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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q を見たので考察してみる

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qを観てきました。
さまざまな謎が提示され、多くの人が考察をしているようです。


こういうのを考えるものは楽しいものですので、自分も乗っかってみようと思います。
一度目、素直にみて沢山の不思議が産まれたので、次は疑いながら見てみることにしました。
結果としていくつかのことを思いついたので、記述しておきます。
以下、ネタバレが多く含まれますので、観ていない方はご注意をお願いします。























・整理の方向性
シン・エヴァンゲリオン劇場版:||を前に、提示されている情報の確認と整理を行います。
主に、新劇場版の序・破・Qの劇中でミスリーディングを狙っていると思われる部分と、既に出ている情報とのすり合わせに注目していきます。


・Qを観て出せる仮説の大枠
碇シンジは個人で世界を作りかえることができる存在である」
「TV版・旧劇場版(以下:旧)と新劇場版(以下:新)では特にエヴァンゲリオンの機体を中心として各要素の役割が変化しているが、旧版の役割でミスリードさせている」

以下、整理していきます。


・ループ、分岐について
複雑なループや分岐はしていないと考えています。
ノベルゲームのようにお約束としてトゥルーエンドが用意され、そこまで遊ぶことがオーソドックスなプレースタイルとなっているメディアと異なり、映像作品というメディアは通しで一回観て完結するものですので、物語もそれに合わせて設計されるべきたと思っています。
残ったあと一回の映画で「実はQは序・破とは別の世界で……」と、世界観の繋がりを長く説明しなくてはいけないような物語作りは少し不格好です。
「魔法少女まどかマギカ」や「シュタインズゲート」のような、通しで観てすっと入るものである必要があります。


ですので、僕は映像化されている部分については順序の入れ替えをせずTV版→旧劇場版→新劇場版の順に時系列が整理されるものと思っています。


・序、破、Qと、さらにTV版と旧劇場版における視聴者の視点について
旧版を観て、時間を置いて新版を観た視聴者がどういう視点をもつかに着目しました。
視聴者は「碇シンジ」の視点に同化するように新劇場版は作られていると考えます。


加えて視聴者が既にもっている旧劇場版の知識によって、物語のミスリードを起こす仕掛けがあると思われます。
まず序で、一部決定的な違いがありながらもほぼ旧版をなぞった展開で、時間軸の疑問を抱かせながらも、キャラや用語などそれぞれの要素への疑問を逸らしています。
つぎに破で、物語に新たな流れを起こしつつ、キャラクターのドラマや映像としての展開で、同じく整理すべきだった語への関心をそらします。
ここまでで視聴者は「かっこいい碇シンジ」の視点に同化させられ、新しい劇場版は楽しいものだ(=碇シンジの視点)という意識を受け入れます。


そこに現れてきたのがQです。
一気に大量の新情報が流れますが、ここでしたかったのは「これまで見てきたもの」=「ぼく(≒シンジ)の知っているエヴァ」ではないことを視聴者に実感させることなのだと思います。
ここでようやく新劇場版序・破までの「シンジ君にとっては気持ちよくなかった」要素について注目することができます。


・Qの流れで腑に落ちない部分を整理していく
どの情報がどう繋がるか未確定ですので、いくつかおおきな仮説を提示して、残りは整理だけしておこうと思います。
なお、劇場版破で流れたQの予告編ですが、これを完全な嘘ととるにはあまりに構成がアンフェアです。
かといって、新劇場版製作を始める前に全体のストーリーが未確定だというのも作り方として安定感を失うと思います。
ですので「予告編の画像は使用されていないが、ストーリー上の事実として読みこむ」ということにします。


1.UA作戦で強奪されたのは初号機ではなく碇シンジ個人ではないか
「初号機」という明言がなかったように思います。ということはあの中身はたとえばエントリープラグのみや、碇シンジ個人でもよいはずです。
UA作戦からブンダーでのシンジの目覚めまでの時間はどの程度だったのでしょうか。
仮説としては破のエンディングののち、初号機(碇シンジ綾波レイ)はヴィレ以外の勢力に渡り、綾波レイは隔離、碇シンジは宇宙へ、というものです。
これによって破のQ予告内で綾波レイが小さな綾波を抱える場面に繋げることができます。
また、ヴィレの面々が「レイはもういない」と言うのにも含みを持たせることができます。


