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ksk@ぴよによるノンジャンルみだれ手記

【ネタバレ】ドラゴンクエスト YOUR STORY 感想と憶測

追記あり(追記箇所は記事最終箇所に詳記)

 

映画「ドラゴンクエスト YOUR STORY」を観てきました。(STORYのRは正確にはЯと反転して表記)

 

dq-movie.com

 

以降はドラゴンクエスト各ナンバリングシリーズと区別してDQYSと表記します。

また各ナンバリングタイトルはDQ1、というように数字で表記。

この記事ではDQYSとDQ5、およびDQナンバリングタイトルのネタバレを含みます。特にDQ11についても言及しますので、先を読む場合はご留意ください。

 

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【ネタバレ】「天気の子」感想

「天気の子」を観ました。

 

tenkinoko.com

 

好きな映画だったか。好きでした。一方で、好きになる要素が映画とはちょっと離れた所にあって、落ち着いてから考えて、果たしてこれは映画への感想だろうか、それとも自分が読んで観てきたメディアへの感想だろうか、なんてことを考えていました。

以下ネタバレもあり。

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im@s PBで指揮のパントマイムしてきた話

アイドルマスタープロデューサーズ楽団というところで自分で編曲した曲を指揮してきました。

 

twitter.com

 

アイドルマスタープロデューサーズ楽団は、上記リンクに書かれているように「アイドルマスターの楽曲を演奏するオフ会」です。基本的には吹奏楽編成で書かれていますが、どんな楽器でも受け入れてくれる懐の広い活動です。

 

さて、ここからは「im@sPBに参加する人」もしくは「7/21のオフに参加した人」向けの話となります。

 

・自己紹介

・オフ会について思うこと

・少ない参加回数だけどim@sPBを観察する

・im@sPBでのムーブ

・感想と反省と展望

 

こんな感じの目次で進めます。

 

・自己紹介

まず自己紹介(PB向け)から。

シンデレラでは志希/フレデリカ/比奈のPを主にしており、最近は凪や大沼のくるみちゃんにもご執心です。

ミリでは歌織さん、最近では諸事情で風花さんもどんどん気になってきて、バリボーの水着衣装を「ン”ッ!!」って言いながら手に入れました。

シャニでは千雪さんに人生をおかしくされたいと思っています。

 

主に文章方面で活動しておりまして、シンデレラは結構な量のSSを書きました。

www.paper-view.net

https://www.pixiv.net/member.php?id=549581

 

音楽関係ではGAMEバンドというところで10年ちょい活動をしていまして、編曲はここで数作やっておりました。とはいえ音楽についてはそんなにしっかりした経歴を持ってないので、編曲も演奏も小手先で趣味として納得の行く範囲でやっております。

 

 

という人間がここから先を書きます。

 

今回は編曲で持っていくついでに「im@sPBで自分が出来そうなアクション」を詰めてみたので、それが今後参加される、かつキーマンになりそうな人に何か資すればと思いまとめていくことにします。

 

なぜそれをするかを正直に言うと、im@sPBには確か今回で3回目くらいの参加だったと思いますが、二回目までで「本来こういう活動がしたかった、もしくはこれまでできてたというものがあるはずだけど、今はそれが必ずしもベストな形で成立してない感じがする」と思ったからです。

 

 

・オフ会について思うこと

そんなに何度も「オフ会」の類に参加するわけではないんですけど「オフ会」に類するものはとにもかくにも「ホスピタリティ」によって全体の満足度が決定されると思います。

となると「誰がホスピタリティを発揮するのか」ですが、その話に入る前に、多くの「新しい」活動はその活動をすること自体に喜びがあります。ので、実はイノベーター/アーリーアダプターくらいまではそんなに意識しなくても、そもそもすべてが新しい、新鮮な事なので自動的に満足感が出ます。

が、その新鮮さが幾分か薄れてくると、そういうことを意識していったほうが経験的にはよいのではないかと思います。

っていうとちょっと説教臭くなっちゃうんですが、つまり「楽しい余暇時間を過ごすためにやってる」ので「楽しい」を追求するためにはどうするのがベストか、ということをちょっと俯瞰して考えてみようということです。

 

