paper-view

ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

ロックマン11の話

ロックマンシリーズ30年に伴いロックマン11が出るんですって。

 

www.4gamer.net

 

 

こんどのロックマンは9、10と繰り返したファミコン版準拠のロックマンではなく、新たに作られたグラフィックによるものになるみたいです。

 

と、いうことを知って色々と思うことがあったので、綴ってみたいと思います。

僕の見てきたロックマン、とくに9、10は「ゲーム実況配信文化」に強い影響を受けてきたと感じていますので、自分が見てきたことと「その流れから外れた11を出すこと」について。

 

この話をするために「おっくせんまん」を引きたいと思います。つまり「思い出は億千万」です。

 

dic.nicovideo.jp

 

恐らくこれが「ロックマン2」が再び人々の前に大きく出てきた一つのタイミングであると思われるからです。

 

・思い出は億千万 2007/05/29 (ニコニコ転載・元flashはページが削除されている)

ロックマン9 2008/9/24(日本)

ロックマン10 2010/3/9(日本)

 

この「思い出は億千万」ですが、歌詞はネット上で発生していったもののようです。

 

nicovideo.g.hatena.ne.jp

 

さらに「おっくせんまん」「ウルトラマンセブン」については、TA(タイムアタック)動画の内部でコメントされたものが初出の様子です。この動画は削除されていますが、投稿日時は2007/1/22となっています。

 

というわけで多くの人々の前にロックマンが戻って来たきっかけの「思い出は億千万」の前には「TA動画」がありました。今でも多く残っていると思いますので、ぜひどれかひとつご覧になってみたら面白いかと思います

ちなみに、TA→Time Attack で RTA→Real Time Attack で TAS→Tool Assisted Speed-runで、TAとRTAは断りがない限り実際の人間がプレイしているものです。

 

ニコニコ動画が初出となるゲーム実況が盛り上がるのはおおよそ2008年ころかと思われますが、それ以前よりpeercastという配信手段としたらば掲示板を中心に、ゲーム実況配信は盛り上がりを見せていました。

このpeercast実況配信内で大きな盛り上がりを見せていたのが「ロックマン」シリーズであり、その中でも特に大きかったのが「ロックマン2」です。

ロックマン2」の配信は小規模なコミュニティながら大きな盛り上がりを見せ、恐らくニコニコ動画等に投稿された多くのTA動画はこのpeercastコミュニティ内で盛り上がったものであると思われます。

時折開催される「RTA(リアルタイムアタック)大会」には参加者視聴者が多く訪れ、自分がみた最大規模のときには50名が同時にロックマン2を開始しデッドヒートを繰り広げ、実に1000人以上がそれを視聴していたと記憶しています。

つまり、実況配信の黎明期に、早くもロックマン2は人気タイトルの座を得ていた、ということです。

その要因分析はこの記事の主目的ではありませんが、アクションゲームとしての良質さのほかに、一定のレベルに達するまでの時間が短いことが挙げられると思います。くりかえし動画を見ているだけで、自分でも30分台でクリアができるようになりました。

 

その後もう一つの動きがあり、(権利的にはいろいろとまずいのでしょうが、ここでは触れないとして)ロックマンの改造romが出回りました。具体的には、エミュレーターロックマンを遊ぶためのromデータを書き換え、新たなステージを作り出したもの、といったものです。

 

ロックマンPeercast 普通にプレイしてみた 01.ピザマンステージ by mas53 ゲーム/動画 - ニコニコ動画

 

これもロックマン2の難度になれた実況配信者を中心に盛り上がりを見せていました。

 

と、いうことで、

・2007年ころまで→peercastを中心にロックマン2が盛り上がり、ニコニコ動画に録画が投稿される

・2007年ころ→ロックマン2の盛り上がりにより、ニコニコ動画に「思い出は億千万」が投稿される、改造版ロックマンが出回り盛り上がりを見せる

・2008年→ロックマン9発売

 

ざっくりこういう流れを経たということです。

このとき発売されたロックマン9は、スーパーファミコンの7、PS/SSの8とグラフィックを新しくしていったにも関わらず、ファミコン版にそのグラフィックを戻していました。

 

これは単純な懐古ではなくて「ファミコン版じゃないとだめだった」ということだと思うのですね。

ロックマンが盛り上がっていて、ファミコンロックマンが改造されたものも遊ばれているらしい。つまり、望まれているのは新しいロックマンではなく、旧いロックマンの新しいステージである。そこに競技性(RTA)を産むこともできる。

 

と、いう風に考えられたのではないか、と思うのです。

その売り上げ等がどうだったかは知らないのですが(動画のアップロードが問題視されて、twitchなどが登場しておらず技術的に解決できてなかった期間でもある)この流れであったならば、新たなゲームとしてロックマン11を出すときに、そこに新たなグラフィックをつけることが果たしてどれくらい楽しいだろうか、と思ってしまうのです。

 

なぜならロックマンってそんなにお話深くないから。

 

キャラクターのドラマが含まれるXシリーズでもないし、ましてやDASHでもないし、ロックマンって基本的に「ロボが8体暴れる」→全部倒すとワイリーが出る→ワイリーを倒すとワイリーが土下座で終わりの、完成された美しい流れで、これは美しいけれども、逆にXやほかシリーズがあるからこそ、ロックマンには変化が求められていない、様式美が求められているような気がする。その条件下で、競技性が見えてこないロックマン11を買う流れになるだろうか。

 

もちろん、それに合わせて30周年ならではのいろんな企画が出てきたりするのかな、とは思うのですけど、新しいゲームになっちゃうのって「もっかい最初からプレイスキルの積みなおし」になっちゃうんですよね。FC版ロックマンを積み重ねていればこそ、肌感覚でギリギリのジャンプもわかる。ロックマン2とロックマン7は操作体感的にも違ってくる。ロックマン2→ロックマン9なら概ね同じ技術の継承でいける。

 

と、ここまでいっておいて、同じ流れを経ていながら、公式で支えたら実際はなんだか変なところに落ちていってしまったのが「マリオメーカー」だと思うわけでして。マリオもpeercastで改造版が出回っていたのですが、おそらくそれを公認でやろうと思ったであろうマリオメーカーは、もともとのマリオが持っていたものではなくて「アイワナ」的に高難度をなんども繰り返すようなステージが溢れてしまった。

 

かくも難しいアクションゲームシリーズの世界ではありますが、方針転換を繰り返しているように見える無印ロックマンシリーズが、11で面白くなるのかどうか、ちょっとなんとも言えないな、というのが感想でした。リリース後「今回のロックマンはちょっと違う感じがする!」ということになるなら面白いと思うのですが、一方でストリートファイターシリーズでeスポーツの盛り上がりの一角を担う会社のタイトルでもあるわけで、どこに転ぶのか、まだ期待よりも不安がほんのすこし勝っている感じです。