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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

GAMEバンドRPGコンサートの話

この記事、なぜか演奏もしていないはずのDQ11のかなり大きめのネタバレをしますので、プレイする気がある方はご注意ください。

 

GAMEバンドのRPGコンサートのスタッフをしていました。

今回は演奏は参加せず、MC原稿とサブステマネで参加でした。GAMEバンドが発足してからすべて演奏参加していたので、演奏から外れたのは初めてです。

 

今回何をしたか、どういう反省があるか、どういう評価をするか、ということのまえに、ひとつ大事なことを。

挑戦は絶対に妨げられるべきではありません。「挑戦すべきではない」ではなく、勝ちを拾えそうにない場合は、どうやって挑戦のエッセンスを保ったまま、勝率を上げるのか、を考え、挑戦者は結果に関わらず、成果とは別に、挑戦自体を内部からは強く褒め称えるべきだと思います。

 

さて、では今回の自分のポジションについてのお話をしておきましょう。今回は演奏会リーダー、委員長の原案に基づき演奏会の進行のMC原稿を作成することでした。毎度、MC原稿は担当していますが、その世界観から自分で決める場合と、原案がある場合とに分かれています。で、今回は原案があるほうで、この委員長の原案はすさまじい挑戦でした。

 

今回のRPGコンサートのキモは、お客さんにRPG(ロールプレイングゲーム)を楽しんでいただきながら、そのBGMとしてゲーム音楽を楽しんでもらう、つまり演奏会として行う、各ゲームの「劇伴」を、その出展元から切り出し、GAMEバンドが用意したゲームの物語の「劇伴」として受け取ってもらう、という試みでした。

 

最初は頭抱え……ませんでした。実は直前にドラゴンクエスト11をプレイしていたところであり「他から引っ張ってくる劇伴」というものが成立することは知っていたからです。ドラクエをプレイしていない方でもわかりますよね。シンなあれです。もっといえば踊る大捜査線でもよい。

ただ、それはやっぱり、様々な前提条件によって成り立っているわけで、そんなに簡単にほいほいと達成はできない。よって

 

・ゲームをプレイしないお客さんに配慮できるか

・演奏会としての体裁は整っているか

・演奏会の雰囲気をきちんと作ることができるか

 

このあたりが自分自身が懸念したところで、できるだけ「こぼれそうなところを拾う」のが自分がMC原稿で物語に関わることの課題となりました。

なにせ原案は、プレイしてもらうゲーム内容とMCの内容があまりリンクしていなかった。結果のアナウンスがなく俺たちの戦いはここからだというピリオドのない展開だった。

でもそれって、リーダーの情報感度が高いことによって選択されてるんです。ある楽曲から、風景や感情を読み取るのは実は高度な技術で、更にそれの出展元となる物語があって、そのシーンとは別に新たな物語にくっつけることができるというのは、高等技術です。自分だってそうそうできない。委員長は許容力と想像力に長けているけれど、長けていることによって、伝わらないかも、というラインを割る可能性が出てくる。

 

この原案の流れをまんま台本にしても、不特定多数のお客さんに渡してもできる人とできない人に別れる。いや、ここで舞台という閉鎖空間にきたお客さんたちに、盲目的に「なんかわからないけどこれは素晴らしいもんらしいぞ」と考えさせるやり方もあるかもしれない。が、そうではなく、できるだけ配慮をしたい。

 

ということで、原案から自分が手を加えていったことと、その意図について。

・劇中の司会はスマートフォンに原稿を表示し、それを読んで進行する

 →ソビーはともかくとして、ヒローシは原稿を覚えて喋るようなことをさせるのは恐ろしすぎます。ということで、ここは二人にお客さんと同じ目線になってもらう、という名目で、スマートフォンを「冒険者用の端末」というギミックに据えることで解決することにしました。

 

・説明は長く

 →委員長が狙っていたことは、最初に全部影MCの説明として伝えきっておくことにした。全部「ご容赦ください」とお伝えしておく。結構反則だけどこの場合はやらないわけにはいかない。

 

・舞台は舞台だけで落ちを作る

 →ゲームがプレイされない、もしくは電波状況などでプレイできない場合、印象の全体は舞台とその劇伴音楽となります。そのため、舞台は舞台で落ちをつける必要がありました。そのため、ソビーは原案よりも五割増しのワガママキャラとなり「棚上げのソビー」という二つ名になりました。最後、二人はこれからの冒険に旅立つところで終わりますが、あれだけ引っ張ったソビーがほんのすこしだけデレてくれるところがオチです。

 この本編は完全にソビーの演技力頼みでした。とはいえここまで色々高度なことをお願いしてきたので、きっとやってくれるだろうと思ってやり逃げ的に原稿を書きました。棚上げのソビーの手前には二人の恐ろしい二つ名をもつ人間がおり、それが丸投げの委員長、やり逃げのぴよ。そして棚上げのソビーなのです。

 でも「棚上げ力」というワードがお客様の反応のそこここ見れたので、うまく回せた、と思ってます。ここは自分を褒めるコーナーだ。

 

・せっかくなので美味しいところはもらうことにした

 →途中の鏡からの「パッとしません」コントのところは、最後に伏線となるアイテムの解説のために必要だったんですが、影MCが足りんというところで自分で書いておいてここは美味しいぞと思っていたので美味しくいただくことにしました。

 

 

 結果として試みはどうだったか。今のところ、概ね好評な感想しか見ていません。が、演奏会、の体裁を犠牲にした、拍手や礼がない、というところはありますし、見えていないだけで、これはだめだろう、本来の作品の雰囲気を損なっている、成立していない、と感じたお客様もいなくてはおかしい。そのくらいの挑戦だった。

 これは我々GAMEバンドの人間が自分たちのお金と時間をかけて作っているものだから、挑戦するかどうかに対してなにか停止をかけられるいわれは全くない。けれど、舞台は壇上の人間と、客席のお客様の両方があって成り立つから、ここのコミュニケーションをおろそかにしてはいけない。もちろん、その形式が存在するのであれば形式をおろそかにしてはいけない。

 だから「挑戦したこと」は大いに誇っていいが、そこに己惚れてはいけない。次の挑戦もすべきだけれど、挑戦に百パーセント成功したとは思ってはいけない、しかし百パーセントを目指し続ける。

 

 と、いうことを考えた演奏会でした。全体としては成功といっていいのだと思います。演奏は横から聞いていましたが、ゲネプロを台風に潰され、その後も通しでの練習をするのが難しい日程があり、そして本番当日は二時間で舞台上のことしか確認できないスケジュール下では(それもお客さんに伝わったり、配慮していただくべきことではないと自覚しつつ)とてもよかったのではないでしょうか。時間配分も含めて、こういう「新しいこと」ができたのは、とてもよかったのではないかと思います。

 

 最後になりますが、ご来場いただいたお客様、誠にありがとうございました。

 団員の皆、お疲れ様でした。次もまた挑戦をしましょう。