・少ない参加回数だけどim@sPBを観察する

3回しか参加してないわけですが、自分が観てきた各種の「合奏」なんかと併せて見ていくと、im@sPB(関東)は80回以上の開催。おそらくこの開催の中で培われたスタンダードな「流れ」(※これは誇るべきものです)が出来ている。

毎曲の合奏はこの流れをトレースすることで成立している。

流れは「音源を聴く」→「全体を通す」→「合奏をする」→「全体を通す」が1セットで、指揮者が前に出てその流れを実行する。

だいたいこんな感じで、通常の楽団における合奏とほぼほぼ同じですが、最終的な発表の場がセッティングされているわけではないのでもっと緩い。おそらく目標は「楽曲を通す」これ自体と見ていてよいと思われます。

なので「楽曲を通す」ということ自体が強い目的であれば問題がないけれど「アイマスの曲が演奏できる」「初めての楽譜を演奏できる」あたりの動機の新奇性が時間やその曲の合奏回数と共に弱まっていく。

これがどのくらい弱まるかは個々人の状況によって異なっていくことと思います。初めて参加する人はまだまだ新鮮に思うかもしれないし、PBの中に友人知人が多い人はそれもまた楽しさを補強しているはず。

 

ちなみに自分はというと、それこそ10年近く手製の楽譜を演奏するということをやり続けていて、アイマスについても演奏だけでなく765プロ全員俺の声をやった(その節はPBから観覧のPさんありがとうございました)こともあるくらいなので、実はやや新奇性については失っていると自覚しております。

 

ということで「このフォーマットならもうちょい立ち回りを工夫することもできそうだなぁ」なんて考えることがありました。

 

・im@sPBでのムーブ

そんなことを考えたのと、たまたま「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」を聴いてブチ上がったことからノリと勢いで楽譜を作ってちょうどよかったので「指揮振ってみたいです」とお願いさせてもらいました。

ちなみに指揮の経験は全くないです。合奏はこれまでそこそこの数の指揮者に乗ったし、人を動かす言葉とかについては日々考えて様々な分野で実践をしているので、自分の持っている色んなものを組み合わせて当日に、指揮経験ゼロのパントマイム指揮者として臨むことにしました。

 

余談ですが知っている人は何度も伝えて知っていると思いますが、自分の音楽人生に大きく影響を与えたものに「ダニー・ケイとニューヨークフィルの夕べ」があり、指揮はパントマイムでも、演奏というエンタテイメントは高い水準に達することができる! と信じております。

 

自分が目指したものについて。

■前に立った瞬間から参加された奏者の皆様は自分のする話の観客扱い

「合奏をする」のは当日までに専門知識を十分に蓄積することができませんが、上述のように自分はストーリーテラーとして一次創作・二次創作しておりますので、檀上でのプレゼンはある程度の準備の上で臨むことができます。

なので、自分が担当した30分の自分の満足の設定は、目の前の人達に総体として面白いと思ってもらうこと。

 

自分が読み取ったim@sPBでのスタンダードな「流れ」では、合奏中は指揮台に立つ人が支配者であり、この指揮台に立つ人は自分の最大の満足を得るために考えうる最大のムーブをしていいが、それは流れを破壊せず、かつ参加者が満足するものにすべきであると思いました。

 

なので話した言葉も、楽譜の(例のバズった)指示も、その場に参加している人達を楽しませ、それを見て自分が楽しむための装置です。楽しんでいただけていれば幸い。やりすぎてたら見誤り、ごめんなさい。

 

■合奏時間の配分を考える

自分の場合には30分の合奏時間を貰ったわけですが、このうち音源を聴くのと通しが2回あることを考えると、その動きの前後と、自己紹介や曲の説明も併せて残っている時間は20分程度。この間に出来ることは相当に限られます。

ということでこの時に自分が決めていたことは「言葉に悩まないこと」でした。悩む時間を持って「時間が途切れてしまう」ことを忌避しました。プレゼンだったとしたならば、必要のない空白はダレを生じてしまう。

そもそも合奏自体には狙う完成形はないので、最初の通しで受け取ったことをどのくらいリプライできるか、最後の通しがどのくらい気持ちよくなるか。

これは自分の技術水準でも、音についてもっときちんと考えて臨むこともできたんだと思いますが、後悔するほどひどくはなかったのでいいことにします。立ちどまらなかっただけで自分よく頑張ったと思う。