2.ヴィレのメンバーが碇シンジに冷たい目をするのは、ニアサードインパクトではなく、もっと根本的なシンジの性質ではないか
碇シンジがニアサードインパクトを起こし、その罪のために忌み嫌われている、という文脈を意図させていますが、指摘されているように、破のラストで綾波レイを助けるように背中を押したのはミサトであり、その上でなお「ニアサードインパクト」を理由に碇シンジを憎むというのはどうも腑に落ちません。
またそれがヴィレメンバーの怒りだとは明言されていません。
よってまったく別の怒りの理由を考えることができます。。
その理由は「碇シンジが個人で世界を左右する事ができ、ヴィレを中心に多くの普通の人間はそれに振り回される存在であるから」としておきます。


仮説です。旧劇場版のあと、碇シンジは何らかの力を使って、自分が心地よく過ごせる世界を作り、物語をやり直すことにしました。
何度か同じ物語をやり直しているかもしれません。(渚カヲルのピアノの反復練習に関する劇中発言がそれを思わせます)
それが主に「序」で描かれている世界です。新たな発展なくこれまでのお話をやり直している間、象徴としてシンジのプレーヤーはトラック25と26を行き来しています。
また序・破では、全体的に「碇シンジに都合のいい展開」が続きます。
「破」ではそこにイレギュラー(=マリとの出会い)が生じ、トラック27という新たな世界に到達しました。
破のラストでは碇シンジは世界をあやうく終わらせかけます。
シンジ君の終わらせ方では困るゼーレ(ゲンドウも?)は渚カヲルの手でサードインパクトを阻止。
この次がQですが、そこまでの間に、ヴィレの面々は碇シンジの神に匹敵する力の詳細について知りました。
結果、これまでの自分たちの人生は碇シンジによって都合よく作られたものだと知ります。


と、するとヴィレの面々がシンジに冷たい目線を送る理由が設定できるように思います。
特に色濃いなと思うのは、Qでシンジ13号機とアスカ改2号機がやりあうところなのですが、シンジの「やりなおせる」という発言を、アスカがどう受け取っているかに着目するとアスカの怒りが読めてくるように思えます。
シンジは自分の能力に気付かずにみんな元通りに(みんなを生き返らせる?)と発言するわけですが、それはアスカたちのサイドからすると、シンジによる再度のループのスタートで、単ループの中でのみ生きられる普通の人からすれば死にひとしい現象となるわけです。
アスカはシンジが自分のわがままのために世界をリセットすると思っているわけですから、そりゃ怒りますね。


3.エヴァに乗ると肉体年齢が14歳で固定されてしまうなら、大人がエヴァに乗ったら肉体が14歳まで戻るということではないの?
綾波レイの存在について考えます。他のキャラも同じなんですが、名字で呼ばれている場合と、名前で呼ばれている場合とがあります。
特にシンジはQにおいては「綾波」と呼んでおり、呼ばれた綾波は「綾波レイならそうするの」と聴くことがあります。
ここでは、旧版の視聴者が持っている「綾波レイ」がクローンとして複数いる、という考えに縛られないほうがよいかと思われます。
仮説として以下のように整理しておきます。
碇ユイ→旧版TVで死亡しエヴァンゲリオン初号機となった
綾波レイ(旧TV版)→劇場版ラストで巨大化し世界に破片を残した
綾波ユイ→新劇場版でエヴァの起動システムに関与、ダミーシステムに関係
綾波レイ(序・破)→綾波ユイの影響を受けている可能性はある。ユイがエヴァの起動実験の結果記憶を失い肉体年齢を若くしてレイになった可能性も残る
綾波(Q)→綾波レイのクローン。一度もレイとは呼ばれていない?
マリが言う「オリジナル」→序・破のレイの事。2.の仮説をとれば、マリとレイが関わるタイミングはある。


次にアスカとマリの存在について。
どちらも出自がはっきりしていないところがポイントですが、アスカに関しては3号機に乗ったあとの経緯が不明です。
またQで冬月が示す写真の中に、綾波ユイの他に女性が一名映っていますが、この人に諸説あるようです。
僕には「大人になったアスカがマリのメガネをかけている」ように見えました。
マリがアスカの母親であるという予想にも出会いましたが、どうにも違和感があります。
Qのシン予告編でエヴァ改2号機と8号機が組み合わさっていたことを考えると、この二人はもともと一人なのかも。


そのあたりを考えてもしかたないので、ひとまず保留です。
アスカは「リリン」という語を使って、自分と他の人間を区別しています。
この場面で少なくともシンジ、アスカ、綾波(Q)はリリンではないと判断できます。(1.2.のシンジ神仮説に繋がる)


