり来たりしているコンテンツで、曲だけでもキャラだけでもなく、ライブ全体がひとつのコンテンツとして成立していて、どこから入っても自然に見ることができるように工夫されていた。

すごいな、と思ったわけです。

その後にシンデレラガールズの4thライブからスタートしてライブビューイングを観るようになったんですが、4th~5thくらいまではどちらかというと「声優」だったと思うんですね。間のトークもキャラじゃなくて声優としての会話だったし、ゲームの衣装を着て、キャラクターに寄せている人もいるけれど、でもそうでないひとはそうでなかったりして。

それが6thになったとき会沢さんを見て「関ちゃんだ……」とかNation Blueを見て「比奈と上条ちゃんかっこいい……」って思わず思ってしまって、あとから「あれ? 完全に声優を通してキャラそのものを観てるな自分」って思ってしまったんです。

驚きでした。間のMCも基本的にキャラクターとして喋っている構成になっていたのですから、これはもう「声優のライブ」でも「キャラクターソングのライブ」でもなく「キャラクターのライブ」なんですよね。

 

それが特異な事なのか、というのは判らないです。世の中の演劇台本は、同一の演目であれば人が変わっても同一のキャラクターを演じる、すなわち演じる人の個性というのはそこまで重要視されるわけではない、ともいえると思うんです。

けど、じゃあ忠臣蔵を見るときに「浅野内匠頭ー!」って言いながら見るかって言うとそうじゃなくて、ほう、この役者はこうやって浅野内匠頭を演じるのだな、みたいになると思うんです。

でもデレマスのライブ見てるときは完全に「関ちゃーん!」とか「比奈ー! 俺だー!」って言ってもいいような状態になってると思う。そしてそのキャラクターを演じる人というのに代替性がどのくらいあるかというと、ないコンテンツなんじゃないか、と思う。

ないってことは、役者も代替不可能なままそのキャラクターを演じなきゃいけないわけで。

 

で、その更に先にあるものとして「これはすさまじいなぁ」と思ってしまったのが少女歌劇レヴュースタァライトの舞台だったんです。あれはアニメと舞台、キャラクターと声優と、すべてを包めてひとつのエンターテイメントとして丸めていて、ほぼ谷がない。

 

ここ数年で、エンターテイメントってすごく、すごく進化してるなって思ったんです。で、どんどん資力、体力、質と量の競争になってきてる。それはすごく面白い、エキサイティングなんだけれど、そのスピードが速い。

 

この先はどうなるのか、楽しみやら怖いやら、ですが、それはものすごい人々の工夫と競争の上に成り立っていると思うと、感謝というか、尊敬というか畏敬というか、素直に言えば畏れみたいなものを感じてしまうのでした。