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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

余暇は楽しい音楽活動がしたい話

Twitterのタイムラインを見ていたら、RTで流れてきたものに目をひかれました。

これはそれと関連言説に対する批判記事ということになると思いますので、元記事の引用はいたしません。

 

つまるところ、アマチュア演奏活動における「楽しく演奏する」と「レベルの高い演奏を目指す」の対立についての話です。「楽しく演奏する」で終わってはいけない「レベルの高い演奏を目指したいのだ」という論調は、主に「楽しく演奏する」側が批判される内容でよく見られます。

 

その二つの対立、おかしいと思うんですよね。そういうふうに言葉にしてしまうのは、いい結果には結びつかないと思うので、この言葉で語るのはやめておいた方がいいと思っています。

 

というのは。

楽しく演奏する/レベルの高い演奏をする

というのは、補足すると、

下手だけれど、楽しく演奏する / レベルの高い演奏をする

とすることができます。「楽しいだけで上手くない演奏」としっかり書かれることもあります。

 

ここで問いたいのですが「めっちゃレベルが高い演奏だけど、本人はただ楽しんでるだけ」の人と「ひとつも楽しいと思っていないけれど、レベルの高い演奏をしている人」の二つのタイプを「楽しく演奏するだけではだめだと思っている人達」は、受け入れるんでしょうか。受け入れないんでしょうか。

 

恐らく受け入れられるでしょう。理由はレベルが高いからです。

レベルが高いことは「レベルの高い演奏を目指す」人達にとっては歓迎項目のはずです。

「楽しいだけで上手くない演奏」がダメでも「楽しくて上手い演奏」なら「楽しいだけ」でも許容される。

 

それならば、楽しいかどうかで分類するのはおかしいと思う。

 

いや、はじめから「レベルの話」だからさ、という場合に、もう一つ。「本人はすっごく頑張っているけれど、余暇時間を十分に使えなくてレベルはなかなかあがらない。だけどそのサークルがめっちゃ好きな人」のことを、お断りする勇気と責任を持てるでしょうか。逆に言えば、そういう人をすぱっと切ってしまう団体に、余暇活動として参加したいでしょうか。

 

自分は、自分が忙しくなって参加できない場合に、レベル足りてないからさ、と言われてカットされる恐れのある団体には参加していたくありません。

 

 

もう一つの「ひとつも楽しいと思っていないけれど、レベルの高い演奏をしている人」についてですけれど、そんな人存在しますでしょうか。余暇時間に。自分のお金を払って。ひとつも楽しくないことをやる。いえ、たまにいるとは思うんですけど、懇願されて仕方なくのったエキストラの人とか、人間関係に縛られてるとか、弱みを握られていてそのサークルで演奏しないと悪い噂を流される人とか。

 

でも、そういう人(最後はともかくとして)と、長く、サークル内の人間関係続くでしょうか。

 

正直、自分としては苦虫かみつぶしたような顔してる人と一緒に余暇時間は過ごしたくない。

 

以上より余暇活動の中心価値である「楽しい」ことは批判されるべきではないと考えます。「楽しいけれどレベルの低い演奏」を批判すると、かならずセットで「楽しいかどうか」が批判対象となるからです。

 

よって単純に「レベルの高い演奏をしたい」とだけ表明することを推奨します。ほかのことばで対立させない。

 

なぜそうするかというと、大前提として「余暇活動は楽しくないと続かない」からです。ふつう、余暇活動で苦痛になることはしません。

 

では「レベルの高い音楽を目指す」ということは、大変なことではないのか。これは大変なことです。

ただし、大変なことに取り組むのは必ずしも苦痛なことではありませんし、楽しいことである場合も往々にしてあります。困難な道のりの先にある達成感を目指して活動することが充実して楽しい。

 

「楽しく演奏しているだけでいいや」という人がいることによって、演奏のレベルが低い事態をどうにかしたい場合は、サークル全体で「レベルの高い演奏を目指して楽しもう」という「約束」をすることをお勧めします。

そうすれば、対立したり、楽しさを批判することなく一定の方向性をつけられます。構成員も、その構成員にとって可能な範囲でコストを払って参加してくれます。これを団体の責任として表明せずに「レベルの高い演奏を目指す」を外部にある当然の価値としたり、楽しい活動を批判したりすると、内部が分裂します。

 

「楽しいだけの演奏ではだめだ」という言葉は、活動が楽しいものであることに傷をつけるし、自分より演奏レベルが低い人の事情を問わず遠ざける。

自分の演奏や向上心にプライドを持つことはよいことだと思いますが、その一方で人を遠ざけるような言葉を放てることに無自覚である人に、自分はちょっと近づきたくはない。

 

だから「もっと楽しんでくれ」と言い、参加者に気持ちよくなっていただいたうえで「楽しんだことによって演奏が上手くなる」ような仕組みをサークル内で作ることのほうが、全体にメリットが大きいと思います。

いつでも気を張って上を目指せるわけではないし、練習するときは上手くなりたいけど、自分の練習量が不足したことによって批難されるのは気持ちがよくない。

 

余暇は楽しい音楽活動がしたいと思うし、自分が関わる団体なら、構成員には全員楽しいと思っていただきたいなと思っています。それぞれがただ楽しいと思うだけで、演奏も上手になればいいですよね。