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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

ひきだしにテラリウム/九井諒子/イーストプレス

 2ページの本当に短いものもあるショートショートが多数収録されています。ウェブの媒体で主に発表されていたものが単行本化されたようです。

 どの短編も、非常に壮大な世界観、もしくは人間ドラマを持ちながら、短いページの中に非常によくまとまり、丁寧に練られ凝集されて描かれています。恐ろしいまでの構成力です。

 小さな書き文字や絵柄の選び方がまた秀逸で、短編と短編の間に挟まれるカットがまたニクい。

 特に好きだったのが「記号を食べる」で、ラーメンズ小林賢太郎氏的な、認知の遊びが秀逸です。

「スペースお尺度」も、ストレートにほろりと来ました。ポップスの歌詞のようで、最後の一コマがきれい。

「かわいそうな動物園」は、一読ではわからなかったのですが、登場した要素の意味を調べると感嘆の息をついてしまいました。一コマの持つ力を思い知らされます。

 

 すばらしい一冊です。

ひきだしにテラリウム

ひきだしにテラリウム