4.渚カヲルはそんなにいい奴じゃないはずだ
渚カヲルはどうも好意的な視点が定着しているような気がしてます。
旧版でも死生観や存在意義からして他と全く異なっていたはずのカヲルですが、視聴者にとっての14年の間に印象がマイルドになっていないでしょうか。
彼は碇シンジが世界を繰り返していることに気付いていて、ゼーレ側の人間のはずです。
単純に彼のタイムラインについて整理をすると、序でゼーレの手によって目覚め、破でMark.6に乗り覚醒した初号機にカシウスの槍を刺しました。
そこから空白の期間を経て、Qでシンジと出会っています。
彼の意図を掴むにはゼーレと使途と「運命を仕組まれた子どもたち」とを整理する必要があると思うのですが、情報不足です。
ただ、シンジに対してシンジが望む幸せを提供するというよりも、渚カヲルが勝手に設定しているシンジの幸せへと甘言で誘っていると考えたほうが、彼の立場とはつじつまが合うのでは。


5.ヱヴァンゲリヲンエヴァンゲリオンではない
こんなに明確に書き分けされているなら、旧版と新版では役割の違いがあるはずです。
仮説として、新版のエヴァはあくまで「パイロットの能力を引き出すもの」ととることにしておきます。
エヴァに乗っているとき、パイロットと機体とエントリープラグは主語を混同されやすく呼ばれていることがおおいです。
旧版では力の源はエヴァであったし、LCLの中で融けてしまうことはあっても、リツコ博士が「人でなくなる」なんてことを発言する場面はなかったと思います。
でも新版では明確にそう述べているし、なによりパイロットの面々、よく目が光っています。
ふつうの人間は目が光りません。


また、今回のゲンドウは初号機にあまり固執していません。
恐らく、今回は○号機としている機体と、Mark.○としている機体くらいで区別するほうがよさそうです。
マリは2号機、5号機、8号機を駆ってます。
パイロットとその肉親が1:1関係(レイとカヲルは除外)だった旧版とは異なっていると考えておきましょう。


まぎらわしいのがダミーシステムを使ったときに「なぜ私を拒絶する、ユイ」と言っているゲンドウさんのセリフなんですが、これは初号機ではなくダミープラグに寄せられた言葉だと思えばいいと思います。(Qで冬月がそれに関する発言をしてたと思います)


加えて整理しておきたいのがアダムスの器です。
破で月に寝ていた巨人からMark.6が作られたと考えるのが妥当で、またMark.9もアダムスの器っぽい。
気になるのがマリの発言「アダムスの器になっちゃう」というもので(ちょっとうろ覚えです)、また巨大な綾波レイの身体と首が出てきたことを考えると、綾波タイプのキャラクターはでっかくなるとアダムスの器と呼ばれるタイプの巨人になってしまうということでしょうか。
器だから当然アダムスが入るわけですが、ここでいうアダムスとは。
今まで出て来たのはウルトラマンをモチーフにしていた4人の人型です。
破のQ予告映像でも「運命を仕組まれた子どもたち」と合わせて4人の人影が映ってます。
子どもが5人(レイ、アスカ、シンジ、マリ、カヲル)いるとすると、そのうちシンジが不在なら残りの4名がアダムスでしょうか。
でもそうすると、恐らく旧版と関連のあるアダムスにマリが含まれるのはどうもおかしいような気もします。
ここも情報少ないので保留ですね。手前に映っているのはカヲルのようでもあるし。


6.そのほか気になっていること
碇ユイの墓の描写(破、劇中より)
明確に没年が2004となっており、これは旧版と同じです。
新版では「時に西暦2015年」という描写を明確に避けた、とのことですので、この墓は旧劇場版の碇ユイの墓であるという仮説を取れるのではないでしょうか。
そうすると、それをゲンドウが確認しにくるというのは、繰り返す世界に関する意味をもってきます。


ネブカドネザルの鍵
何に使うのかわかりませんが「予備として保管されていたロストナンバー」「神と魂を繋ぐ道しるべ」「人類補完の扉を開く」らしいです。
破とQの間にもう使ったのか、まだ使っていないのかは不明です。Qでは閉じたアタッシュケースしか出てきてません。
(ただ、ふつうは中身の入っていないケースなんて出してもしょうがないですが)
たとえば「ロンギヌスの槍」をもう一本作るのに使った、など、重要アイテムをもう一つ登場させるのに使えるのかもしれないですね。


・ブンダー
たくさんエントリープラグみたいなものが刺さっています。
中身に誰か入っているのでしょうか。また、護衛艦が黒いエントリープラグのようなものを運んでるシーンがあります。
綾波レイがクローンなら、アスカやマリだってクローンにできる可能性はありますよね。
Qのミサトはやたらパイロットを乱暴に扱うし、アスカも「人命軽視」と評しています。
クローンだから?


