課金とかはしてない立場のライトユーザーなんですが、シンデレラガールズの総選挙中間発表が出てました。
先に結論置いておきます。
・二次元アイドルを支持するというのは、二次元アイドルを支持していることを誰かに表明することでしか表現できないと思う
・シンデレラガールズのこの一年には、決定的にキャラクターの人気を変動させるような要因はなかったと思う
・ファンサブ二次創作の規模を大きくすることで、総選挙の場は引っ掻き回せると思う
・大きな物語を作れ
最初の段は小難しい哲学っぽい話なので読み飛ばしてもよい。
アイドルマスターシリーズでは、どのキャラを支持するかを「担当する」という特徴的な表現があるので、以降は「担当する」に合わせたいと思います。
「総選挙」というシステムは実際のアイドルでもみられたと思いますが、二次元と三次元とでは、大きく一点異なることがあり、これを文字にするのはちょっと辛いところがありますが、そのアイドル自体とのコミュニケーションが可能であるか、不可能であるか、というところがあります。
つまり、アイドルを「担当する」という行為を実体化させる方法は、その行動自体を「第三者に」アピールすることでしか、社会的な意味を持たせることができない。いや、購買行動はありますが、あまりに弱く、一方向的である。
なので「他の誰がなんと言おうと俺は〇〇を担当する!」という宣言は、それ自体が結局のところ、第三者に対するアピールであるし、第三者を意識するところからしかできないと思うんです。
ブレークダウンすると、有形無形の”いいね”を稼ぐことが、二次元アイドルを担当する、という行為の中心であると思うんです。
いや、そんなことはない、という反論はあると思います。しかし、単純に自分自身と、担当するアイドルの間で完結して、外にアピールされない好意は、そのアイドルが持っているストーリーが枯渇した時点で終了してしまうと思うんです。そこですぐ別のアイドルの消費を始めるという消費のやりかたもあるとは思うけれど、それは総選挙で発揮するにはコストパフォーマンスが悪すぎる。
なので、それがストーリーの消費でなく、バーチャルなアイドルをリアルに感じるための「担当」なら、それが誰かとのコミュニケーションを伴うことは必至だと思うんですね。
ここまで小難しい話だったので読み飛ばされてもいい。
続きです。中間発表を見た今、実感を新たにしていることがあって、シンデレラガールズってこの二年くらい大きなお話が無かったなって思ってます。
大きなお話ってのはいわゆる人文科学系に言うリオタールの「大きな物語」的なものを想定してますが、自分自身のシンデレラガールズの入り口はアニメでした。これは大きな物語だったんだろうと思います。
で、それ以前のことは知りません。が、隆盛はその隆盛自体が物語だと思いますので、たぶん、コンテンツの成長自体が盛り上がりだったのだろう、と思っています。
アニメ以後。アニメが面白かったので、4thライブ、5thライブと参加していったんですが、思ってたことは「お話、尽きちゃってない?」ってなことだったんです。
いや、そんなことはないだろう、というのはもちろんあると思います。(プレイはしてないけど)モバマスもどんどんイベント打ってるし、デレステもイベントどんどん出てるし、シンデレラガールズ劇場は出てるし、U149もafter20もあるし。
でも、キャラにとっての大きな困難がないんですよね。もっと言うと、ちょっと「ドラマに欠ける」っていう感覚なんです。
ドラマをドラマとして成り立たせるためには、やっぱりそれなりの長さのお話が必要で、短編で描けるドラマと、長編で描けるドラマは違う。長編のほうが(お客さんが振り落とされる率も当然高いけど)壮大なドラマは描ける。
アニメのシンデレラガールズで描かれたドラマを三十分で表現しきって同じ感動を生むことはちょっと不可能だろうと思うわけです。
で、たぶんアニメが無ければ、島村卯月の第五回の一位はなかったんじゃないかと思うんですよね。
で、ようやくそろそろ第七回の中間発表に話を移します。第七回の中間発表はこんな感じでした。ウェブだと公式がないので攻略サイトになってしまいますがご容赦。
xn--cckea5a6cidcbh6ce7ghug17a2ge3aht3nwigef51658aw7kd.com
これに対する感想は悲喜こもごもだったんですが、中でちょっと目立ったのは、デレステが総選挙対称となったことで、声つきが有利になったというご意見でして。
それはぱっと見ると確かにそうなんですけど、でも一方で、こんなツイートも見かけました。
https://twitter.com/mightydoro/status/988413797919436803
コレ前回のランキング見てハッとなったんだけど、実はそこまで変わってなかったって言う…。 ただ、前回でボイスが実装された子が今回抜けただけなんだ…。 デレステの票数ってそこまで大きくは関係してないんだ…。いうなれば、前回の結果を見て頑張ったアイドルのPがそのまま残ってるだけなんだ…。
なるほど確かにと。
ってことは、要因はいろいろあると思うんですが、ざっくり言うと第六回から第七回までの一年で何があったかって考えたときに「何もなかった」ってことになっちゃうんじゃないでしょうか?
