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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

映画ドラえもんのび太と新・鉄人兵団〜はばたけ 天使たち〜

藤子F不二雄先生のリメイク版映画です。2011年。
ドラえもんとして声優が刷新されてから、旧映画のリメイクと新映画が概ね1年ごとで制作されています。

旧映画のリメイクは正解の判断だと思わざるをえません。
藤子先生がお亡くなりになったあとの藤子プロによるドラえもん映画は、ファンタジー性に重きが置かれ、藤子先生が子どもたちのためにいつも用意していた何らかのテーマが薄れていました。
藤子先生と同じレベルのストーリー作り、もしくはそれとは別方向で同程度にハイクオリティなストーリーは、相当な能力がないとできないと思われるので、新キャストになった時点で、焼き直しは妥当な判断だと言えるでしょう。


さて、そろそろ鉄人兵団の感想へ。
鉄人兵団はドラ映画シリーズにしては少数な「ガチで地球(人類)ピンチ」のストーリーです。
SFが前面に出ていますが、テーマはレイシズム。(これが旧版だとちょっと濃さが違うんですけど、とりあえず統一してレイシズムとさせてください)


大幅な役どころの変更があり、旧版で活躍したミクロスが殆ど出てきません。
変わりにジュドがピッポというあだ名を与えられ、こちらがストーリーにより強く絡んできています。
なるほど確かに、リルルってストーリー上でのび太たちと関わりが多くありません。
しずかちゃんによる介抱のみしか、リルルが地球人に受け入れられているシーンはない。
そこを補強するためにピッポという役柄をミクロスの位置に置いたのは、成功してます。


そうせざるを得なかったのかなぁ、と旧版と新版の比較をしていくと面白くて、新版ではドラえもんたちが加害者にまわらないんですね。
ジュドを従順に改造するというプロセスは、新版のドラえもんではカットされている。
ミクロスがいないので、過去のメカトピアに行くプロセスも変わっています。


それがいいかどうかは言及しません。
藤子先生の原作は昭和の漫画として面白かったし、新劇場版は平成のSFアニメとして原作からテーマを引き継ぎつつ、まとめてある。
どちらも面白い。


で、新旧で共通して一番大きな、でも名言されてない仕掛けは、本編通して「ドラえもんがロボットである」ということを完全に隠せていることだと思うんです。
ここが一番すごい。


新ドラ映画は、現代のアニメ技術で映像が作られている点も、沢田完氏の音楽も気に行っています。
旧版が好きだという方にも是非触れていただきたいです。