言葉は自分が今まで聞いてきて印象に残っている指揮者さんたちの言葉を大量に借りました。

 

・感想と反省と展望

いやー指揮者って大変ですね。実感した。テンポキープするの大変だし、左手で感情つけるみたいなの全然できる気しないし、合奏見ながらスコアめくれないし。

でも陶酔感はすごい。なんで棒振ってるだけなのにみんな一斉に楽器演奏しだすの……? すごい……みんなついてきてくれてるけど、目の前に居るそいつ15時間前まで記憶なくすほど泥酔してたクズだからね……? ありがとう……大感謝だ……と思いながらやってました。

たったの30分なのに腕もスゲーだるいし。

 

反省として。出来ればもっと全パート褒めちぎっていくべきだった。特にベースやテナーサックス、ギター辺りはあまりおいしいフレーズを配置できなかったので、苦労をねぎらうべきでした。皆さんありがとう。こんな15時間前まで便器抱いてた酒クズに付き合ってくれて……

またもう一点、合奏上での小目標は明言すべきだったなと思いました。合奏の共同作業でいくら時間や完成形に確たる目標がないとはいえ「今回はこれを目指してみましょう」「目指したことはこのくらいできたね!」は判りやすい楽しみとなるはずなので、何か一つでも設定してみればよかった。

 

展望として。少なくとも自分は、合奏に乗っているときは引っ張ってくれる指揮者の方が気持ちよく乗れます。ので、これは希望なんですけれども

★指揮者はその時間を強く支配して、自分の希望やエゴをどんどん明言してほしい。

★支配することに奏者として付き合うので、指揮者が考える奏者としての愉しみを与えて欲しい

★「流れ」の中で「楽しい」なら色んな遊びをしていいと思う

 

ということがうまく回れば、単回単回がより楽しそうだなと思いました。

勿論他にも「オフ会」を楽しくする手段はいくらでもあると思います。ひとまずここではその一つの手段として「その時間を支配している指揮者のエゴと、それに付き合う奏者の関係」を追求してもよいのではと思い、明文化させていただきます。

 

長々書きましたが「アイマス曲をやる!」の愉しみを「いま」最大化するためには「前に出た人は微塵も遠慮しない方が全体的にプラスだと思う」ということを「意識してやる」ことが「歴史を重ねている」からこそ必要で、意識していったほうがより楽しくできると思うということを言いたかったわけです。

 

なかなかPBにコンスタントな参加は難しいので、ここに記しておきます。

7/21関東はありがとうございました。お疲れ様でした。

【感想】戦場のヴァルキュリア3

2011年のゲームなのでネタバレしてどうというものでもないと思いますがネタバレです。

 

 

戦場のヴァルキュリア3 EXTRA EDITION - PSP

戦場のヴァルキュリア3 EXTRA EDITION - PSP

 

 

シリーズ作品はプレイしておらず3だけをやりました。3だけやって大丈夫とご紹介いただいたためです。

ツタヤ等で様々なゲームのサントラをレンタルしまくっていたころにこの作品のサントラも借りたのですが、タクティクスオウガ等でおなじみの崎元氏がコンポーザーをされており、耳なじみのある音楽だったので印象に残っていました。

ゲームとしても素晴らしいとのことだったのでプレイしてみました。

 

素晴らしかったです。

 

ゲームシステムとしてはものすごくのめり込む! というようなものではないですが、ストレスは少なく、しっかり考えられた面白いシステムでした。やや常識外れな画面だったけど、ゲームとしてだからよいでしょう。

基本はマスゲーのシミュレーションRPGのようで、自軍をコスト分だけ動かし、フェイズ終了して相手のターン、全滅または敵地占領でクリア。

コストを使用して自軍を動かしているときは半リアルタイムで、敵の射程範囲内に入ると敵が迎撃をしてくるため、迎撃されっぱなしだとこちらの行動ターンであるにも関わらず、HPが尽きて撤退となります。