少なくとも、総選挙の場を動かすほどの「何か」は。
実は、5thライブでの様々な発表の中では、てっきり劇場版アニメあたりが来るんじゃないかと思ってました。それは願望じゃないのって言われたらそうなんですけど、でも何より、お話が枯渇しちゃってると思ってたからです。
新しいアイドルを心から好きになるようなボリュームの物語は提供されてなかった。そうなったら、どうしたってこれまで好きだったアイドルが中心になっちゃう。シンデレラガールズだってそれなりに長くやってるコンテンツなんだから、中でもだいぶすみわけができちゃってる。
そしたら、場がそんなに動かないのは当然だと思うんですよね。どうにか徒党を組めたところが動くんだと思うんですけど、それも中間発表を見ていると、そこまで大きな規模では起こっていないっぽい。
で、これは悲観ではなくて、つまるところ「大きな物語を作ってしまえば、場を掻きまわすことはできる」という解釈になるべきだと思うんです。第五回で島村卯月が見せてくれたように。
今、それぞれのプロデューサーたちが個々にやっている活動を、繋げて、ボリュームを大きくして、アニメで島村卯月が見せたようなドラマまで大きくすると。
壮大な話ですけど、逆に言えばこの一年間、公式がその規模の供給はしなかったってことなんですから。やってしまえばいい。それだけの数のクリエイターがシンデレラガールズを愛していると思うし、土壌は整えられていると思います。ただ、モデルとなるような活動がない。
面白かったのは、TLがその中間発表の直後に公開されたアイドル紹介の2018年版に一気に移って行ったことで。それだけ、物語やキャラクターの関係性に対する希求があるっていうことじゃないですか。
なので、すべきことは「大きな物語」を作っていくことだと思うんですよね。そりゃもちろんエネルギーの要ることだとは思いますけど。でも要因は分析しきれないにしても今までと同じ「選挙活動」では、結果は変わらないわけですから。
総選挙のときだけまわりに支持を求めるんじゃなくて、日常的にまわりのプロデューサーと巻き込みながら、担当アイドルの世界を意識的に拡げていくことが必要になるんじゃないかなぁ、と思うんです。
それをするには自分の担当アイドルだけじゃなくて、他の人の担当アイドルと絡むという戦略だって戦術だって必要になるし、もっと巧みに動かないといけないし、人と人を繋げないといけないし。
つまるところ本当に「プロデュース」しないと、世界の広がりの限界を突破できないと思うんですよ。
でもそれはそれで、すごく面白いことだと思うんですよね。色んなものが生まれるし、アイドルの可能性はどんどん掘られていく。
それやったほうが楽しいし、総選挙とかしたときも成果につながるんじゃないの?
と、今回の総選挙の中間発表を見て思っていたのでした。もっと、誰かのために二次創作をしたらいいと思うし、誰かの二次創作に乗っかった二次創作をしたらいいと思うし、誰かと誰かの二次創作を繋げたらいいと思う。たぶん楽しいです。
長々書きましたけど、現実に存在するアイドルならそのアイドル自体が生きることが物語になるから、そのアイドルがアイドルでありたいと願う限り物語は造られ続けるけれど。
二次元のアイドルは、そのアイドルがアイドルで居てほしいと思うには、それを願う人が物語を作ることでしか、アイドルがアイドルであり続けることはできないと。
それは公式が供給してなんぼだという考えもあると思いますが、ユーザーには二次創作という手段が慣習的に用意されている。
じゃあそれをしたほうが、アイドルの物語の一端である「総選挙」にもプラスに働くんじゃないの? ということです。
面白いですよ、物語を作るのは。