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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

アニメ映画の話「屍者の帝国」と「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」

ネタバレしないつもりですが、未見の方は気を付けていただいて。先月今月とアニメ映画がどんどんリリースされてまして、気になったやつは観てます、ということでまずは「屍者の帝国」。下記リンクは伊藤計劃氏の作品映像化プロジェクトのページ。

 

「Project Itoh」

 

面白い作品なんですけども、しかし「伊藤計劃」っぽくない映像であるという風に思うわけです。

 

僕は、メタルギアソリッド4→同小説版→虐殺器官メタルギアソリッドピースウォーカー→ハーモニー→屍者の帝国(小説)→メタルギアソリッド5TPP→屍者の帝国(映画)くらいの順番で触れております。(PWとハーモニーあたりの順番は怪しい)

なんでメタルギアソリッドの話が出てくるの、と言うところですが、伊藤計劃という方は相当なメタルギアシリーズファンで、それが高じた結果として小説版のメタルギアソリッド4を手掛けていらっしゃる。さらに、メタルギアソリッドピースウォーカーのスタッフロール後、このゲームを亡き伊藤計劃氏に捧ぐというメッセージが入っています。伊藤計劃氏とMGSの小島監督は、それぞれ互いに影響し合う関係にあった。

 

その結果だと思っているのですが「メタルギアソリッド4」の映像感は、これまでのメタルギアソリッドシリーズと大きく変わった。荒廃というか、死の匂いというか、いわゆるこれまでの洋画コンバットアクション、スパイアクション的要素から変化し、もっと陰鬱なものが前に出る映像になっていた。特にact.1あたり。戦争と死とがシステム化して消費される世界といったところ。

僕にとっての「伊藤計劃らしい映像感」がこれです。メタルギアソリッド4と虐殺器官に両方触れるとそういう感覚になった。なので、この話をするときにメタルギアソリッドの話をする必要があった。

 

んで、伊藤計劃氏の小説っていうのはそういう、陰鬱な、べったりした、ねばつくような死の感覚があって、それが屍者の帝国では、MGS4内のムービーほどに強く感じることはできなかった。

 

というのは、これは伊藤計劃氏の没後に円城塔氏が引き継いで書いた作品であるからということもあるし、自分がMGS4に引っ張られているということでもあるし、アニメ映画版ではそれがさらに大幅な設定の変更があったから、ということでもあります。だからアニメ映画版がよくないとか、そういうことではない。けれども「伊藤計劃」の名を冠してそれがリリースされるとき、何かが違うなぁ、という感覚にもなるわけです。

 

余談ですが、メタルギアソリッド5TPPの設定の一部はものすごく小説版「屍者の帝国」の影響を受けてますのでそれも面白いポイントです。

 

あと、アニメ映画版のハダリーのおっぱいが大きすぎて話に集中できない。

 

ということで、アニメ映画、よいんですが一方で自分にとっての「伊藤計劃な映像」ではなくなってしまっているよなぁ、という感覚でした。

 

 

んで、続きましてそのままリトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレードです。

 

映画『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』公式サイト

 

この作品「アニメミライ」の短編だけで既に大好きでして、なんというか「子どもの頃にみたアニメ」の理想像がそのまま表現されたような感じ、と思っています。

アニメっていうものが子供用の表現だけではなくなり、自分自身も大人になったことで「子どもの頃にみたファンタジーアニメ」っていう理想像は得難くなってしまった。魔法少女モノと言えば大人向けになると「まどマギ」みたいな「大人向けの話」「大人を意識したキャラクター造形」になってしまうし「子どもの頃にみたファンタジーアニメ」をまんま観ると、まだアニメというジャンルそのものが洗練される過程であって「いま」のものとしては観れない。「知らないファンタジー世界に子どものように飛び込む」という体験をさせてもらえるものはなかなかないと思っているわけです。

けどもリトルウィッチアカデミアはそこらへんを満足させてくれた。単純に「その世界」に対して興味がものすごく沸く。

 

んで、それはキャラクターだったり、設定だったりするわけですが「明示していないこと」への表現力がすごく高い。ストーリーに入っていない部分になにがあったのかを知りたくさせる仕組みだったり、キャラや世界に関して言葉で表現されない部分を説明するためのちょっとした画のギミックがすごく丁寧。キャラクターも全員ものすごく立ってる。

 

そして今回の映画でうっぎゃぁぁとなってしまったのは作中の「モラル的にネガティブな行為」の意味がラストで完全にひっくり返されてしまったところです。信じられない、まるで魔法のよう。

 

二週間限定公開後は来年1月にソフト化されるまでお預けになってしまうので、観るなら今! 今です。