ので、死角から進軍、もしくはダメージを覚悟で走り抜けるなどするか、または遠距離からの狙撃で先に進軍ルートを確保するか、などの対策をとる必要があります。

兵種ごとの移動可能距離も大きく違うため、うまく組み合わせて進軍するための絵をかくのが面白いシステムです。

 

素晴らしかったのはキャラとストーリーでした。

戦争状態にある2国のうち”ガリア公国”側に属するのが主人公たちですが、エリートだったはずの主人公は、上司が「主人公に見られてはいけないところを見られたかもしれない疑念」によって無実の罪で懲罰部隊「ネームレス」に送られます。

ネームレスには様々な人物が様々な理由で送られ、または集まっており、彼らの戦果は決して記録に残らず、また時に汚れ仕事までも命令される過酷な部隊。日々、厳しい指令が下り、拒否すれば銃殺という毎日です。

 

ネームレスに居る人達はお互いを名前ではなくナンバーで呼び合っており、信頼した相手にしか名前を告げません。

主人公はストーリーとともに戦果を挙げることで徐々にネームレスの面々から認められていきます。

ネームレス「内」は多様なキャラクターが居て、みんな極端ですが基本「いい人達」なので、このチーム内のやりとりはとても面白い。

たとえば主人公クルトは、完璧キャラですが、理解できないことに対してのメンタルが弱く、理解に苦しむことがあるとキャンディをバリバリ齧るという極端な一面を最序盤に見せてくれます。これがまず楽しい。最強の俺じゃなく、すごく偏った変な天才なわけです。

ヒロインは二名、素直でぐいぐい来るキャラ・リエラと、ツンツンでなかなか心を開いてくれないキャラ・イムカ。この二人と超絶朴念仁のクルトが見せる水着回はラブコメの教科書みたいな素晴らしい回で、溜息が出ました。本当に戦争が背景なのかこれは。

 

ドラマはキャラクターたちが置かれた「境遇」によっておこります。なぜクルトは懲罰部隊へ送られたのか。これは戦争状態にあるそれぞれの軍上層部が結託して戦争を長引かせ、結果として情勢不安から宗教への信徒を獲得するためで、戦争は長期化自体が目的。

そして戦争する二国で被差別人種となっているダルクス人、この独立を望む実力者。戦争を背景に様々な思惑が渦巻く中で、主人公たちネームレスの中にも居るダルクス人が置かれる立場によって、戦争に参加していく「ネームレス」というチームに起こる事件はプレーヤー自身の「ネームレス」というチームへの没入を深め、愛着を深めてくれつつ、ドラマが非常にしっかりしている。

 

クリアには80時間かかりましたが、クリアする頃にはネームレス全員が好きになっていて、彼らの物語をもっと先まで見せて欲しい……もう終わってしまうなんて寂しい、と思わせてくれるとてもよいゲームでした。結果的に、同じ時間軸で別の場所を描いているらしいシリーズ他作品への興味も高まっているところです。

 

多くはない関連書籍も手に入れようかなぁ、と迷っているところです。楽しいゲームプレイでした。

【ネタバレ】「きみと、波にのれたら」感想

kimi-nami.com

 

以下、ネタバレを含んで感想しますのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々と映画を観ていたらたびたび予告に現れてきていて、最近多い恋人が死んじゃう系だし、俳優中心に起用されてるアニメ映画だし、主題歌はEXILE系だしこれはnot for me感が高いからスルーかな……と思っていましたが公開後の良い評判が聴こえてきたので観に行ってみることにしました。

 

面白かったです。

 

監督の作品で自分が観ているのは「夜は短し歩けよ乙女」くらいでした。

ということで監督の印象では語れないのだけど、監督のお名前でも話題になっていた気がします。

 

さて、面白かったポイントです。

こういう「恋人が死ぬお話」は、主人公によるパートナーの死の受容と「その先」が定石だと思います。つまり、彼/彼女は死んでしまったけれど、彼/彼女の死を受け入れて、これから頑張っていこうぜ。という構造。

 

この映画ではそれが転倒していて、主人公はパートナーの死に出会うけれど、パートナーは限定条件では主人公とコンタクトがとれる。よって消えない=死を受容できない、する必要がない。

でも、パートナーが死んだという事実は主人公にトラウマを残している。解決すべき課題がある。

 