・覚醒
破のラストでは加持が「数が揃わぬうちに、初号機をトリガーとするとは」と言っていて、その直後に冬月が「あの二人だけで初号機の覚醒は成った」と言ってます。
てことは本来揃うはずだった数というのはパイロット、運命を仕組まれた子どもたち、でしょうか。
それともエヴァの機体、使徒、またはアダムス、器?
ただ13号機の覚醒のときには、その場に5人のパイロットの全てがいて、なんだかゼーレも状況に納得していたようでした。


7.勢力図を整理してみよう
1.ゼーレ(モノリスのひとたち)
2.ゲンドウ(ゲンドウ/冬月)
3.チルドレン(シンジ/アスカ/レイ/マリ/カヲル)
4.ヴィレ(ミサトほか)


ゼーレの狙うものと、ゲンドウの狙うものが、ある程度までは同じながら、最終段階が全く異なっている点と、ゼーレ・ゲンドウが使徒を撃退しようとする点を考慮します。
どちらも「使徒によってもたらされる悲劇的ななにか」を回避したいようですが、それによって引き起こされるという作中の「○○インパクト」にも、いくつかバリエーションがあるような気がします。
ヴィレはQまでではゼーレとゲンドウたちの目的の違いに気付いていないようです。
かつ、ゼーレの狙っているものはそれはそれで「人類にとって悲劇的ななにか」のようです。


カヲルもゼーレによって送られたという言及があるので、恐らくはゼーレと共犯関係にあるものと思われます。
Qでカヲル君が退場するまでのそれぞれの事実認識を整理していくと……
ゼーレ:目的(カヲルとほぼ同じ)のためにカヲルをネルフに送りこみ、カヲルと13号機がロンギヌスとカシウスの槍を抜いたと思いこみ退場
カヲル:目的(ゼーレとほぼ同じ)のためにネルフに入ったが、カシウスの槍がなかった。それがゲンドウの思惑だと判り退場。
ネルフ(ゲンドウ):ゼーレのシナリオをたどりつつ、カシウスの槍を用意しないことで目標に近づこうとする
シンジ:世界をやりなおす(復元する)ために槍を抜こうとする
ヴィレ:シンジに世界をやりなおさせない(リセットさせない)ために突入、ゼーレとネルフの目的の差に気付いていない


碇ゲンドウの思惑:ユイとの再会? 碇ユイ(旧版)か綾波ユイ(新版)かは不明。
カヲルの思惑:ゼーレと同様で、それは碇シンジにとっての幸せだと思っている。
ゼーレの思惑:人の手によって(?)古い生命が究極進化することを思惑とする。使途にやられてはいけない。
ヴィレの思惑:とにかく人が人として生きられるようにする

というところでしょうか。




以上から、ここまでの新劇場版に予想を加えて時系列で整理してみます。


旧劇場版 Air/まごころを、君に
 →赤い世界とシンジとアスカが残る

碇シンジ、世界を修復、自分の気持ちいい世界を作る
 →何度も繰り返す
 →その間ゼーレ(新)は、自分の身体を生き物ではなくすることでループから外れる。カヲルもループする世界に気付いている。

序(ループの中)しかし、ゲンドウ・ゼーレ等がループに干渉しだす
 序 you are(not)alone:碇シンジは世界の中で孤独ではないが、世界を作ったのはシンジなので本質的には孤独である。

破(ループに変化)シンジとレイによる初号機の覚醒、ニア・サード・インパク
 →ただしカヲルの手によって中止。ゼーレの意志?
 破 you can(not)advance:碇シンジ綾波を助けるという進歩を見せるが、自身がそう仕組んだのであれば本質的には進歩していない。
↓ 
破(予告編)
 初号機の凍結(中からシンジ+エントリープラグとレイがサルベージされる。
 レイは後のヴィレの面々が干渉する前に拘束、クローンの作製へ。
 シンジは封印されて宇宙へ

 (Mark.6による?)生き物の駆逐
 何らかの形でインフィニティが大量発生、地上を蹂躙する。
 セントラルドグマのリリスの状況が変わる。
 月にも新たな模様ができるくらいの天変地異が起きる。
 なぜかセントラルドグマが空に向かって伸びる

 アスカがなんらかの要因で復活。
 マリ、ミサトらが合流しヴィレを創設、同じくらいのタイミングでヴィレの面々がシンジと世界について知る。

Q you can(not)redo:碇シンジは世界をやりなおすことができるが、阻まれてやりなおすことができない。


と、していくとひとまず、破のQ予告で語られなかった部分も発言と矛盾なく整理できるのではないでしょうか。
また、シン・エヴァンゲリオン劇場版:||を「||」と「:||」のダブルミーニングととらえると、
you must(not)repeat:碇シンジは繰り返さなくてはならいが、繰り返してはいけない。
と考えることができます。


あともう少し材料が揃えば、すっきり整理できそうですね。