パートナーの死を受容し、残されたものたちとの中でトラウマを克服するのが定石のところ、パートナーがそのトラウマの克服を手伝おうとする、という妙な関係になっているわけです。

 

が、それが最終的に物語の中の出来事に巻き込まれる形で「パートナーの意に沿う形で」パートナーとの真の別れが訪れ、主人公もトラウマを克服していく。

 

と、引き算で残っているのが「死の受容」ですよね。

この「死の受容」がエンディングシーンです。

主人公がパートナーの死を受け入れ悲しみに暮れむせび泣くところがラスト。

 

死んじゃった、哀しい → 受け入れて前に進もう、幸せだったよね

ではなく

死んじゃった、でも居るわ → 幸せだった、受け入れて前に進もう → 居なくなった、立ち直った → 受け入れる、哀しい

なんです。

 

字面で書くとものすごく悲壮感が漂う話のように感じられると思うんですが、思った以上にポジティブな「解決」のイメージで終わります。それは恐らく主人公とパートナーの関係、周りの人との関係、勧善懲悪、そのほか無数の装置から出来上がっていると思うわけですが、それが成立してる脚本と映像ってすごいな、と思ってしまいました。

 

映像演出、SF(すこしふしぎ)としても面白いと思います。印象としては「ペンギン・ハイウェイ」に近い作品でした。

 

 

さらにもう一つ、パートナーの妹の洋子の位置づけが上手で唸りました。高校生(だと思う)の彼女は出会う度に主人公に対する態度が激しく変わっているのですが、それが奇妙に思う傍ら「あ、こんなに態度が変わるくらい時間が経ってるんだな」と思わせてくれる装置になっていました。

 

特に主人公は前に進もうとしない役どころだし、他のキャラクターは社会人で立場が大きく変動しないので時間の経過が緩く、洋子によって観客に時間を知らせてくれるというのは面白く感じたポイントです。

”年金2000万円不足”という炎上の話~誰も報告書を読んでいないのである~

老後2000万円問題というのがこの2019年6月に話題になっている。

こう書いておけばこのときの時事ネタだったことが判ると思う。マスコミも野党もこれで盛り上がっていて与党を追及したろうという構えらしい。

 

ちなみに自分はこの話題に下記のツイートから入った。

 

 

このツイートは6/16現在で5万件近いRTがなされているが、このツイートには大きな問題がある。

この報告書では「年金などの公助は限界」なんてことは言われていない。

このツイートは何か、というと、これから先たびたび書こうと思うけれど

「どうせ、大衆は情報ソースである報告書なんて読まないだろう」

という意識が透けて見える。

 

そして、哀しいかなそれは概ね正しい。

 

情報ソースは金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書で、ものはこちら。

 

5/22版

www.fsa.go.jp

 

6/3版

www.fsa.go.jp

 

この別紙1が報告書のメインである。56ページからなるpdfだ。これを読めばなんだかマスコミや著名人の言ってることとずいぶん印象が違うなぁと思うはずなので読んで欲しいと思う。

 

でも読まれないだろう。なにせ56ページだ。世の中の人の大部分は56ページある報告書を読むより2000万不足の見出しを憂いてる方がアトラクションぽくてその瞬間のQOLが高くなるんだ。

 

そう。

 

誰も報告書を読んでいないのである!(例の漫画)

 

何が書いてあるか、目次にそってざっくりと解釈して並べておこうと思う。この読み取りについての批判は好きにしていただけたらいいと思う。

 

・はじめに

金融審議会市場ワーキング・グループにおいて、
高齢社会のあるべき金融サービスとは何か、2018 年7月に金融庁が公表した「高齢社会における金融サービスのあり方(中間的なとりまとめ)」を踏まえて、個々人及び金融サービス提供者双方の観点から、2018 年9月から、計 12 回議論を行い、その議論の内容を報告書として今回提言する。本報告書の公表をきっかけに金融サービスの利用者である個々人及び金融サービス提供者をはじめ幅広い関係者の意識が高まり、令和の時代における具体的な行動につながっていくことを期待する。

 

 はじめに、の時点で既に年金の話ではないということが表されている。

 

・現状整理

 1-ア 長寿化 イ 単身世帯等の増加

  寿命が長くなり、また拡大家族が減り、老後に家族を頼るのがモデルケースとできない時代であることを述べている。

 

 1-ウ 認知症の人の増加

  認知症になることで自身の金融資産の管理に制限が入ることを述べている。

 

 2-ア 平均的収入・支出

  景気停滞により収入が減っていること、税・保険料の負担が増加していることを述べている。

  支出は老年世代に入ることで減少しているが、収入も年金給付に移行するなどで減少している。高齢夫婦の平均的な支出状況では年金収入に対して月5万の赤字であり、この赤字額は金融資産より補填している。

 

 2-イ 就労状況

  日本の高齢者は健康・思考レベルともに諸外国と比べて高く、勤労意欲も高い。

 

 2-ウ 退職金給付の状況

  退職金給付は徐々に減少している。退職金から一部を投資に振り向ける人が多いが、自身の退職金について知っている人は少ない。退職金の金額が大きいことを考えると、金融知識を持っていることは重要。

 

 3 金融資産の保有状況

  全体の傾向として、若年層よりシニア層の方が金融資産の保有割合が高い(=年齢を重ねたほうが金融資産を保有しているということで、世代差の話ではないと思われる)

  65歳時点における金融資産の平均保有状況は(H26水準で)夫婦で2252万、単身男性1552万、単身女性1506万円である。(なお、別途負債を持っている場合もある)

  2から踏まえて、月5万のとりくずしが必要の場合、5万円×30年で約2000万円の取り崩しが必要となる。

  米国では高齢世帯の金融資産が伸びており、これは市況が好調で制度的な後押しがあったためである。日本もこの後押しの制度環境は整いつつある。

 

 4 金融環境に対する意識

  人々の老後の不安は「お金」が大きく、それに対する対応は「働く期間を延ばす」「生活費を節約する」「資産形成する」であった。しかし、資産形成について実際の行動は小さく、金融機関と個人のミスマッチが生じている。

 

 

ここまでで20ページ、以降も「金融サービス」と「個人」がどう資産形成していくかについて述べられている。

 

上記の通り、世の中でマスコミや野党や著名人が言っている事とは大きな乖離がある。

 

・×→2000万円不足する 〇5万円×30年は約2000万円だよ!

 →「現在」定年後の世帯の支出水準は「現在」の年金収入より5万円多く、その赤字分は貯金を取り崩している、と言っている。ちなみにこの支出グラフはクローズアップすれば娯楽費なんかも入っていて、5万円の赤字と言うのは「その家計で資産額も踏まえて生活設計をして資産から5万円をとりくずす生活をしている」というのに過ぎない。お金が足りなければ生活レベルを少し下げて対応するだろうし、資産が多ければもっと取り崩す。2000万円は5万円で定年後平均寿命近く30年生きたときの金額の掛算に過ぎない。

 

・×→老後も働け 〇健康で意欲も高いから老後も働こうと思ってる人が増えてるらしい

 政府がそう言ってるのではなく、人々がそういう思考を持っているよとデータから述べている。

 

・×→年金が破たんすると認めた 〇→そもそもこの報告書で年金の話をしてない

 税や保険料の負担が増加していること、公的年金水準が調整されていく(下がっていく)ことは述べられている。

 

 どうしてこの内容で「年金を当てにせず2000万円貯蓄しろ」になるのか、甚だ疑問である。当初に挙げたツイートが発端なのかわからないが「どうせ原典なんか読まないだろうから、都合のいいところをいいように解釈して燃やしちゃえ」と考えたんじゃないだろうかと思ってしまう。

 

 でもおそらくそうなんだと思う。いくつかのニュースサイトを見たけれど、報告書原典へのリンクが貼ってあった記事は一つしかなかった。まぁ、それで読者や視聴者を煽れるんだからしめたものである。

 

よく燃えた部分は5/22と6/3版で表現が少し変わっている。

5/22版

(3)公的年金だけでは望む生活水準に届かないリスク
人口の高齢化という波とともに、少子化という波は中長期的に避けて通れ
ない。前述のとおり、近年単身世帯の増加は著しいものがあり、未婚率も上昇している。公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けることは間違いないが、少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していく以上、年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい。今後は、公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある。年金受給額を含めて自分自身の状況を「見える化」して老後の収入が足りないと思われるのであれば、各々の状況に応じて、就労継続の模索、自らの支出の再点検・削減、そして保有する資産を活用した資産形成・運用といった「自助」の充実を行っていく必要があるといえる3。

 

6/3版

(3)公的年金の受給に加えた生活水準を上げるための行動
人口の高齢化という波とともに、少子化という波は中長期的に避けて通れ
ない。前述のとおり、近年単身世帯の増加は著しいものがあり、未婚率も上昇している。公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けることは間違いないが、少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していくことを踏まえて、年金制度の持続可能性を担保するためにマクロ経済スライドによる給付水準の調整が進められることとなっている。こうした状況を踏まえ、今後は年金受給額を含めて自分自身の状況を「見える化」して、自らの望む生活水準に照らして必要となる資産や収入が足りないと思われるのであれば、各々の状況に応じて、就労継続の模索、自らの支出の再点検・削減、そして保有する資産を活用した資産形成・運用といった「自助」の充実を行っていく必要があるといえる3。

 

 5/22版は(案)なのでその扱いは個々人で好きにやってもらったらいいと思う。案の時点でけしからんというのであればそれはそれで好きにすればいいと思うけれど、5/22版でも「2000万たりないよ」なんてことは書いてない。

 

 あまりによく燃えてこんなコラムまで出てた。


biz.news.mynavi.jp

 

 

 カレー沢薫先生の漫画はよく読んでいるのでこのコラムは哀しい限りだ。一次ソースなんか全然読んでないらしい。

 なにより途中で最も「このコラム書くのにそのリテラシーではまずいでしょ」となったのがここ。

途中「結婚」「住宅購入」「教育費」など、大きな支出イベントも記載されているのだが、それらがあっても資産グラフは全く「減り」を見せず「何があっても年齢に比例して資産額は上がる」ことになっている。大体、どんなモブキャラでも、ライフイベントがこれしか起こらないことはないだろう。病気や失業など、資産が思うように貯められないアクシデントはいくらでも起こる。 

 「結婚」「教育費」はともかくとして「住宅購入」は資産を手にしているわけだから資産グラフが下がるわけがない。おそらく「資産」と「預貯金」と混同しているのだろうと思うけれど、ちゃんと元を読まずに燃やす前提のニュースからはじめて絶望するのは辞めて欲しい。 資産状況についても3に書かれてるように「現在の平均」で2000万あり、4でも老後に向け貯蓄するという傾向が書かれているのだから「資産を形成するように人々が動いている」ので、金額の多寡はどうあれ事実として何らかの資産は形成されているし、今後もその傾向が続くということ。

 

 蛇足だけれど、金融審議会の報告書には負債(住宅ローン等)についても言及されている。

 

 結論へ。

 この記事はもう腹が立ってしょうがないので書いているのだけれど、何に腹が立つのかと言えば、多くのマスコミ、野党、著名人が原典の解説をするのではなく2000万不足だって燃やすことにご執心なことで、なぜそんなことができるかと言うと多くの人にこの報告書を読むだけのリテラシーがないだろうということを看破しているから。報告書の時制(どのデータが現在で、どのデータが予測なのか)を読めないと思っているから。年金について制度や状況を考えないと思っているから。経済についてよくわかっていないだろうと思っているから。そしてその観測は概ね正しい。それがどうしようもなく不快だった。

 これを書いている頃は副総理が報告書を受理しなかったことでよく燃えている。もし受理したらその場合はいよいよ「年金破綻を副総理も認めた」とさらに燃やすことになるからそりゃそうだろうと思う。

 

 でも、せっかく金融庁の報告書だってネットで広く見られるようになっているのだから、わからなくても原典を見ることくらいはしたっていいと思う。ずいぶん違うことが書いてあるな、くらいは判ると思う。

 安部内閣自民党がマスコミやマスコミに与する野党を歯牙にかけなくなってだいぶ経つ。国政のスピードを考えたらそっちのほうが妥当だ。でも本来的にはマスコミや野党がする批判はこんな水準のことであってはいけないはず。

 今回は珍しく腹が立ってしまったので、しっかり記事にしておくことにした。